Klaus Teuber

KOSMOS

3〜4人
90分

ニュルンベルクの開拓者

ニュルンベルクはドイツ有数の都市である。
戦争に備え、甲冑、兜、剣を鍛える。或いはコンパス、紙など文明の利器を生産する。
ここは小さな未開の島ではない。
既に街道がある。街道沿いに都市を作り発展させていくのだ。
西暦1400年、目標はドイツ最大の工業都市である。

プレイ感

TAMが、もう売りたい(またか)という事で持ってきたのがこれ。ニュルンベルク・トイフェアの記念に作られた特別版で、単体でプレイ出来る。「カタンシリーズの中でも評価が高い奴やで」というと「もうカタンばっかり要りませんわ。とりあえず高かったんで1回くらいやってから売ります」との事。TAM夫妻との3人プレイにて。

基本はカタンなのだが、いくつか細かいところでルールが違う。カタンではサイコロの目で資源が出たが、ニュルンベルクではカードをめくる。カードはサイコロの目が確率通りの枚数ある。つまり2と12は36枚中1枚ずつだ。カタンでは乱数の偏りが起きたが、つまり「なんで2ばっかり出るねーん」つう奴だが、ニュルンベルクではカードで制御されているため、確率通りの目しか出ない。あくまでゲームを通じてだから、厳密にはそうではないが、これによってあの妙ないらつきがなくなる事請け合いだ。

※ 例えば残りのカードが2と8しかない場合、2の出る確率は2分の1である。また先に8が出れば次に2の出る確率は100%になってしまう。サイコロなら、どのケースでも2の出る確率は36分の1なのだ。

他にも重要な違いがある。開拓地の建設は自分の交易路に接しており尚かつ最低1区間離れていなければ作る事が出来なかったし、どの場所でも建てる事が出来た。しかし、こいつでは、ニュルンベルク市街に通じている(既にある)街道沿いにしか開拓地を建てる事は出来ないし、違う街道であるなら、隣接していても構わない。大切なのは同じ街道上で1区間離れているという事だ。また自分の交易路と接している必要もない。1本でもあればそこに開拓地を建てる事が可能だ。


これが右半分。カタンおなじみの資源が貰えるのだが、目は固定、街道は太くなっているところにしか建てられない。全ての街道はニュルンベルク市街に通じている。

それよりカタンとの最大の違いは、ボードの左半分にニュルンベルク市街が描かれており、こちらに工場を建てるという事なのだ。工場を建てると、そこで作る事が出来る製品で金に換える事が出来る。金は新しい資源として扱われるが、商品を生産する事でしか手に入れる事が出来ない。この金は、勝利ポイントの入る評議会カードを手に入れる為の城壁を作る時に必要不可欠な資源となっている。今までのカタンでは、余剰の資源カードは、交換するか、泥棒に持って行かれるかしかなかった。ニュルンベルクでは、これをお金にしてストックしておく事も可能だ。


こちらが左半分のニュルンベルクの市街。ここには工場をたてる事が出来る。カタンの港とよく似た役割だが、工場では物を生産し、第5の資源、お金を得る事が出来る。またこの周りに城壁を作っていくのが勝利点を稼ぐ近道となる。年代マーカーは1400年に達したらなんせ終わりである。

金への交換レートはあまりおいしくないが、ここにも工夫が見られ、その製品の最も重要な街道ルートが決まっている。ここに最大数の交易路を置いていると、他プレイヤーが商品を生産した場合、権益としてゴールドを貰う事になっているから、交易路の権益は非常に重要だ。半分ごっそり持ってかれる。

最初のセットアップで、なんかわしが独占出来る街道が1つもなくて、無茶苦茶、損な感じがする。3人プレイではこの初期配置あかんのんちゃうの。街道を抑えるという事は上記に書いた以外に例のカードがめくられた時、同時にイベントが書かれており、税収などを他のプレイヤーから貰ったり出来る特典があるのだ。


カタンを知っている人には不思議な光景だが、このように街道はルートを抑えるという意味だけで他人のんだろうが接していれば建てられるのだ。で、6つある同街道上で最も多い人が街道を抑える事になり、税金を貰ったりする権限を得る。

結構、序盤わしは悲惨な状況になってまさにニュルンベルクはTAMまんせー状態となりつつあった。しかし、ここがカタンのバランスの素晴らしいところ。二人が争っていると、一人が楽になるのだ。そこで、こそこそと開拓地を揃えて、なんとか街道を抑えるわし。

