Heinz-Georg Thiemann
Heidelberger Spieleverlag
LudoArt
2〜5人
120分
プラネットスチーム
シュコーン、シュコーン、プッシャア!!
2415年。
猛烈な蒸気があなたの顔をかすめる。
熱気と共に惑星の中心に打ち込まれた採掘プラントが轟音を立てる。
周りはつんざかんばかりの鉄の歯車が回転する音が聞こえる。
このプラントが我々の生活を支えているのだ。
プレイ感
大阪に帰省したときに「これ、むっちゃでかくて輸入してやって来た時腹立ちましたわ」とSeekerがやたらごつい箱を持ってきた。それがこのプラネットスチームというけったいな絵柄のゲーム。惑星のプラント開発のゲームらしい。ムゲンを交えて3人プレイ。
最初にキャラクターカードを競る。Seeker曰く先手必勝のゲームだとGeekに書いてたらしく、手番を最初に出来る1のカードがかなり強いとのこと。わしゃプラントを追加で作れるキャラクターを選んだ(後で解るが、これは追加ではなくほぞをかんだ)。その後、プラントを建設フェイズがあり、採掘フェイズがある。最後に資源の売り買いがあって、1年が終わる。これを規定ターン数こなせばゲーム終了である。
初期配置。いんじゃんで勝ったので黄色のわしは良いポジションを取った。陣取り要素があるんで離れているのは良いことだ。下にみえるタンクがタンクに関する相場を表している。
Seekerはかなり無理をして1のカードを競り落とす。
Seeker「こんなにお金使っていいんかなあ!」
なんせSeeker自身も初プレイで相場がよく解らないようだ。
しかしそのすぐ後のプラント建設フェイズで1のキャラクターの強さがすぐに理解出来た。
というのはプラントは誰かが建てると、途端に価格が高騰する。わしの手番までにSeekerは1のキャラクターに払ったお金を余裕でペイ出来た。
さらに縦横に接触させて建てた方がよく、良い場所というのはかなり限られている。またサービスマスってのがあって、本来採掘する時にエネルギーを支払わねばならないが、そこに建てると水プラントなら無料で採掘出来るのだ。もちろん早いもの勝ち。
水プラントのサービスポイントは赤のマス。ここに建てたらエネルギーを消費する事なく採掘できる。ちょっと見えにくいがわしの黄色の一番下のプラントに白のモジュールが付いてると思う。これはエネルギーを掘り出すプラントにしたという事だ。モジュールがなければ水を採掘する。
わし「じゃ、このキャラクターの権利書を使って追加で建てる」
Seeker「駄目ですよ。そのキャラって追加で建てるのではなく、建てる時にサイコロを振らなくていいというだけですよ」
わし「は? どういう意味?」
Seeker「ルール読んでてかなりいけてないと思ったルールがこれです。プラントを建てる時に、サイコロを振って1〜4ならそのまま建てる。5か6ならずれるんです」
わし「…、ナニソレ」
Seeker「でしょ。なんでここに建てる言うたのに、横に建てとんねんって話ですよ。しかしサイコロ任せってのがなあ」
わし「つまらんキャラやな。。。」
Seeker「あ、でもその権利書を使わなければ後で勝利点になりますから」
これが資源をおいておくタンクである。裏返して強化すればたくさんストック出来るようになる。
とりあえず高額になってしまったプラントは水だけじゃぶじゃぶ出す事にした。といっても水は一番重要な資源で、なにはなくとも毎ターン自動的に消費する必要がある。無ければペナルティを負うことになる。
プラントは建てる時にどの資源を採掘するか決めるが、水なら追加モジュールなしに出る。もっと高価な石炭やエネルギーなどは追加モジュールが必要で余分に金を払わなければならないのだ。
採掘をするにはエネルギーが必要である。出したいプラントを選んでエネルギーを消費する。そうして初めてプラントに応じた資源が手に入る。エネルギーを採掘するプラントは自作自演するためここで重要である。
採掘した資源は資源シップにおくのだが、置いとける数が決まっている。これは資源を払えば強化できるが、最初はなかなかに難しい。
