本間直樹

骨折ゲームズ

2〜5人
10分

ドナドナ

ある晴れた昼さがり、市場へつづく道
荷馬車がゴトゴト、子牛を乗せてゆく
何も知らない子牛さえ
売られてゆくのがわかるのだろうか
ドナ ドナ ドナ ドナ 悲しみをたたえ
ドナ ドナ ドナ ドナ はかない命

作詞 安井かずみ(初期バージョンの歌詞らしい)

プレイ感

2010年ゲームマーケットにて骨折ゲームズで購入。今回は競りだ。果たして日本のクニッツィアとわしが勝手に命名したBone5さんの手腕や如何に! 事と次第によっては、すぐ剥奪する予定あり。
競りのゲームなので人数集めてやらんとと思ってたけど、オビ湾が二人でも楽しかったすよというので、試しにmiaと二人プレイしてみた。まあ、試しにと書いててその後本格的にレビューした事はないのだがw
かなり前に書いたのだがすっかりレビューをあげる機会を失ってしまった。しかし、このまま埋もれさせてしまうのももったいないのでゲムマ2012が終わったどさくさに紛れてあげてみる。


プレイ人数に応じて、動物タイルを引いて荷馬車に並べていく。これらの動物の数だけ非課税となる。最初に書いて置くが、税金はべらぼうに高くケツの毛まで抜いてかれるので、非課税分の動物を上手く集める事が主眼となる。

手番に動物タイルを4枚引く。自分が競り主となって、これらの動物タイルを競りに掛けるのだ。競り主が1枚あたりの価格を宣言する。それに応じて、他のプレイヤーはその値段で買いたいかどうかを○×の札を使って、こっそりと競り主に意思表示するのだ。競り主は、集まった札をこっそり見て、値付けし直しするか、それで決定するかを判断する。値付けし直しは、あと2回まで出来る。


中央の荷馬車の横に並んでいる各動物タイルの枚数が非課税となる頭数である。手番に4枚のタイルを引いて、それらを丸々売りに出す。他のプレイヤーは○×タイルを使ってその売値で買いたいかどうかの意思表示をする。

ここで若干ややこしいルールがあるのだが、簡単に言うと、○の人だけで出来るだけ均等になるように動物タイルを分けるという事だ。どれを渡すかは競り主が決める事が出来て、お金は競り主のものとなる。全員×だと競り主が罰として自分でその値段(+罰金)で4枚とも購入しなければならないが、とりあえず3回値付け出来るのでなんとかなると思う。

と、これがマルチプレイのルール。二人やとちょっとこの部分が変更されて、競り主も自分で○×を出して競りに参加するようになる。


今回は二人なので、自分の×とmiaの○を手にする。多人数プレイの場合は、他プレイヤーの○×タイルを自分だけみる事になる。

手に入れた動物タイルは非公開情報として裏向けに山にしておく。また手持ちのお金も非公開でいい。どちらも自分は好きな時に見ていい。

こうやって最後までタイルを競って、ゲーム終了。決算はちょっとややこしい。ゲームはお金ではなく得点で決まるが、まず、税金を払わねばならない。各種、非課税を超える頭数につき1頭当り、10G、20G、30G…と課税される。最初の持ち金が50Gから考えるととんでもない額だと解るだろう。この時、好きな頭数だけ残して税金を払わずに動物タイルを捨てる事も出来る。で、残った動物タイルを枚数別に分ける。1番少ない動物は1枚1点、2番目に少ない動物は1枚2点、3番目は…として計算する。つまり5種類の動物を集めないとてんで話にならないという事だ。その総得点が多いプレイヤーが勝ちだ。

序盤、競りゲームが苦手なmiaは相場が解らないというので、まずわしが先攻を取った。

わし「5G」

mia「うーん、それってどうなのかなあ?」

Bone5さんのブログによると、ヒントとして最初の値付けは、いきなり借金はないとして、1頭当り12G以下になるだろうとある。(下手をすると4頭丸ごと引き受けなければいけなくなるので)ただし、そうすると2回目の競りに参加出来ないので、そこらへんを考えると大体の値付けが解るとあった。