わしは、ここで工場に目をつけた。ニュルンベルクでは、カタンのように開拓地→都市と発展させない。資源の出る場所では常に開拓地であり、ニュルンベルク市街では常に工場のみを作る。TAM嫁もいち早く工場経営へと一歩乗り
さすがTAM嫁。すでに3軒も工場を建てている。表の見方は甲冑なら鉄鉱3、木材1で金貨6枚手に入るが、税金として3ゴールド払うという寸法。建てた場所にあるマークのものを生産出来る。また中心地ではおなじみの3:1貿易や、木材2:1貿易などの場所が見える。

出し出遅れた形だが、なんとかわしも工場を建てた。工場では、場所によりカタンの港のように3:1貿易とかが可能となっているのでいい場所は早めに取らねばならない。

そして、工場の重要な街道ルートを抑えたわしは、ここで兜の生産に踏み切る。鉄鉱石2枚と材木1枚でお金8に交換と。兜が特産物になりうる場所に工場を建てている場合、倍のお金が入るのだ。そして交易路の権益(例えば兜なら権益を持ってる人に2ゴールド支払う)も自分なので丸々手に入るという寸法。

わし「おお! なんか嬉しい! これが製品を作る喜びなのか。もう今の日本人は忘れてしまったモノ作りがここにはある! (←言い過ぎ)」

街道を抑えているので手元には倍額でそのままがっつりとお金が入る。このお金がいい。他の資源カードと違い盗賊からは盗られないわ、8枚以上あってもほかす必要はないわと、まさにお金が持つ特性のひとつ、貯蓄という意味を表している。


なんせ上のルートを抑えて、兜の権益を確保しなければ!


2軒目の工場を建ててからは一気に加速。

それ以降は、兜を生産してはお金に換え、お金に換えては城壁や塔を作り評議会に大きな権限を持った。評議会の最大の権限者は4勝利ポイントもあり、そのままあっちゅう間に勝利条件である13ポイントを満たした。それこそ、わしを含めた皆が「え?」というくらいのスピードで。もちろん、TAM夫妻も同じように生産を開始したが、資源カードの出と、兜の生産がマッチしていたわしには追いつかず。盤上では、明らかにわしが負けていたのだが、この生産力の違いでニュルンベルクの名士となり制覇。この城壁と塔はニュルンベルクで勝つための重要なテーマとなっている。城壁を建てるのに唯一お金を使うのだ。

所要時間70分

TAMのコメント

これむっちゃおもろかったんですね。売るの辞めときます。

ソマーリオ

かなり面白いやん。これは元々、限定発売やったらしくなかなか手に入らなかったが、増産されて手に入りやすくなった。しかしタイトルがタイトルだけにドイツ以外ではあまり売られていないというか売る気がないようだ。

カタンに工業ルールを追加することで、一歩進んだ都市開発を行う感覚を味あわせてくれる。お金を手にする喜びというのがこのゲーム最大の売りだ。一生懸命、ルートを抑え、工場を建て、製品を作り、お金を儲ける。この感覚はニートに是非やって貰いたい。ひょっとして人生が変わるのではないかというくらい、嬉しくなってくる感覚なのだ。

同じような喜びを味わえるプエルトリコとはまたひと味違ったタイプのモノ作りゲームで、カタンのルールと見事に調和させており、ニュルンベルクという街に限定しているのがもったいないくらい完成されている。これ、地元の街で作ったらたまらんやろなあと思う。

冒頭に書いたカタンルールとの違いは、ケチのつけようがないくらい見事にゲームに溶け込んでおり、標準のカタンでも採用してもいいんじゃないかとさえ思う。ゲームの収束性も素晴しく、最初はなかなか展開が動かないが、工場が建ち始めた頃、一気に場が動く。そしてそれでも終わらない場合、規定ターン数(西暦1400年)が終了すればゲームが終了となっているのだ。ターンは西暦で表示されてなかなかに面白い。ただそこまでいけば2時間ゲームになるだろう。それでも十分だれることなく楽しめるだろう。

正直、カタンシリーズは元のカタンが一番おもろかった。というより、他のカタンはおもろくなかった。外れが多い。元カタンがあれば不要。とわしは思っていたが、このニュルンベルクをやって以来、他のカタンシリーズが気になって仕方がなくなった。カタンブックも海カタンを持っていないので売ろうかと思っていたが、海カタン+拡張をヤフオクでゲットして、やる気十分である。
わしのような中量級が好きなゲーマーには、現状、元カタンのあっさりさよりも、このニュルンベルクのような一歩進んだカタンの方に魅力を感じる。初心者には絶対に奨められないがカタンを何度も遊び倒し、別のカタンをやりたいと思う人は是非、このニュルンベルクの開拓者をやって貰いたい。カタンの中で最も重要でエキサイティングな試みがこの中で行われている。

あまりにも欲しくなったので、わしも後日、ヤフオクでこれをゲットしたのは言うまでもない。

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