Guenter Burkhardt
Wolfgang A. Lehmann

Zoch

2〜5人用
45分

ポテトマン


ポテトマーン、助けてー!!
ポテパーンチ!
ポテキーック!
悪いジャガイモはこのポテトマンが許さない!

プレイ感

COQさんが持ってきたZochの小箱。箱絵からドゥームナイトでやりそうなへんてこなもんを輸入したなあと思ったらメビウスやった。オビ湾はこの絵柄をみて大興奮。

オビ湾「これ、これっすよ。大体において最近の絵柄は変にオシャレにされてて気に入らん。裏面にじゃがいもをそのまま描くあたり素晴らしい」

ちゅうわけで、オビ湾、COQ、タメラ、miaとのマックスの5人プレイにて。


一言で書くとノットマストフォローのトリックテイク。これだけでマストフォローを知ってる人にはすぐにゲームを始められると思う。

オビ湾「ノットマストフォローは僕も作ろうと考えた事があるんすよ」

わし「わしも昔作ろうと思ったw」

というくらい、常にフォローしないというのはマストフォローを知ってたら誰しもが考えつくアイデアだ。ただそれを楽しいゲームに昇華させるのは難しい。


最初の手札。おもろくともなんともない手札である。

カードは4色なので5人プレイだと、1色だけは被っても良いというルールになる。
カードはそれぞれ数字の範囲が違っており、赤色が5−18、青色が4−16、緑色が3−14、そして黄色が1−13となっている。
切り札はなしで、数字が大きければトリックを取れる。同じなら後出し勝ちだ。ただし得点はトリックを取ったカードの色の得点カードで、赤色から黄色に従って1点から4点となっている。つまり強めの色は得点が低いのだ。さらにこの得点カードは3枚ずつしかなく、4枚目以降は5点のカードとなっている。


得点カード。各3枚ずつあり、赤から順番に得点が1点ずつ増加している。一番端っこがつきたときの得点カードで5点だ。

これだけではない。このゲームを最大に特徴づけるのは、黄色の1−3のポテトマンのカード。これは最も弱いカードなのだが、赤色の16−18という最も強いポテトキラーの悪役カードが出た場合、逆転がおきてポテトマンがトリックを取るのだ。そしてその場合「ポテトマーン!」と叫びつつ出さなければならない。

COQ「昨日、嫁にこの話をしたら、ずっとポテトマーン、ポテトマーンと叫んでました」

わし「ええ嫁やんけ」

ゲームの終わりは、誰かがフォローできなかったら、ラウンドが即座に終わる。プレイヤー人数のラウンドを行い得点が多いプレイヤーが勝ちである。

やってみると解るがこのゲームはプレイ感も非常に異色だと解る。
マストフォローというのはルールによって親か最後が一番強いものだが、ポテトマンではなんと親と最後は超弱い。5人プレイだと3番目が一番強くなるのだ。1番目2番目はただの礎である。4番目はチャンスがあるかも知れないが5番目は出せるカードが限られるので、ただの作業である。

オビ湾「真ん中が強くなるゲームって他にありましたっけ? これは変わってる」

なんという選択肢のなさ。
このゲームで勝負が出来るタイミングってのは非常に少ない。プレイ中通じて1度か2度しかない。

(ポテトマン、超出してぇ)

と思ってても、最初に赤、黄、赤みたいに出されるともう無理なのだ。赤が2回出された時点で同色はもう出せない。


2ラウンド目。ポテトマンが2枚ある。出したいけどほとんど出せない、それがポテトマンだ。

慣れてくると当然、そこらへんもコントロールして、黄色が出ていれば2枚目の赤としてポテトキラーを出したりしてくる。

逆にポテトキラーで決めたくても、黄色が切れていなければ、ポテトマンを食らうかも知れない。

それよりもノットマストフォローのルールのせいで、出すカードが非常に制限されるので、基本は流れに従って作業するしかないのだ。

こういった締め付けのあるプレイ感のおかげで、ポテトマンを出せたときの快楽は脳汁が出る。

わし「ポテトマーン!!」

超気持ちいい!!

mia「やられたー!」


miaがだした16のポテトキラーに満を持してのポテトマンだ!!

ポテトマンは黄色のカードなので4点もあるのだ。

しかしわしが勝負出来たのはその1回だけ。

ゲームはCOQが非常に上手く立ち回り、ぶっちぎりの勝利を収めた。

所要時間45分


オビ湾が褒めちぎったカード裏面。

オビ湾のコメント

これいい。コンポーネントも素晴らしいし、ゲームも変わってて素晴らしい。

COQのコメント

前に4人でやったときより、今回の5人の方が選択肢があって面白かった。3人とかは全然ヌルくて駄目ですけどね。

ソマーリオ

これはなんという変わったプレイ感。真ん中が強いってのが非常に変わってて面白い。
作者のギュンターブルクハルトといえば変態トリックテイクで有名だが、これはその変態さが1周廻って、良い感じに仕上がったといえる。いや、一周まわったのは自分自身の感性かも知れない。

思えばウィリーのぶっ飛んだルールに驚いたが、このゲームもチャンスは1度くらいしかないところといい、よく似ているかも。

ゲーム通じて1度か2度しか勝負を仕掛けるタイミングがないにも関わらず、そのたった1回で勝敗を左右するような得点がありえる。こんな風に書くとクソゲーぽいが、そんな感覚が麻痺してしまうような不思議な魅力がこのゲームにはある。我慢が解放された時の嬉しさというものに誤魔化されているのかも。
ポテトマンを出せた時の喜びは相当なもんだ。
範囲の違う色カードも、ポテトキラーもポテトマンも非常によく効いており、この難しいノットマストフォローのトリックテイクをよくぞここまで纏めたなあと感心することしきり。

赤色のような強いカードは得点は確かに低いのだが、得点カードが一定を超えると5点になるという枚数が3枚というのが絶妙な枚数で、いつも3枚を超えるかどうかになってるのも凄い。これを狙う方法もある。
ちなみにこのゲームはロースコアリングゲームになりがちなので5点というのは相当な点数なのだ。

コンポーネントは、ポテトマンというあほらしい設定でB級テーストがプンプンするが、中身はそんなに軽いものじゃなく、初心者にはまったく勧められない。トリックテイクの上級者向けである。初心者にはウイザードカードゲームなどのマストフォロートリックテイクの方が絶対に面白い筈だ。

このゲームの欠点はなんといっても人数が4名、出来れば5名に限られているというところ。

オビ湾「ネットでいまいちという噂があったけど?」

COQ「おそらく3人とかでやったんじゃないでしょうか」

確かにこのルールで3人だとあまりにもヌルくなってしまう。
このゲームは、普通のトリックテイクでは物足りなくなった上級者且つ5人でゲームが出来る環境にあるというとても狭い範囲に絞られるが、どこかで見たものを組み合わせただけの優等生的なゲームとは完全に一線を画している。Buonoとしたい。

そいや、ギュンターブルクハルトも結構な数のレビューをしてるので作者としてまとめる事にした。

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