そこでわしは2回競りをやって、全部手に入れても大丈夫な価格として5Gを宣言したのだ。

miaは○。わしも○だ。最初なんでこれで2頭ずつ手に入れていいでしょ。

わし「じゃ、お前この2頭な」と非課税頭数が少ない動物を渡す。

mia「なんか損してない?」

わし「しょうがないやん。競り主が決めるんやから」

次はmiaの値付け。ここは4Gでお互いに落札。なんかカスがきた。


木馬のタイルはワイルドカードである。


このように場にある好きな1枚と交換する事が出来る。そうそう、手に入れたタイルは裏向けの山にしておく。

うむ、どうやら、二人プレイの場合は安く値付けしても大丈夫と解る。という訳でわしの次の値付けは…

わし「3G」

mia「安っ!」

ふむ、わしもmiaも○か。そしたら…

わし「じゃ、やり直しで、2G」

mia「ちょっと何それ」

mia○か。ま、ここらへんで手うっといたろ。

さらには…

わし「じゃ、2G」

mia「いきなり!」

動物はmiaにとって既に多く持ってるカス(非課税を超えている頭数)ばかりだ。miaは×を渡してきた。わしは○だが、当然やり直し。

わし「1G」

miaはまたしても×、わしは○。

わし「ほな、1Gでわしが4頭貰う」

mia「ちょっと、何それ!」

わしも全頭は要らんかったが、税金が払えなければ、破棄すればいいだけだ。安く手に入るなら多いに越したことはない。

時には、miaに高値で売りつけるために値段を上げたりもした。

このゲームは値付けを3回出来るので、相手の動向を探れるのがいい。
今までこんな競り無かったで。

そして最後の競り終了。

税金をなんぼ払えるか計算する。単位切り下げの残金はわしが30G、miaは10G。つまりわしは1種類ずつなら3頭、1種類だけなら2頭払える。miaは1頭だけだ。

ここで活きてくるのが免税タイル。わしは2枚、miaは3枚。これで無税にして出来る限り1種類の枚数を多くした。


最後は税金払えない奴は破棄して得点計算。犬のタイルは単純に3点入る。

結果、わしの勝利。

所要時間30分

思ったよりも税金が払えない事に愕然とする。もっと途中で免税タイルを手に入れておくべきやったわ。

ソマーリオ

さすがは日本のくにちーと呼ばれるだけある(継続中)。若干、最後の決算システムがややこしいが、お金を使いながら、勝敗はポイントというオリジナリティ溢れる課税システムに驚いた。

さらに、この競り。今までこんな競り見たことないわ! 競りと言えばくにちーで、モダンアートのワンスアラウンド、フリーオークション、指値入札と、ラーのタイル入札でほとんど競りの形式は出尽くしたと思ってた。これくにちーに送りつけてもええんちゃうか? 凄いで、これ。それでいてまったく破綻していない。

今回二人プレイなので、この競りシステムを最大限に利用出来た訳ではない。マルチプレイとなると、誰を得させ誰を損させるか、仮想敵を作って、値段を上手くコントロールする。時には上げすぎて自分の責任払いになるかも知れないが、相手を脱落させるためにギリギリの値段をついていく楽しさがある。

副産物として、初心者にとって解りにくい相場を手探りで指値出来るところもいい。これによって初心者に敷居を大幅に下げる。「この値段でどう?」と訊くことで、こっそりと教えてくれるのだ。こんなに優しいシステムはない。

非課税の動物は、相対的に場に出る枚数も減る為に、集めるのが難しくなっているところも見逃せない。

なんというオリジナリティ。さすがは日本のくにちー(継続中)。
ただこのゲームは二人プレイでは真価は発揮出来ないと思う。近いうちに多人数プレイもやらねばなるまい。
その後、タナカマらと4人プレイを行ったが、やっぱりよう出来てた。

コンポーネントは、相変わらずタイルは全て打ち抜き済みのユーザーフレンドリー仕様。動物タイルは悲哀に満ちた感じがしてなかなかにいい。そして惜しむらくはこれも同人ゲームなので作りっきりの絶版という事だ。やっぱりこれはメーカーに売り込んで出すべきやと思う。
わしがやったBoneさんのゲームの中でこのドナドナが一番の意欲作だと思う。実際にゲームを作ったら解ると思うが、こんなけったいなアイデアをシステムとして昇華させるのは並大抵ではない。

gioco del mondo