木皿儀隼一

カナイセイジ

ワンドロー

2~4(6)人
5分

ロストレガシー

駿河屋で購入
星を渡る船
平和な村を突如として襲った帝国の兵たち。彼らの目的は名も無き1人の少女の身柄を手中に収めることだった。
放浪の剣士の助けを得てその虎口を脱した少女は、自らに「レガシー」と呼ばれる古代遺物を覚醒させる力が眠っていることをしる。
暗躍する帝国将軍と宝を追いかける盗賊団。
彼らの執拗な追跡から逃れるうち、少女は宿命に導かれるかのように一つの遺跡にたどり着く。
果たしてその奥底には、古代人の残したレガシーの一つが眠っていた。

プレイ感

ワンドローがカナイのラブレターのシステムを使って、カード内容を変更したカードゲーム。ゲームマーケット2013春に発売されたが、たらたらと午後に行ったら売り切れてた。その後アマゾンで発売されたので購入。ネットの評判をみると、どうにもラブレターの方がシンプルで楽しいという意見が多数。大阪に帰省の折にやってみることにした。カードは内容が違う星を渡る船と空中庭園の2セットが入っており、組み合わせれば6人までプレイ可能。まずは基本セットの星を渡る船で、TAM夫妻、miaとの4人プレイにて。


ラブレターと大きく違うのは、最後の山札が尽きたら、一番数が大きいのが勝つのではなく、探索フェイズとしてD失われた遺産がどこにあるかを数字の小さい順に答えていくところ。当てたら勝ち、外したら負けである。
またプレイヤー以外に、遺跡としてカードを1枚裏返しで置いておく。
そのほかは、手番に1枚補充して、1枚プレイするや、自分以外全員脱落させたら勝ちというのは同じ。
細かいところは全てカード準拠である。


この襲撃がラブレターの兵士のような役割を果たす。が、待ち伏せで逆に脱落させられてしまうので注意。

最初やったときは、この遺跡カードの扱いに何度もルールを読み返した。遺跡カードとして最初に1枚伏せられているのだが、この枚数が増えるのだ。
最終的に失われた遺産の場所を当てる探索フェイズのときに、遺跡にあったとして、カードを1枚だけ公開するのでは、まったくの運になってしまう。全て公開するのか? と悩んだが、やはり1枚ぽいので、それでゲームを行う事にした。

今回ラブレターと同じく何度もやったのだが、遺跡に遺産カードが含まれて終わった事がないので、なんとも言えないが、まあ、遺跡にあれば運勝負で、誰も当てられなければ同点というのがゲームデザインのようだ。


キャスバル兄さんではないのでいきなり足が伸びたようなキックを食らうこともない。将軍つうてもあんまり強ないんよなあ。そうそう、山札の横に1枚置かれているのが、遺跡である。遺跡はカードの効果によって増える。

このゲームで1の数字を持つ運命の少女は、手札として見られると脱落するというだけのキャラクターで全然運命の少女っぽくないが、前半にこいつがくると即プレイだ。
後半なら、1の一番に答えられるのでそれなりに有利だが、あまりにも弱すぎる。
こいつのようにプレイしても効果が発揮できないようなテキストの場合は、効果を発揮せずそのまま捨て札となる。

というか、その手のパターンが多すぎる。例えば待ち伏せのXカード。Xなので、最後に持ってると答える権利すらないが、8の襲撃を受けた時に、襲撃した方を脱落させる。これをプレイしても何の効果も発揮しない。

ラブレターと違い、カードをプレイすると必ず意味がある訳でないのが、どうにもぼんやりとしてて、雑な仕上がりのように感じる。


この女盗賊は強い。相手のカードをみて失われた遺産なら勝利するのだ。リスクもないし、このゲーム随一の強さといっていい。

そこだけを差し置けば、ラブレターとは違った外れのないプレイ感を楽しめる。
ラブレターは、やたらと盛り上がる場合があるかと思えば、あっさりと終わってしまう場合も多々ある。むしろ後者の方が多いくらいだ。何もやってないのに負けた、なんていうのはラブレターでは当たり前なのだ。
だからこそ何度もプレイして、盛り上がりを体験出来るようにする訳だ。

反してロストレガシーは、脱落を非常に少なくした。4人でやってると、1人2人くらいは脱落する事もあるが、その他は全員探索フェイズまで進める事が出来る。
どこに遺産カードがあるか答えていく盛り上がる場面に、多くの人が参加できるようになっている。


