Reiner Knizia

Hans im Gluck

3〜5人
60分

モダンアート

駿河屋で購入
世界各国を画商は駆け回ります。

今最も熱い現代アートを求めて。画商の彗眼にかなう芸術家は、Lite Metalでしょうか? それともKarl Gitterでしょうか?

しかし気を付けてください。モダンアートの価値ほど難しく気ままなものはないのです。大枚をはたいて購入したモダンアートが二束三文になる事なんてざらにあるのですよ。

プレイ感

競りゲームの最高峰、クニッツィア最大の貢献といっても過言じゃないゲームがこれ。他にメディチやラーなど競りゲームを色々出してたが、これだけで全て完結してるやんと思う。上記を含めてクニッツィア三大競りゲームとか言われてるのも片腹痛いわって感じ。

リクエストがあったので、ようやく、TAM、ひきぷ、bisco夫妻と5人プレイにて。


5人の描くモダンアートを手札から出してそれを皆で競るのだ。それぞれ絵は特色がある。


このゲーム多様な競りがあり、それはカードごとに指定されている。
なかでもいっちゃん熱い競りはフリーで値段をつり上げる競りである。

TAM「12」
わし「15」
TAM「16」
ひきぷ「17」
……
bisco嫁「20!」
おおお!
TAM「21」
わし「TAM、おまえ1ずつしかあげてへんやんけ!」

まるでサザビーズ、クリスティーズでほんまに競っているかのようにあちこちから声があがるのだ。


絵にはそれぞれオークション方式が定められている。左がワンスアラウンド、一番右がフリーオークションである。真ん中の2枚はダブルといって、もう一枚同時に出して競らせるカードである。

そのなかで、嫁に向かって「無理して買うたらあかんで」と抜かすbisco。
そして

シールドオークションではあの幻の、

フィストファック!

が可能なのだ。

メディチで有名となった1巡で勝負を決めるワンスアラウンド形式、自分でうる値段を決める固定オークションと全てのオークション形態が集約されている。

昔から口を酸っぱくして書いてるが、競りゲームで最も重要な相場勘がある。これがすぐに分からない競りゲームはすぐに失格の烙印を押していた。

モダンアートは1枚大体いくらで売れるかっていうのが基本姿勢となっていて相場がとても分かりやすい。それはまた二束三文になる絵も分かりやすいということであり、競りの値付けに没頭出来る。これはすなわちデザイナーが意図した通りにプレイヤーが没頭出来るという事に他ならない。


5枚目の同じ画家の絵が出たところでそのカードは競らずにラウンド終了。今まで出た枚数によって絵の価値が上がる。それを売ってから次のラウンドが始まる。

わし「30」
TAM「31」
bisco「これ絶対に上がりますよ。僕が値段をあげます!」

※絵の価格は、ラウンドごとに出た絵の枚数による。つまり手札で絵の価値を操作出来るのだ。価値を上げたい絵はばんばんとオークションに出せばいい。


上から絵の価値が30,20,10と付けられる。4ラウンド行うが、価値は全て持ち越しである。つまりライトメタルは3ラウンド目には最低でも40の価値がある。これはゲームのインフレーションを起こさせ、最期の一発逆転をもたらしている。絵の価値はこれを見れば明らかなので相場はとても掴みやすい。

bisco嫁「うーん、、34」

熱く競りに競るのだ!!

bisco「ほら、あんまり無理せん方がいいよ」

こそこそとbiscoは競りゲーム苦手で無理につき合って貰った嫁に耳打ちする。

bisco「あきおさん、かなり有利ですねえ。モダンアートの勝ち筋ですよ」

嘘こけ。わしゃ適当にやっとんねんて。

その通り、最終結果はbisco、ぶっちぎりの勝利。

所要時間50分


な、なんと、全ての絵の価値が最終ラウンド同じになってしまった。。。

そう、biscoは、わしらが熱く競るのをみて、一人だけほとんど絵を買わず、煽って売るだけで勝ちを収めたのだ。

(|| ゜Д゜)ガーン!!

なんつー、ゲーマーなやつ。

考えてみれば、嫁のアドバイスもそれに準じてるし。。

biscoのコメント

この作戦は初めてやってみたんですが、上手くいきました。もしこれで負けてたら、しょぼかったですよねえ。。勝てて良かった。

確かにそんな作戦もありやろうけど、それはヘビーゲーマーの会でやりなされ。とちょっぴり苦言。

しかし鵺、値付けを知ってるだけにさすがに強いな。

TAMのコメント

いやあ、biscoさんにはやられました。グレイトです! しかしこれはおもろいですよねえ。僕の持ってる再販版は若干、色数が少ないですが、贅沢は言えませんわ。

ソマーリオ

この時代がクニッツィアの最盛期やと思われる。最初に競りゲームの集大成を出してしまえば後の競りゲームなど蛇足に過ぎん。

またこの時代に始めたからこそ、わしゃクニッツィアにはまったのだ。

それにつけても5枚目の絵が出た時点で、それはオークションにかけられずラウンド終了といい、初めてルール読んだところ「え?」というのがちりばめられている。それはとても上手く機能しており、この全てを出さずに終了パターンはクニッツィア作品によく使われている。例えば手札を使ったら終わりじゃなくて山札がなくなったら終わりとかね。これはクニッツィア隠れたる名作であるメンバーズオンリーでも効果的に利用されている。

biscoいわく「ダブルのカードは同じ画家じゃないようにしないと強すぎる」て話も、ヘビーゲーマー同士なればこそであり、それはそれでいいのではとわしゃ思う。

※ダブルカードってのは同じ作者をもう1枚出して競る。2枚一度に競るので当然レートは高くなる。

とてもドライなクニッツィアだが、ジョーカーのような切り札が仕込まれているってのがいいのだ。
これにより、モダンアートは値付けをよく知っている実力あるプレイヤーだけが勝つってのを防いでいる。ダブルのカードは初心者への招待状であり、確実に勝てると目算しているプレイヤーへの番狂わせを演出する。

最初このゲームを買うた時は、あまりのシンプルなコンポーネントにがっかりした。
わしが持っているのは、mayfair版であり、プラスチック製のお金チップに自分でいちいちシールを貼らなければならなかった。それだけで駄目そうって思ったものだ。

それでやる機会がなかなかなかったが、やってみるとこれほどシンプルでおもろい競りゲームはないとすぐに分かった。

これは私的な感想だが、絵の質はあまりレベルの高いものじゃないのが残念かな。

クニッツア最高傑作の競りゲームは、再販されて誰にでも手に入るようになっている。少し絵の色数は少ないが、まったく目を瞑れる程度なので、競りゲームとはなんたるかをこのゲームで是非知って欲しい。旅行に持っていけるコンパクトさはウリでもある。

gioco del mondo