で、資源の売買では水が足りない人は次のターンのために買わないといけないし、手持ちの資源は市場価格によって売ることが出来る。市場価格は独特の計算ルールがあって、売れば下がるし、買えば上がる、といった市場原理に基づいたものとなってる。
なんせ色々シビアなゲームなのだ。
赤いキャップは倍採掘出来るモジュールだ。この時点ではまだ一進一退。
わしは序盤の後れを全て水に託した。そして水の資源シップを強化して保持限界を上げると共に虎視眈々と水が高騰するのを待った。他の二人は水の出が悪くて、水をちょこちょこ買うていく。じわりじわりと水の価格が上昇していく。
わし「じゃ、水を次の消費分だけ残して全部売る!」
ムゲン「わあ、やられたー!」
あっちゅう間に水成金となった。
一撃で水価格は最低にまで下落した。
(もう、水は不要)
そう思ったわしは、水プラントを大刷新して、次々に石炭プラントとエネルギープラントへ変更していった。
というのは水プラントだけは、追加モジュールを足すだけでそのまま別のプラントになるのだ。他のプラントは一旦追加モジュールを付けると、廃棄して一から作り直さなくてはならずコストが馬鹿にならない。
これが相場表。これによって一定以上の売り買いがあれば、相場が上下する。
この転換が上手くいった中盤からは、もう1人独走態勢。
Seeker「このゲームお金がきついすねえ…むずかしい」
ムゲン「ほんまですねえ。でも、この人もの凄くお金持ってるんですけど?」
わし「あれ、君ら、なんでそんな貧乏なん? いやあ、可哀想やなあ。あ、お金落ちてもうたわ。あはは」
キャラクターを競る時も…
Seeker「5」
ムゲン「きつい」
わし「じゃ、10で」
Seeker&ムゲン「あっかーん! そんなん無理」
金に物を言わせてやりたい放題。
プラントを改良する時は、毎ターン消費する水の量とエネルギーの量だけを考慮してもっと上位のプラントへ変更していく。
まるであれだ。金持ち父さん、貧乏父さんの世界だ。
(ラットレースを抜け出すとはこの事かぁぁ!!)
と、やたら高額なだけのしょうもなさそうな金持ち父さん101ゲームをやったことのないわしは叫んだ。
ただ、勝利点において実際に集計するのはプラントの値段比率が高く、プラントはスペースの都合上毎ターン大体同じだけしか建てられないので思ったよりも差は開かなかったが、終始ヒーヒー言うてた二人に余裕の勝利であった。
所要時間120分
プラントの数は同等のように見えるが、持ち金はまったく違って、わしのぶっちぎりのゲームだった。
ムゲンのコメント
難しかった。もっかいくらいはやってみてもいいかも。
Seekerのコメント
これ、どう考えてもさいころの部分は要りませんわ。
ソマーリオ
まあ、レビューのように左うちわで勝ったのだが、おもろかったかと問われると、うーん、、というのが感想。
重要な陣取り部分であるプラント建設部分でサイコロを振るシステムにも驚いたが、毎ターンの支出計算をしっかりしておかないと、二度と回復出来ないまでにゲームを脱落してしまう。拡大再生産タイプのゲームにしてはあまりにも序盤の後れはシビアに影響する。
陣取り要素を入れたが、値段的にほとんど差のない建設しか出来ず、マップが狭い事からおのずと置ける場所が限られてきて、なんともつまらない陣取りである。もしここで差が付けばゲームは終わったも同然なのだ。
市場価格の変動にせよ、わしが大量に売ってからは水はゲーム中二度と復活せず、すっかり意味のないものとなってしまった。
前にも何かに書いたが、こういったゲーム内で完結する需要と供給を上手く表現したものは
電力会社
だけだ。
コンポーネントについてもプラントなどが木製駒でお金がかかってるなと思っただけで、ボードの絵は無味乾燥としたものだ。moonさんのブログで元々コンピューターゲームやったというのを読んだ。確かに、ATARIのコンピューターゲームぽいわ。
こういった理由から誰にでも遊ばせるようなゲームではなく、また時間もかかる事からマニア向けのゲームだろう。ただマニアにとっても、これを楽しめるかどうかと問われれば、どうせ時間が掛けるならもっとおもろいゲームはあるようにも思う。大体において定価高すぎ、箱でかすぎでまったく欲しいとは思わん。マニアくらいにしか勧められへん。
gioco del mondo