そして女盗賊を使い、TAM嫁が持っていた失われた遺産をゲットし、勝利。

とはいっても、大体1発目に答えたプレイヤーが勝つ。2番目はあったとしても、3番目はよっぽどじゃないと出番がないと考えた方がよい。
ここらへんの工夫はとても良くできていて、ラブレターよりも平均盛り上がり率が高いのが特徴だ。

例えばラブレターは、盛り上がり指数のほとんどが1か2程度で、たまに10の盛り上がりがある。ロストレガシーはいつも6か7程度をたたき出すといえばいいか。

前述した複数枚ある遺跡カードに関しては、他にどうにかならなかったのかと思ったが、今回やった限りでは一度も同点が無かったので実はレアケースなのかも知れない。レアならば、運でもいいやと納得すればよい。

所要時間10分

その後、アマバとタカダがやってきたので、2セット混ぜて最大の6人プレイする事にした。
失われた遺産カードだけは2枚あるとおかしいので抜いておき、合計31枚でプレイする訳だ。

枚数が多いので結構長丁場となる。それゆえ、即死だけは避けたい。
そこもある程度考えられていて、拡張セットの空中庭園は、襲撃や待ち伏せにあたるカードはない。Xカードは負傷で、自分の場に2枚出したら脱落するというものに変わっている。

手札を全部混ぜて配り直すなんてふざけたカードもあったりして、基本セットにバラエティを持たせている。

こちらは長くなってしまったので1度しかやってないが、全員が最後まで残り、探索フェーズで、わしが持っていた失われた遺産をアマバが当てて終わった。

実は遺跡カードが大量になり、わしが遺産がここに埋もれていては、同点になってしまうだろうという危惧から自分の手札に救い出したのだ。それが失敗だった。タカダも中身をみてて、知っていたのだ。

所要時間20分


ここでこのカードを遺跡から掘り出したのは失敗やった。ここはブラフをかけて取り出さないようにすべきだった。

miaのコメント

わたしはラブレターの方が面白かったかな。

ソマーリオ

上に書いたように、ラブレターなら10回やれば、2回くらいが10の盛り上がりだが、3,4回は5,6の盛り上がり、その他は1か2である。ところがロストレガシーではそのほとんどが6か7の盛り上がりで終わる。
この効果は思った以上に大きい。コンスタントに楽しめるというのはとても魅力的だ。

ラブレターの即死効果を極力減らしているため、ほぼ毎手番相手のカードを推理する面白みが無くなってしまったが、そこはトレードオフだろう。個人的にはラブレターシステムの別バージョンとして、ラブレターとは違った面白さを引き出しているように思う。

拡張セット単体だけではやってないので何とも言えないが、効果だけをみると1のカードが強すぎたり、Xのカードが意味不明だったりして単体で遊ぶにはあまり良くないように見えた。ただやってみると意外と楽しめるかも知れないので機会があれば拡張だけでやってみようと思う。

カードの質は高く、絵は個性的な杉浦のぼるの絵でとても良いので、32枚のカードで1500円は決して高くは感じなかった。

ネットではラブレターの方が面白かったという意見が多いようだが、オリジナルという点を考慮しなければわしはどちらも面白いと思う。別々の良さがある。

海外ではブルーノフェデュッティがラブレターを日本のミニマリズムとして大絶賛しているが、わしもその意見に大賛成だ。ただし、海外版のラブレターの絵柄は頂けない。やはり杉浦のぼるの絵であって欲しい。

続編である百年戦争と竜の巫女も持っているので、また機会があればレビューしたい。
思うにワンドローの木皿儀隼一は、ゲームデザインよりもこういったプロデュース力に才能を感じる。この手のものを雰囲気よく魅力的に仕上げるのに非常に長けており、確かにどこかで見たような設定だが、パケ絵やテーマがとても面白そうに見えるのだ。ストーリーを読んでてわくわくする。ただしこの宿命の少女は主役のくせに全然たいしたことないw

百年戦争と竜の巫女(竜の巫女)

竜の巫女をやった。実はこのセットではこっちが拡張だったらしいが、間違って拡張を先にやってしまった。
特に基本セットと比べてどうという事はないが、ポイントは探索フェイズでの指名順を±する事だ。おかげでそこが計算しなければならず少し煩雑になってしまった。


このセットはとにかくドラゴンがポイント。捨て札の合計値は常に注意しなくてはいけない。

ただ捨て札の合計値で、脱落させるドラゴンはなかなかに面白い試みだった。このセットでは捨て札の合計値を3と4の倍数にならないように気をつけなければならない。

最初のロストレガシーと比べて特にどうという事はなく、同様に楽しめる。今後、ロストレガシーはシリーズ化していくようだが、おそらくどのセットを購入してもプレイ感に大差はないだろう。

gioco del mondo