Alan R. Moon

Aaron Weissblum

Piatnik

3〜6人
100分

タイムパイレーツ

俺は時空を股に掛けるタイムパイレーツだ。どうだい、見てくれこのいかした格好を。ジーンズに2丁拳銃、腰にはサーベルをさして、俺たちのシンボル骸骨のTシャツさ。ちょっと時代がおかしいんじゃないかって?

ノ、ノ! 俺たちは時空を股にかけてる海賊だぜ。時代は混ざって当然さ。混ざってない奴らは二流なんだ。この格好で俺たちはタイムラインを遡り、中世、近世、未来のあちこちで貴重なアーティファクトを盗むんだ。そして闇のバザーでそれを売って権利書を手に入れるって寸法さ。

しかしそんな俺たちを捕まえようとする奴等がいる。タイムポリスだ。どこにでもいるだろ? 時空を守るとかなんとか抜かす奴等がさ。しかし俺はそう簡単には捕まらないぜ。

プレイ感

なんでこんなん買うたんやろと、しばし熟考。たしかB級SF分科会で、エルフェンランド以上とかなんとか書いてたのを見て輸入したような気がする。。箱絵、ボード、タイル、全てにおいてデザインセンスが感じられない。ぺらっぺらっのタイル、とりあえず木製やったらいいやろという全然未来を意識させない駒。極めつけは、どこをどう好意的に読んでもおもろさを感じさせないルール。というかルールこれでほんまに合うてるんかと思わず疑う程のシステム。唯一の取り柄は時空を股に掛けるという設定だけという。

この前、まったく魅力を感じなかったオアシスをやってみて個人的にアランムーンまんせーの時代がやってきた。つう訳でこの異色作を、TAM夫妻、兄、MIRUと5人プレイにて。

このゲームは手番に2アクション貰える。その時代のアーティファクトを1つ取るか、タイムラインに従って移動するか、バザーに移動するか、だ。選んで2つ行う。最初のステップは簡単。だって2アクション行うつっても、とりあえずタイル2枚取るだけ。それの繰り返し。

で、その時代のタイルがなくなったら、タイムラインを辿って別の時代に移動、そして残りの1アクションでタイルを1枚取る。

これ、ほんまにおもろなるんかな。。

ところがタイルが無くなり始めた頃から、変わってきた。自分の手番の開始時にタイムパイレーツがいない時代を丸々補充するのだ。そのなかにはタイムポリスが動くタイルが入ってる。


各時代に置いてあるアーティファクトを盗むのだ。移動はタイムライン(1か2)に従って出来る。下に置いてあるのがタイムポリスタイル。アーティファクトに混ざってるこれを引くとタイムポリスが数字に従って移動してきやがるのだ。
やり始めた当初、「マハラジャやマハラジャや」とラージャ(マハラジャ)の後にプレイした為、騒いでた左上にあるタイムポリスの黒駒。マハラジャと違って近づくとエライ目にあう。

そう、とうとう奴等が動き出したのだ!

タイムポリス「きみ、きみ、その手に持ってるのはなんだね?」

TAM「あ、、」

タイムポリス「それって、1311年のマリアの血痕と違うの? なんで君が持ってるの」

TAM「・・」

タイムポリス「返しなさい」

TAM「す、すんません」

※ 捕まると一番たくさん持ってる色のタイルを1枚とジョーカータイルがあれば全て返却するのだ。

奴等はさらに動く動く。一度タイムポリスの味をしめたプレイヤーは、捕まえさそうと、タイムラインを読みながら(1と2があり、ポリスが動くタイルに表示してある)がんがんタイルを引き始める。

タイムポリス「きみ、ちょっと待ちなさい」

わし「あ!」


がっひょーん!!

タイムポリス「その手に持ってるのは2110年のデジタルアイドル、ラブリーまなみちゃんダッチワイフとちゃうのかね?」

わし「い、いや、落ちてたんです」

タイムポリス「なんで、1620年におる君がまなみちゃんを拾えるのかね? 返しなさい」

わし「すんません」

こそーり

タイムポリス「ちょっと、君、今逃げようとしたね。あ、君はもう帰っていいよ」

わし「はい、それじゃ、僕、いきます」

※ 捕まると1アクション目は必ず移動でないといけない。

兄「いや、違うんです」

タイムポリス「何が違うんだね。じろじろ・・」

兄「返します・・」

タイムポリス「結構」

なんせこのタイムポリスの恐いのは、同じタイムラインを使ってくるので、後から後から追いかけてくる可能性があるのだ。

わし「アトミーック!!」

説明しよう。アトミックムーヴメント(核融合転送)とは、タイムラインを無視していきなり好きな時代に移動出来る特殊アーティファクトなのだ。しかもこういった特殊アクションは、手番に何度やっても良い。
これ以外にもタイムポリスを交わす手段はある。いったん自分の時代に移動して(手元に戻して)バザーで権利書を買う時である。次に戻る時は好きな時代にいって良い。

