Carl de Visser
Jarratt Gray

Lookout Games
Z-Man Games
Hobby Japan

3〜5人
150分

エンデバー

19世紀の貿易と勢力拡大のゲーム
まだ世界地図が完成していなかった時代……新たな土地、新たな同盟関係、新たな戦利品を求めて、列強国は地球上の最も遠い場所へ自分たちの船を送り込み、領土拡大を狙っていた。新発見の世界の富は、強さをつかみ取ることのできる魅力を持っていた。
プレイヤーは、自国や世界の大海上で、自国の影響力やステータスを増すために、たゆまぬ努力をしている拡大途上の帝国をプレイする。探索や貿易や植民地化や戦争を通じて、資源や所有者のいない土地を支配するために、他の列強と争うことになる。自分の帝国の最終的な支配を確実にするためには、文化収益と政治収益と産業収益と財政収益すべての収支決算を正しく決断しなければなりません。自分が取るべき道、自分が行う戦い、自分の選択が、新たな世界の究極の形を決めることになる。
世界地図がすべて埋まったとき、あなたの帝国は他よりも上位にいることができるでしょうか?


プレイ感

ヴァスコダマと同時期にでたゲームで賞味期限切れだが話題作をようやくやることが出来た。つっても最近またしても大航海時代のゲームが出てるので今、レビューするのが正しいのかも知れん。タメラ、オビ湾、miaとの4人プレイにて。


このゲームは準備がめんどくさい。小さな資源チットをボードにあるマスに全て表向きに配置しなくてはならない。これが大量にある。それさえやってしまえば、ルールはシンプルなのだが、説明には時間が掛かるという。

それぞれのフェイズを各プレイヤーが順に手番を行ってから、次のフェイズを行っていく。最初は、建築フェイズで、自分の個人ボードの建築技術以下の建築物タイルを自分のボードに置く。建築物タイルを得る事によりアクションの種類が増えていくのだ。


ボード全景。各マスにすべてチットを置かなければならない。中央のヨーロッパから6つの大陸への航海を進めていくのだ。

次に増員フェイズで、これまた個人ボードの増員数の駒をストックから手元におく。この駒がアクション駒と考えてよい。多いとたくさんのアクションが行える。アグリコラの子供みたいな感じ。

続く給与フェイズは、個人ボードの給与数だけ、既に建築物に置いているアクション駒を回収する。アクションは置いた時に効果を発揮するので、回収せずに駒が留まっているとまったく使えない事になる。

最後にようやくメインであるアクションフェイズとなる。今まで説明したように、アクション駒を建築物タイルに配置してそのアクションを適用していく。ボード上にアクション駒を置くにはそういうアクションのある建築物を手に入れておく必要がある。
これで1ラウンド終わりで、スタートプレイヤーマーカーを隣に渡して繰り返す。


4ラウンド進んだところの個人ボード。上から順番に建築能力、増員能力、給与、支配力となっている。その下にあるのは自分が建てた建物で、一見するとプエルトリコに似てるが、このゲームではアクションマスとなっている。一番下はカード置き場。なお取得したチット類などはすべてこのボード上に置いておく。

アクションは4つしかない。旗マークは、航路が確定した地域の中で、資源チットを取り、自分のアクション駒を置く。船マークは、航路上にある資源チットに対して同じようにする。
これらで気をつけなければいけないのは、アクションを選択するのに駒が1個、さらにボード上に配置するのに駒を1個必要とするので、2個ないと意味がないという事だ。
木箱マークは、航路が確定している地域の中から一番上のカードを手に入れる。その際、自分の支配マス以下の数字のカードまでしか手に入れられないので、欲しいカードがある地域には、ある程度進出してないといけない。
砲台マークは、他プレイヤーの駒を自分の駒に置き換えるアクションだ。戦争の犠牲として、別途、自分の駒を1個とそこにいた相手の駒をストックに戻す。

勝利点は、資源チット1個につき1点で、ボード上やカードに勝利点マークが描かれているのもその数だけ点となる。また個人ボードの進捗度によっても得点が入る。簡単にいえば、航路マス以外は全て得点になる。
全部で8ターン行い、それが終われば得点集計して、勝敗を決める。

最初に選ぶ建築タイルは、次以降を考えて建築水準があがる工場を選びたいところだが、皆が工場を取ってはおもろくないので、船マークのある船工場にする。


建物(アクションマス)は左下のアイコンのアクションが出来るという意味である。全体的に特殊能力はシステムになく、すべてアイコンで現す事が出来るのは良い。

miaとタメラが工場を取り、オビ湾も変わったものでいいやと船工場を取る。

そしてせっかくなので、早速遠洋航海に出るわしとオビ湾調査隊。

次ターン、わしとオビ湾は工場をとるが、技術力のあがったタメラとmiaはさらに上の選択肢も可能である。

オビ湾「やっぱり最初は工場でしたかねえ」

わしはひたすら外地へと赴くが、皆はヨーロッパで地固めをしてる。
そこでふと自分の作戦が大いに失敗してる事に気づく。
タメラにルールを確認すると、外地は開拓が進まないと植民地化できないし、カードも貰う事が出来ないらしい。

慌ててヨーロッパに置こうとするが良いところは既に取られてどうしようもない状況となった。
良いところというのは、間の航路にチップが置かれている都市間である。航路に駒を置くことは出来ないが、都市間で挟んだ航路上のチップは貰う事が出来る。つまり2カ所置くことで3チップ手に入るのだから、効率は1.5倍なのだ。

