K@猫

A.I.Lab.遊

3~4人用
45分

航海の時代

駿河屋で購入
大航海時代
プレイヤーは船の船長となりさまざまな島を巡り収益を得ます。
島に投資を行えば行うほど収益があがります。
最終的にその島に最も投資を行った船長が大航海時代を制覇するでしょう。

プレイ感

わしの20年来の友人に不幸があり、お別れのために大阪に帰省した時にTAMが、2015年大阪ゲームマーケットでやたらとおもろかったと言うので、ムゲンに持ってきて貰った。
その後、TAMがやたらと欲しい欲しいとのたまうので、調べてみたがタイトルが平凡やわ、変わっているわでほとんど情報がない。ようやく2016年秋に版を変えて航海の時代というタイトル固定で発売するのでTAMの分と版違いのカードをムゲンに頼まれたので合わせて購入した。


真ん中に母港となるパルスフロンティアのカードを置き、それを囲むように他の島カードを並べる。島カードにはそれぞれ特色があり、そこに泊まれば、手に入る品物やアクションが違う。島カードがマスとなる。
手番には、船駒を船首が向いてる方へ(つまり時計回りか反時計回り)、2マスまで移動できる。2マスを超える場合はその分お金を払えば移動できる。
島カードの下に描かれている特産品を手に入れた後、左上に描かれたものを支払う事で、自分のチップを置きこの島に投資ができる。投資すればするほど、以後、泊まるたびに貰える特産品やアクションが増えるのだ。


真ん中の島が出発港。ここから好きな島に飛び、右回りか左回りに航海を始める。一旦動き出せば、ロンデルシステムそのものだ。

最終的にこのように投資を繰り返し、誰かの投資チップがなくなったら、最終プレイヤーまで行いゲーム終了。
島の投資チップが1番のプレイヤーが1位の勝利点を、2番のプレイヤーが2位の勝利点を得る。その他に手に入れた勝利点を足して合計点が高いプレイヤーが勝ち。


船の向きは重要なのだが、カタンの航海者の駒を使っており少々どちらが前か分かりにくいのが欠点。カードの下が止まれば貰えるもの。投資チップを1個増やすごとに貰えるものが増えていく。黒の駒は1つ投資をしてるので、1ゴールドと1エソ貰えるという事。左上が勝利点その下が投資に必要な資源である。

作者が書いたこちらのリンク先をみた方がルールは分かりやすい。

先に書いたように大阪でやってたのだが、今回レビューするにあたり、miaとコタと3人で新版でやる事にした。


投資チップ以外は隠し情報だが、資源が6枚を超えると手番最後に捨てるルールがある。ここは紳士的にやろう。

他のプレイヤーがいる港にはいれば、お金を1エソずつ支払う必要がある。お金はそれ単体では万能ではないが、お勧めカードである交易港ジュノアがあれば万能となる。お金は簡単に手に入るのだが、ゲーム自体に遊びの幅がほとんどないため、一手はとても貴重で1エソの価値は高くなっている。

コタとわしは時計回りに、miaは反時計回りに入る。これを解消するには一旦、パルスフロンティアに戻る必要があるが、たった1エソの効果しかないので出来ればこのまま回るのが良いだろう。

最初は、モノ→金→投資、もしくは金→モノ→投資のパターンをマップ上から見極める必要がある。
鉱山都市キルギアからゴールドを手に入れてジュノアでお金やフルーツに交換して投資がわしの基本戦略だ。

意外とやらしいのが、勝利点の振り分けである。
あまり投資しても魅力的でない港の方が勝利点が高い。フルーツやブドウ、ゴールドを貰えるところは投資すれば余計に手に入るが、勝利点が小さい。


最終。投資チップは一人だけ3枚まで置ける。投資からのリターンは2枚で最大なので3枚置くというのは1位確定するという意味しかない。タイの場合は一つ下の勝利点が得られるが、2位タイはつまり0点だ。