MIRU「ちょうちょう、おっちゃん、これ頂戴」


ここがバザーである。一旦駒を外部に置くとここに到達する。そして権利書を買うのだ。ボーナスが貰えるので全色を買う方がいい。白い■分が払うアーティファクトの数(価格)で、数字が価値である。右にあるのがワイルドカードになる白の権利書好きな色に変える事が出来るのだが、値段は若干高くなっているし、払うアーティファクトも色違いでないと買えない。

バザーの人「あ、おねいちゃん、これあかんわ。色ちゃうやん。このアーティファクトのシリーズやったら、これしか交換できんわ」

MIRU「ほな、それ貰うわ」

バザーの人「毎度ありー」

※ アーティファクトは5色あり、それぞれ同じ色の権利書しか買えない。同じ色のアーティファクトを集める必要があるのだ。また白の権利書は特別でジョーカーとなる。白のアーティファクトも好きな色に出来るジョーカーである。

わし「ルールとして、タイムポリスと同じ時代に移動しても罰則はないで。自分のターンの開始時に一緒におったら、怒られるだけやから」

TAM「なるほど。じゃ、ここに行きますわ」

タイムポリスの目を盗んで、窃盗を働くTAM。

全員、タイル補充をせず。

当然、タイムポリスは動かない。。

タイムポリス「きみ、こら、ちょっと待ちなさい!」

TAM「あ!!」

タイムポリス「きみ、これ二回目じゃないのかね!」

TAM「そうです、、、すんません。反省してます」

タイムポリス「反省してるって君ねえ、本当に分かってるのかね? さっさと返しなさい」


あっちで捕まえ、


こっちで捕まえとタイムポリス大活躍!

という訳でタイムポリス大活躍の中、8枚目が引かれて1年目終了。そして得点計算。

わし「誰トップ?」

兄「わしや」

わし「TAM何点?」

TAM「もう、いいっすよ、僕、しょせん前科二犯すからね。もうほっといてください」

凹みまくりのTAM。

そして2年目が始まる。

このゲーム、タイムポリスなんかいつでも交わせるわと思ってると、捕まるとすげえショックなのよ。

タイムポリス「君は初犯だね。すぐ返して、出ていきなさい」

MIRU「じゃあ、とりあえず返します」


返しなさい!!


はい……

MIRU「じゃあ、1アクション目は、ここにあるアーティファクトを取ってと、、」

タイムポリス「きみ? 何しとんの? わしの目の前で?」

MIRU「へ?」

タイムポリス「今、ここにあった土偶取ったでしょ?」

1アクション目は退去の筈なのだが、ぼけぼけのMIRUはタイムポリスと同じ場所で堂々と盗みを働く。

タイムポリス「さっさと元に戻してどっか行かんかー!」

こうしてラストの3年目に続くのであった。

兄「引け引けー。2や2」

MIRU「でたー!」

わし「しまったあ! きやがった」

MIRU「あ、また出てもた。。」

タイムポリスわしに気づかずスルー!

わし「助かったー」

※ タイムポリスは自分の手番の最初に一緒におったら捕まえるのだ。連続で出ると当然素通り。時代全てのタイルを埋めなくてはならないので、こういう事がよくある。


うやっほう! わしに気づかずスルーしやがった! そして次に2を引けば一網打尽じゃあ!! こいつらいっぱい集まって何悪いことしようとしてやがんねん。

MIRU「またでた。。」

わし「ちょう待てーい。また回ってくるやんけえー!」

1周回って、、、

タイムポリス「返しなさい!」

わし「はい。。」

さらにはこんなシーンも。

タイムポリス「君ら! 何三人も集まって悪巧みしとんねん!!」

MIRU、兄、TAM嫁、一網打尽。

結局、終わらしたら勝ちやんとタイルをわしがひいてゲーム終了。

しまったぁ!!