しょうがないので、インドの方へ航海開始。オビ湾も同じくインドへ。

わし「インド熱い。皆でインド攻めよや」

オビ湾「そうっすよねえ」

わしとオビ湾はインドに航海を進めていくが、しかし誰も追随せず。このゲームのポイントとして航海に最も力を入れたプレイヤーが、長官職を任命される事になっている。長官タイルにも様々な特典があり、結構大きなウエイトを占めている。といってもこのゲームの良いところは、どれも特別なものではなく、ゲーム中共通して手に入れるアクションや得点の組み合わせに過ぎない。例えば長官になったところで長官ならではの特典があるわけじゃないので、効果が解りやすいのだ。


各大陸にあるマス目が探検度合いを現しており、すべて埋まった時点でようやく大陸への航路が確定するという意味となる。そこで初めて大陸そのものへ駒を置く事が出来るようになり、カードを取得する事が出来るようになる。すべて埋まった時点で最も貢献しているプレイヤーは一番上のカード、長官職を得る事ができる。

この長官職ってのは航海が最後まで進んだ時点で一番貢献しているプレイヤーに与えられるので、ひとりで航海を進めていくのはしんどく、皆で協力していくのが一番良い。
ところが、皆、バラバラに南北アメリカに向かったり、アジアに向かったりとする。理由は簡単で、皆、長官になりたいので、他のプレイヤーに協力したくないのだ。

おそらくシステム的には、たとえ相手に長官職を取られても協力した方がいいと思うのだが、相手を利する事が簡単に見えてしまうので出し渋ってしまうのだ。完全な情報公開ゲームなので、展開が読めてしまい、考えこんでプレイテンポが悪くなった。


7ラウンド目。このゲームはここでプレイ時間の半分くらいなのだ。つまりここまでは進展は速い。やれる事が増える最後の8ターン目はプレイ時間の半分がかかる。

そうこうしているうちに、段々とヨーロッパに置く場所がなくなってくると、どうしても航海をせざるを得なくなる。このゲームではパスは禁じられているのだ。オビ湾がとうとう長官職に就く。

さらに置き方が上手かったオビ湾は他の大陸でも長官職を得る。

オビ湾「これで2長官」

わしも待望のインド長官となった。

わし「あれえ? 長官になってへん奴がおるで?」

オビ湾「ほんまっすねえ。僕ら忙しいですからねえ。あーあ、長官は大変」

ゲームも5ラウンド目以降になると、置けるスペースがカツカツになってくるので、大砲の威力が必要になってくる。これで相手の駒をどけて再占領するのだ。
また最初にどうしても欲しかったアクション駒がだだ余りになってくる。代わりに給与が重要となってくる。何故かというと、アクション駒を回収しないと、そのアクションが再利用出来ないからだ。何時までも居座って貰っては困る。


結局、自分が長官になろうと探検を進めてしまうと、誰も来てくれなくなり、自分一人で進めていかなくてはならない羽目に陥る。

ゲームの最終8ラウンド目は、このゲームのプレイ時間の半分を占める。最後にはアクション駒が大量に増えて、一気にたくさんの行動が出来るようになるからだ。
囲碁のようにヨセが大事だ。どうやれば最も効率的に得点を獲得出来るかに頭を悩ますことになる。

長官職の得点で勝負するオビ湾に対して、わしは大鑑主砲主義で、航海権を奪取する行動に出る。
ここは陣取りと同じで、ボード上のマスはほとんど全て1点(まれに2点)なのだ。置けば置くほど得点は伸びる。さらに、連続して繋げる事でも得点が貰える。わしは最初に目を付けたインドの方で連続効果を得やすくなると考えてそこを重点的に攻める事にした。


最後の8ラウンド目。

一見するとオビ湾が圧倒的に優勢かと思ったのだが、結果、バランス良く得点できたわしが勝利する事が出来た。

所要時間2時間40分


終了時のボード。各大陸で支配を進めたわしが勝利。

ソマーリオ

同じ年にエンデバーとヴァスコダガマと大航海時代のゲームが出て、ヴァスコダガマの方がフレスコに負けたものの僅差でゲーム賞2位になったのがなんとなく頷けるゲームだ。エンデバーは6位。

エンデバーには大航海時代に求められる浪漫がないのだ。長官職を取りたいという理詰めの要素は不確定要素の強い大航海時代を描くには不満がある。完全情報公開として他プレイヤーを利してたまるかというネガティブなシステムもあまり好きではない。

ルールを聞くと大航海が進んでいき、自分のボードの技術があがり、人が増えていくといった非常にワクワクしたものがあったが、実際にやってみると、完全なアブストラクトで、ひたすら理詰めで戦っていく。そこにわしが求めている楽しさはなかった。

自分の求めているものと違うだけで悪くはないし、ガチな勝負をしたい人には非常に受けるゲームだろうが、プレイ時間が掛かりすぎるのは引っ掛かる。色んな方法を考えなくてはいけないので、チェックに時間が掛かるのだ。

コンポーネントは、雰囲気もばっちりで文句なし。ただし大量のチットをボード上に埋めていかねばならないのと、カード類も出てくる順番通りにセットしなければならないのは大きな欠点である。さすがにこれは準備に時間が掛かりすぎる。

システムは圧倒的にエンデバーの方が洗練されているが、どっちかというと荒削りだが大航海時代というツボをきちんと抑えているヴァスコダガマの方がわしは好きだ。

エンデバーでは協力したいという何かの要素が加われば、ごろっとプレイ感が変わり相当面白くなると思うのだが、追加ルールでも出来ないかと思う。そうだ、副長官職を作ればいい。そうすればもう少し協力的に航海を進めていくだろう。エンデバーのこういった仕方なしにやらなければならないという非協力ゲームは、2人プレイ専用のシステムなのだ。ところどころでバトルラインをやってる感じだった。

gioco del mondo