Jens Droegemueller
Helge Ostertag

Feuerland Spiele
White Goblin Games
テンデイズゲームズ

2〜5人用
90分

テラミスティカ

まさにユーロゲームの集大成!とも言える、多くの要素が見事に組み合わされたタイトルがこの「テラミスティカ」です。
プレイヤーは、さまざまな勢力からひとつを選び、もっとも得点を獲得することを目指します。
ゲームのメインとなるシステムは、陣取りですが、そのほかにも、勢力ごとに用意された個人ボードの能力を上げる、建物をグレードアップすることでより効果的なアクションができるようにする、アクションのコストとなる「パワー」の配分を考える、などさまざまなことがシステムに盛り込まれ、考えなければならないことは実に豊富。

また、得点の獲得方法も、各ラウンドごとのボーナス点や、種族ごとに用意されたボーナス点、修道会での影響力によるボーナス点など、非常に多彩。
陣取り、発展、リソースのマネージメント、アクション選択といった現在のユーロゲームにおける要素をいくつもいくつも重ね合わせ、実に奥深いプレイ感が得られるようになっています。
しかし、勢力ごとに狙うべき作戦が見えやすくなっていることもあり、プレイ自体は、極端に複雑なものになっていないのは見事と言うしかありません。
勢力も14種類とバリエーション豊富に用意されており、リプレイ性も抜群。

テンデイズゲームズより

プレイ感

ドイツゲーム賞を取る前から話題になっていたが、日本語版を手がけるテンデイズが品薄商法をとり、不当に価格をつり上げた為、流通が妨げられた話題作(ところどころ嘘)。ようやく日本語版再販の目処が立ったらしいので、この機会にタナカマ家に行ったときに遊ばせて貰う事にした。しかしタナカマ家でさえ日本語版のストックがなく、ドイツ語版でやることになった。つうても言語依存は少ないので何語版だろうがあんまり変わらない。
タナカマ夫妻、COQ、タメラとの5人プレイにて。


一言でいえばテラフォーミングのゲーム。各キャラクターはそれぞれ自分の得意とする地形がある。マスがその地形じゃなかったら、その地形にして建物を建設する。デスラーがガミラス人の住みやすい放射能な環境に地球をしようとしたのと同じ事をするわけだ。

各地形には変化の段階があって、例えば森を砂漠にしようとしたら、えらくショベルが掛かる。森を岩肌にして岩肌を砂地にして砂地を砂漠にするといった感じ。
で、目的の地形に変える事ができたら、対価を支払って自分の駒を置くことが出来る。基本的には駒を繋げるように拡張していかねばならず、大きくなると都市になる。都市になったらボーナスが貰えたりする。


個人ボード。上にはストックが置かれており駒をボードに配置すれば毎ラウンド手に入る収入などがみえるエクリプスのシステム。駒の形は建物の種類でアップグレードでないと建てられないものもある。

とまあ、こんな感じで、最終的に勝利点が高いプレイヤーが勝ち。正直、細かいルールがめちゃくちゃ多くて、書ききれない、というより覚えていない。これ初見で正しくプレイ出来る確率なんてほとんどゼロなんじゃないかと思うくらい細かい。エクリプス以来、1時間以上ルールを聞いてた気がする。でもそのほとんどが条件であったり、ボーナスであったりなので、基本は掘って建物を建てる、だ。


早い話が建物を建てるときに自分の土地までショベルで耕して建てるってこっちゃ。そこに細かいボーナスなどがある。例えば左にあるのラウンドごとにその条件を満たせば手に入る特典である。これはラウンド数も表しており6ラウンドでゲーム終了。今3ラウンドが終わってる。

キャラクターは個性豊かで、テーマはファンタジーだ。わしは空飛ぶ絨毯に載ってるベルセルクにでてくるようなお爺ちゃんキャラクターにした。キャラクターは地形以外にも、特殊能力があって、紹介しきれない。とにかくわしのキャラは、1マス離れたマスでも建物をたてるという能力がある。
初期配置はカタンのように2カ所からスタートするが、お互いの利害が一致するように相反する土地をもつキャラクター同士が近くにいる事になる。わしは砂漠なので、あっきーの森と共存関係のようになる。


左上がこのゲームのキモとなるパワー駒でぐるぐる廻る。一番明るい3段階目でないとコストとして使えない。またランクが低い駒があれば、先にそれをあげなければいけないという制約があるため、初期の11個からある程度減らした方が効率が良い。その右が土地を耕す遠さだ。間にあるショベルの数だけ土地を変化させるのにショベルパワーが必要という事。

このゲームのポイントはずばり、共存である。というのは隣に建物を建てられたら、勝利点を減らす変わりにパワーの充填が行える。パワーはこのゲームのキモとなる部分で、心臓の血液のようにぐるぐる回って、4段階目に達した駒を使って様々な事が行えるのだ。

そんな感じで、わしとあっきーがぐいぐいと発展すると思いきや、わしはまだ素人ゆえにこのゲームの流れが今ひとつ掴めないまま、あっきーのみが良い感じで町を発展させていく。いいところを先にショベルされて、結構じり貧だ。

