Alessandro Zucchini

daVinci games

3〜5人
20分

ルッカチッタ

イタリアのトスカーナ地方のルッカ市において最も重要なもののひとつ、それは娯楽施設である。
イタリアで名士と呼ばれる人は美しい外観をした娯楽施設を建てるのを自分に課せられた宿命だと考えている。

天窓をめぐらし光を差し込ませ、美しい紋様を外観に施していく。それがまたルッカ市繁栄の秘密でもある。

プレイ感

バネストが日本語版を出したつうので、送料合わせのため(失礼)購入したがなんかあまりおもろくなさそうなのでずっと放置していた。TAMの家にもまったく同じ経歴の(失礼)ルッカチッタがあったので、この際、二人で売る前に一度やっておこうということで(失礼)、出してきた。TAM夫妻との3人プレイにて。


TAMがルールを説明するが、どうにもこうにもややこしい。イメージがとてもしにくいので、全てがゲームのためのルールという感じがして覚えにくいったりゃありゃしない。

TAM「これ、ルールほんま、訳わからんでむかつきますわ。一体どやねん」とページを繰り繰りして説明する。

それを横目にみながら、カードをチェックするわし。

わし「これ、カードは綺麗な」

TAM「カードだけは綺麗ですね」

もうこの時点で駄目ゲー決定かと思った。また、ここでは書かないが最初のセットアップがややこしい。そのまま指示通りやれば済むだけやけどさ。とりあえずやりゃあルール解るでしょといつものようにスタート。

人数+1の列を表向きに3枚並べる。手番になるとその列を丸々取って、建設エリアに色毎に分けて置く。紋章カードで3つのエリアがあり、建設エリア(下)、完成エリア(左)、開店エリア(右)がある。建設エリアに同じ色のカード同士を積み重ねて5階建て(つまり同色カード5枚だが人数によって違う)を並べると、完成エリアに移動させ、勝利ポイントが入る。後は手番の始めに自分の好きなタイミングで開店エリアに移動させる事でも勝利ポイントが入る。


左に見えるのが3枚の列カード。これを手番に取って紋章カードの下となる建設エリアにカードを下に重ねて置いていく。右にあるもうひとつの紋章が手番の順番である。この紋章カードは、建設エリアにある補強マークの数の多い順。例えばわしは7つしかないのでベベである。

これを7ラウンド繰り返す(人数によって違う)だけなのだが、追加のポイント計算があちこち規定されてあって、覚えるのが難しいのだ。


3人プレイなので列は4つ。1列を丸ごと取る。分かり難いがカードに番地が描かれてるのが解る。塔カードは後述。ちなみに色によって番地の平均が違う。カードの美しさの秘密は、筆でべた塗りされたような色合いの良さと、それを今まさに描いたかのような絵筆まで描かれているところ。

ところが実際にやってみると、実にゲームの流れ自体はスムーズ。すいすいとゲームが進行していく。

わし「あれ、これ、なんかおもろいんちゃう?」

TAM「ほんまですねえ。なんかテンポよくゲームが展開しますよね」

出来上がる建物は非常に綺麗で、一度動き始めるととても楽しい。


黄土色の建物のほとんどに窓がないのが残念。左の完成エリアに移動させる時にカードを重ねて圧縮。隣は不要カードを城壁カードとして裏向けに置いている。右に開店エリアがある。

TAM嫁だけがちょっと解らない様子。というのも、一番ややこしい、城壁ボーナスというのがあるのだ。最終的に建設エリアにあるカードも意味を持つものになる。ゲーム中、いらないカードは完成エリアに裏返しておいておき、これを城壁とする。この城壁は、建設エリアの補強マーク2つ(建設資材という意味らしい)で1枚の城壁カードを支える事ができ、それが最後に1ポイントずつになる。ただし城壁1枚でも支えきれないと、全ての城壁は瓦解し、0点になる。つまりオールオアナッシング方式。また塔カードというのがあり、これもあたかも壁のように機能するが、こいつについて建設資材は不要というメリットがある。

すべてはオープン情報なので順番は非常に重要で、建設エリアの建物の紋章の数が多いほど手番は早くなる。おさらいすると

・完成エリアに移動させる時にその建物自身の窓の数のポイント
・開店エリアに移動させる時は相手の建設エリアの同色カード1枚につき1ポイント+建設エリアの同色建物1つにつき2ポイントずつ(タイミングは手番の一番始め)
・終了時、城壁と塔カード1枚につき1ポイント(ただし、1枚につき建設エリアに補強マークが2つ必要)
・終了時、全てのエリアの中で番地の一番小さい人が一番高い人に3ポイントあげる。


要は同色のビルを相手が作ってるときに、いっぱい窓のあるビルを建てとけ、って話だ。

相手が完成エリアに建物を置いている場合もしくは完成間近の場合、同色の建物を建設エリアに置くのは愚の骨頂であるし、ある程度作ってしまってるなら一気に完成させた方がまだマシというジレンマもある。ここらへんはタイミングなので手番の重要さが解ると思う。人数によるが3人プレイの場合は5階立てで完成(人数が増えると階数が少なく完成となる)なのでこの中で窓のポイントが一番でかくなるので、窓が重要かな。


最終形。全員、3つの娯楽施設を開店させた。正面のTAMは補強が9個あるので城壁と塔(塔は補強除外)を支える事が出来4ポイント獲得。

ゲームは終始さくさくと進んでいき、あっと言う間に7ラウンド終了。最終的に、全員、壁ボーナスをゲットしたが、窓のたくさんある建物をつくったわしが勝利。ちなみに、最終的に番地まで関係あり、全ての建物の状況の中で一番数が小さいプレイヤーは、一番大きい番地のプレイヤーに3点あげなければならない。わしは一番小さかったがそれをものともせず、勝利出来た。

所要時間20分

TAMのコメント

これ、売りません。やって良かった。面白いじゃないですか!

TAM嫁のコメント

うーん、ゲーム終わってからも、よく解らなかった。

ソマーリオ

本文中にも書いた通り、もう得点計算がややいのなんのって! ルールを聞いてるだけでゲンナリしてた。

ところが、実際にプレイしてみるといまいち得点計算は分かりにくいが、やってることはテンポ良くて、カードの美しさと相まって非常におもろいやん。

カードの作りが、実際に重ねる事によって、ひとつの建物のように見えるというのが大きなポイントのひとつ。玄関があり、窓がある。そこには造る喜びがあるのだ。そしてまた相手との兼ね合いによる程よいジレンマもある好ゲームとなっている。

たぶん一度ではルールは解らないと思うので、20分ほどで終わるし、1、2度、流れを掴む感じでやって欲しい。得点計算のわずらわしさで、このゲームをやらないというのではあまりももったいない。それくらい中身のある楽しいゲームである。またプレイ感はとても軽いので続けて何度でも遊べるし、遊びたくなってくる。

雰囲気はさすがイタリアのゲームだけあって、イタリアの伝統的カードゲームであるスコーパに似ているように感じた。
一気に説明するのではなく、実際に手元で実演しながらやれば、トランプと同じ感覚で初心者に出せるゲームとなるだろう。せっかく日本語版があるので、試して欲しい。(と、わしが偉そうに言うのもなんだが。ちなみに細かくルールを書いてるのは自分の備忘録w)。

gioco del mondo