前のターンにゲーム終了させれば勝ってたのに、1ターン余計にやって、自分で2位を確定させてしまった。。。兄が1ポイント差で勝利。

所要時間110分

MIRUのコメント

惨敗したけど、これはおもろかったわ。

兄のコメント

これはおもろい。よう出来てるわ。
このコンポーネントといい、ルールといい、やばいなあと思ったんやけどなあ。

TAMのコメント

前科三犯で凹んでるんでほっといてください。。。

ソマーリオ

いやあ、もう最初どうなる事やらと思ったが、素晴らしくよう出来てる。自分のアクションに関係なくタイル補充出来るかどうか決められるとか、バザーに行って好きなところに帰るので1アクションとか、なんじゃこのルール? 大丈夫かあ? と思ったが見事に機能してますな。

特にタイル補充。タイルを補充しないとゲームは進まないけど、わざわざなんで補充すんのと思ったら大きな間違い。これによってタイムポリスを動かして相手を捕まえるという行動となってるのよ。いっぱい動かしたい時は、タイル補充がいっぱい必要なとこを、ちょっとだけでいいときは、タイル補充がちょっとでいいところを狙って補充する。

またこの部分がパーティーゲームのノリで「1、1!」とか「2引いてから1」とか皆が叫ぶのよ。決してパーティーゲームじゃないくせに、タイムポリスというテーマが最高におもろく感じさせる。

まったくもってタイムトリップというドイツゲームでは数少ないSFテーマで素晴らしいゲームを作ってくれた。こういったテーマには必ず出てくるタイムポリスがゲームバランスを崩さず過不足なく機能して、パーティ系の笑いをもたらしている。これでわしゃ、完全にアランムーンのファンになった。誰がなんと言おうと、アランムーンは最高だ。

プレイ感としては、ラーに似てる。ラーには動きがないが、タイムパイレーツには空間上の動きがある。そして似てるくせに初心者が戸惑う相場観の必要な競りがない。これはMIRUがおもろいと絶賛してることからも明らかである。

何度もいうようだが、タイムパイレーツの欠点はコンポーネントのしょぼさ、センスのなさである。これがラーのような高級感のあるコンポーネントなら当然である。そのせいでGEEKでも五点台と評価が低いのが残念でしょうがない。メーカー変えて再販して欲しいわい。大体芸術の国オーストリアのくせにこのメーカーちょっと情けないぞ。
ちょっと時間が掛かったのも×だが、慣れれば70分くらいで終わるかな。これはそれくらいで是非終わって欲しいゲームである。

このゲームをやってみて、完全にわかった。俺の好きなデザイナーはアランムーンだという事を。好きなデザイナーと言われて、仕方が無くトイバーだと答えていたが、あの人は外れがある。特にいんじゃんを利用したシステムは大嫌いだ。アランムーンは、どこかでみたシステムとかなんとかよく言われるが、他のデザイナーも言うてみりゃ似たりよったりで過去の積み重ねで面白いゲームに仕上げてる。知ってるか知らないかの違いだけ。自分でゲームデザインをしたらここまで上手く仕上げる事が出来るだろうか? この上手く絡みあったルールはちょっと戦慄してしまう。

確かにクニッツィアにはフェラーリのような驚きがある。ランドルフにはワーゲンの大衆車、クラマーにはベンツのような高級感が漂い、トイバーにはロールスロイスのような安心感がある。しかし時には熟成させた国産セダンのような味わいのあるムーンで楽しんでみてはどうだろう。


4人でも「遊べない」わけではないものの、ボードにゆとりが出てくるので、プレイヤー間の攻防が薄くなります。奪い合いになりにくい感じ。私はここ、俺はここ、棲み分けます、みたいな。
しかし、6人になると人数多すぎて待ち時間やなんやらとウザイので、個人的には5人適正かと。猛烈にわがまま言い放題ですが。でも、6か4の2択なら、「4!」と即答。

とまあこんな感じなんだが、人数少なかったら、エリアを少なめにしてやればいいのではと思う。4人なら1つ、3人なら2つくらいエポックを減らせばいいでしょう。きっと。矢印は適当にやればよろしい。

評価見直しで、このしょぼいコンポーネントでも5人プレイのおもろさは異常。からに変更さして頂きます。リメイクして出して欲しいけど、ある意味このダサさが良さなのかもと思うようになってきた。

gioco del mondo