他のプレイヤーもなんとかやっていこうとするがなんせ、皆、それぞれ互いの場所が遠くて、パワーを回転させれずにいた。やっぱり近くないと辛いようだ。

わしは空飛ぶ絨毯を使って、対岸に町を広げようとするが、大きな欠点があることに気づいた。このゲームのポイントである都市化が非常にしにくいという事だ。都市になるには7価値(便宜上の価値)以上の駒が連なっており、更に4マス連続で繋がっていないといけない。空飛ぶ絨毯は連続とは見なされないのだ。


黄色のわしがどれだけじり貧かよくわかる。伸ばそうにも伸ばせないのだ。緑色のあっきーは絶好調ですでに2この都市化となっている。黒色タナカマも良さそうに見えるのだが。

あっきーからのもの凄い圧迫を受け、掘るにも掘れずなんともかんともな状態になった。すでに蜜月は過ぎていた。
他のプレイヤーも続々、都市化を果たし、わしだけ都市なしのまま中盤を過ぎる。都市にすると、ボーナスタイルが選べる。このボーナス効果がとても大事で終盤に向けての大きな動力源となるのだ。

結局、ゲームはそのまま終盤を迎えて終了。
わしは最後になんとかひとつだけ都市を作ったが、まったくええとこなし。

勝者はぶっちぎりであっきー。


最終形。緑ぶっちぎり。

しかしべべはわしではなくてタナカマであり、COQが次いでいた。
なんか知らんが、真ん中だった。何故かは解らない。盤面をみるとどう考えてもぶっちぎりのべべに見えるのだが。

所要時間90分

タナカマのコメント

久々にやったんですが、いやあ、やっぱり良いゲームですね。当時、こればっかりやってました。キャラクターが多いので次はこれをやりたいとなるんですよ。←話半分に聞いとけw

タメラのコメント

あっきーさんとあきおさんの共存関係にやられました。一人で拡張するんはやっぱりきつい。

COQのコメント

長考しないこのメンバーでないと90分でプレイするのは難しいでしょうね。

ソマーリオ

最初、ルールを聞いたときはどうなることかと思った。タナカマから「あ、それと」「あ、忘れてた、それと」の繰り返しで、細かいルールが多いの何のって。
こんなん覚えられるか! と思ったのだが、やってみると割とすんなり進められるから不思議だ。

基本は先に書いたように、畑を耕して、自分の農地にして、小屋を建てるだけ。それにまつわる支払コストが色々あって、その部分が細かいだけである。

エクリプスで用いてる駒を場に出すと、今回の収入が解るシステムは、これがないとはっきり言うて収入を確実に間違うというくらい重要だった。このシステムは複雑な収入や動きをプレイアブルにする事だが、欠点はなんといってもストックに駒をいちいち並べないといけないところである。このおかげでセットアップに無茶苦茶時間が掛かる。

このゲームのサブシステムにあたる一番の力点はパワー駒の動きだろう。1段階目から3段階目があり、3段階目で初めてコストとして使用できる。するとまた1段階目に戻る。この動きに制限があり、一番低いところに駒があった場合、これをまず上にあげなくてはならないのだ。数が結構多いので、ぐるぐる回るというより、どろどろ廻るといったイメージに近い。ただ、これを軽快に廻すために、駒数を減らすアクションもある。駒を減らすと軽快に廻るがいっぺんにたくさん消費するアクションなどが出来なくなる恐れがあるので、適度に減らすのが良いようだ。
このパワー駒はテラミスティカの心臓部にあたるもので、他に支払コストはあれど、こいつが一番よく使われる。駒を進める方法があれば、率先して動かしていくべきなのだ。それが先に書いた共存である。エンジンのようにぐるぐる素早くは回転しないので、じわじわ使う事になる。

ルールの多さ、セットアップのめんどくささ、そういった重大な欠点はあるものの、ゲームとしては確かに面白かった。
長時間ゲームにありがちな、プレイヤー間でのたたき合いというのがないシステムだからのように思う。何もかもが建設的なのだ。

また個性溢れるキャラクターには有利不利はあるだろうが、このゲームのリプレイ率を高めている。自分だけの特殊能力を使うのはやっぱり楽しい。

上記の欠点やシステム的にも体裁を整えるための蛇足的なところが数多く感じられたが、それを差し引いても面白さの判断基準ではを付けざるを得ない。
こんなので想像以上に面白かったので、実はわし自身が一番びっくりしてる。

何度も何度もこのゲームを遊び倒せるようなプレイ環境の人ならば是非勧めたい。スルメのような味わいがある。一度、二度くらいしか同じゲームを遊べる環境しかない人には、マイナス面がより強調されるのでお勧めしない。そんな少ない回数をやるためだけにあの分量のルールを把握するのは馬鹿げている。そういった意味ではドイツゲーム賞というのは非常に妥当な受賞だと思う。

gioco del mondo