Reiner Knizia

KOSMOS
Fantasy Flight Games
ホビージャパン

2〜5人
30分

砂漠を越えて


砂漠の民、ベドウィン族には多くの部族が存在している。
ラクダを乗りこなし、オアシスで、しばしの休息を行う。
今、5つの部族に注目し、彼らの日常生活をみてみよう。

レビュー

まだ大阪におった時、TAMが出してきたのがこのゲームである。なんとも地味なタイトルでTAMもなんでこんなんを買うたのか解らなかった。3人でやってみるとさすがはくにちーとその印象はすぐに変わった。非常におもろかったので、すぐに買おうとしたが、すでにドイツ語版は流通していなかった。しばらく経つとファンタジーフライトから発売されたので、中身を確認してドイツ語版と同じ駒を使っているのですぐに購入。その後、ホビージャパンから日本語版も出たが、恐ろしく地味なタイトルゆえにあまり見向きもされていないまま現在に至ってる。
いつかはレビューせんとと思ってたが、miaとようやく2人プレイしつつ写真を撮ることが出来た。


このゲーム、ルールは非常に簡単なのだが、準備に少し時間が掛かる。といっても、昔のドイツゲームにしては、という程度であるが。
準備としては椰子の木をマークの位置に立てる事と、水飲み場タイルをマークの位置にランダムに表向けにおく。自分色の騎手を5色のラクダ駒に乗っけて、順番にボード上に配置する。これで準備完了。


騎手の色がプレイヤーカラーで、ラクダは5色ある。丸タイルは水飲み場タイルでそのまま得点となる。木の周りのマスがオアシスで、ここに駒を置くと5点もらえる。

手番には、5色あるラクダ駒を2個ボード上に配置していくだけだ。配置する場所は、自分の騎手の乗ってる同じ色のラクダ駒に連結するようにおいていく。水飲み場タイルの位置に置いたら、そのタイルを取って自分の前に裏向けにしておく。これが得点となる。椰子の木の周りに置いたら5点マーカーを貰えるが、一つの隊商につき同じ椰子の木からは1度しか貰えない。


手番には2個の駒を置くだけだ。水飲み場タイルの場所におけば、そのタイルを貰える。見た目通り、思いっきり陣取りで、相手の進路を上手く邪魔すればいいのだが、選択肢が豊富なので、かつかつ感はない。

こうやって手番を行っていき、どれか1色のラクダ駒が無くなればゲーム終了。各色、一番長い隊商には10点のボーナス、それとマス目を同じ隊商で囲む事が出来たなら、そのマス数だけボーナスが貰える。これに手に入れた得点タイルを合計して勝敗を決める。

囲うことについて少し説明が必要で、同じ色の隊商でぐるりと囲えばいいのだが、中に他のラクダ駒がいてはならないのと、山やボードの端を利用して囲むのもありなので、こちらを利用するのが良いだろう。そして囲んだ時点で、中にある水飲み場タイルは全て貰える。

見ての通り、運の要素はまったくない、完璧な陣取りアブストラクトゲームである。
このゲームのポイントは、如何に多くのマスを囲えるかにあるかである。囲えるマスは1マス1点だが、水飲み場タイルが1〜3点な事から、1点の重みというのはかなりでかい。さらに言うなら、中に未取得の水飲み場タイルがあればスウィープできるという一石二鳥なのである。


山とボード端を上手くつかい、同一色の駒でマス目を取り囲むようにすると、そのマス目の得点が貰える。しかもその中にある水飲み場タイルも貰える。ただし、中にラクダ駒が存在してはいけない。

目先の得点を狙うため、miaは水飲み場タイルに連結してちょこちょこ得点を稼ぐ。
確かにそれも大事なので、わしも3点タイルを狙いつつ、なるべく囲えるように駒を置いていく。

一度における駒は2個なので、なんせ早い者勝ちである。お互いに相手に侵入されないように駒をどんどんと並べていく。


水飲み場タイルは伏せ情報で、オアシスは公開情報である。

戦後の混乱の中「ここはわしの土地じゃあ」といって勝手に縄張りをして土地成金になった人も多い事だろう。よう解らんがそれと同じだ。

そして、ゲームは突如終わる。
miaがあと1個で土地を大量に囲えるところで、わしが強制的に1色の駒を尽きさせてゲーム終了させた。


このように緑の駒で陣地を確保。これで9点だ。さらに水飲み場タイルも貰う。

得点計算を行うと、わしがほぼダブルスコアで勝利。

mia「イカサマしてんじゃないでしょうね?」

やっぱり2カ所で土地を囲えたのが大きかった。

所要時間15分


最終形。


わしの得点。10点ごと分けると計算しやすい。

miaのコメント

パステルカラーの駒がどうにもいけない。トゥイクストみたいなんはやっぱり苦手。

ソマーリオ

アブストラクト嫌いのわしもこのゲームは隠れたる名作やと思ってる。パステル調の駒は最初どうかと思ったが、ボード上に駒がずらりと並ぶので、濃い原色系やとうっとおしく感じるかも知れない。また砂漠での太陽の反射をもイメージしており、とても良いように思う。

またラクダの駒も騎手駒も椰子の木も非常に凝っており、こんなに大量に付属してるのに異様に価格が安いというのも魅力のひとつだろう。そこから察するにKOSMOSもかなり力を入れていたに違いないが、やっぱり砂漠という地味なイメージのため、今ひとつだったようだ。

通常のアブストラクトとは違い、水飲み場タイルという目先の得点があるために、打つ手もなくやられたと感じる事が少ないのがとても良い。
プレイ感が軽めなのに、やってることはシビアという相反する事を平然とやってのける、この時代のくにちーはまったくもって素晴らしい。

同じような陣取り要素をもつハチエンダと比べてみるのもいいだろう。ただプレイ感はトゥイクストに近い。よく言われる囲碁にはやっぱり似ていると思う。
視認性が悪いと言う人もいるようだが、わしはまったく視認性については悪いとは思えない。まあ、パステル調の薄い色なので、判別しにくい人はいるかも知れない。

2人からでも出来るが、やっぱりこのゲームはもっと多人数でやって混沌とさせた方が絶対に面白い。ボードゲームのくせに、プレイ時間が恐ろしく短いところも良く、負けてしまってもすぐに再戦できる時間はたっぷりとある。もう既に忘れ去られようとしている作品だが、まだ流通在庫が残ってるようなので、こういった名作を埋もれさせるのは惜しいと思った。是非やってみて欲しい。

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