この差を侮っているとゲームに勝つ事は出来ない。というのは投資チップは8枚までしかなく港に複数する事を考えると、勝者は11,2点程度というロースコアリングゲームとなるのだ。
4点と2点の差というのはとてつもなく大きい。

前回、TAM嫁になんか全然上手く出来なかったけど勝ったと言わしめたのはそこだ。

わしはあちこちに投資をした。2位でもいいから、カードから幅広く手に入れたい。
競い合ってしまうと誰もその港に投資をせずに終わるというのはよくある。

結局、この作戦が功を奏してわしが勝った。

所要時間60分

2回目からはもっと速く回せそうだ。
コタがやりたいというので、再度やることになった。

今度は別の港を織り交ぜてやる。
初回お勧めカードは作者がバランス良く選んだようだが、適当に混ぜてしまうとおそらく大きな隔たりが出る。それを見極めないとゲームに勝つことはできない。

負けた。(|| ゜Д゜)ガーン!!

阿呆かと。スパービーチ島がフルーツ2個で投資出来るので、喜んで投資してた。わずか2点しか勝利点がないところに一生懸命やってたらそら勝てんわな。


右下のスパービーチ島は勝利点2のくせにこのやたらと投資した結果。

なんせこのゲーム、めっちゃ順調に出来てると思ったら負けフラグなのだ。
miaのように「お金がない」と苦労してる方が勝利に近い。廻していると思うと罠に陥るので注意されたし。

コタは自分の行きたいところが解りやすくてすぐにパルスフロンティアに戻ってしまってた。これでは大差負けしてしまうので、今度もう少しきちんとアドバイスしてあげよう。

2回目は40分。

ソマーリオ

このゲームの元ネタもセイルトゥインディアと同じく間違いなくナヴェガドールである。同じナヴェガドールを元ネタにしつつもセイルトゥインディアは探検感を、航海の時代は投資感を強調した。

システムはロンデルのマス自体が航海するマップとなっている。ロンデルではアクションを選んでメインボードに反映するのだが、航海の時代はそこをさっくり割り切ってしまって、アクションそのものがメインボードとなっている。実際にやってみるとこれは実によく機能しているように思う。

投資による拡大再生産は人間の普遍的テーマらしく、とても面白い。
ロンデルを右回り左回り可能にした事で、多人数プレイヤーによる揺らぎを強めているばかりかパルスフロンティアに戻るという作戦の幅を広げている。このゲームは隠し情報はあるものの簡単にカウンティング出来る完全情報公開ゲームなので、多人数による意志の揺らぎはとても大事である。

隠し情報を活かす意味でも、準備段階でランダムに資源を1個配るなど相手プレイヤーが知らない情報があればもっと良かったかも。もうひとつ、投資チップ3枚に対するボーナス+1点があっても良かったように思う。
ゲーム的には基本的に自分のやりたいことをコツコツやっていくタイプだ。その時点では相手なんか関係ないのでプレイ感は重くない。そして投資が開始されると、途端に相手プレイヤーとの絡みが濃厚となってくる。ただロンデルの縛りが効いている為、何手も先読みはできない。

ルールはドイツゲームをかじったことのある人なら、このレビューを読んだだけですぐに理解できるオーソドックスな形だ。ボリュームの割に意外と時間が掛かるので、プレイ後感は満足できる。
たくさんのカードが付いているのでやるたびに戦略が変わるのもとても良い。

木箱も含めてコンポーネントの質もよく、同人ゲームの中では出色の出来だろう。実は、今回のゲームマーケットではこれが絶対にダークホースになるでと思ってた。ところがこのゲームは少部数だけ発行された大阪ゲムマ時点が新作で今回は新作扱いにならなかった。そのおかげでほとんど話題に上ることがなかったのが残念である。

という訳でもしこのゲームを見かけたらやってみて欲しい。若干、同点になりやすいところはあるが、セイルトゥインディアと並んで大航海時代のテーマの再現性も高くよく出来ている。

gioco del mondo