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Reiner Knizia
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KOSMOS
カプコン
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2〜5人
90分
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指輪物語 -ロード・オブ・ザ・リング-
ゲーム説明
「サム、お前がいてくれて本当に良かった」フロドがいった。
「そんなことねえですだ、旦那様。おらはガンダルフのいいつけを守っただけですだ」
指輪を滅びの山で破壊しなければ世界はサウロンの手によって暗黒の時代を迎えるだろう。
今、世界の命運は、冒険とはほど遠い、小さな二人のホビットにゆだねられた。
「いこう、サム」
プレイ感
このゲームの特徴は、全員が勝つか、全員が負けるかという協力ゲームである。以前、5人でやったときは、自分本位なプレイをする奴がいたおかげで、シェロブの巣を超えたところで、全員死亡。2度目のプレイでも同じくシェロブの巣の最後で全員ダークサイドへ落ちた。
なんとか最後までいきたいと再戦を熱望してたが、このゲーム、指輪物語のストーリーに忠実に作ってあるので、指輪物語を知らないとまったくつまらない。
という訳でBBにロードオブザリングスペシャルエクステンドエディションを見させようやく二人にて再戦できた。長かった。。合計11時間だぜ。小説の方に忠実に作ってあるので、はしょられてる映画版よりもスペシャル版である。アイテムがやたら多いので小説を読まないと全てのアイテムは分からないだろう。とはいえ、アイテム自体は普通の使い方するだけなので、知らなくてもまったくOKであるが。
上がメインボードで、左が光、右にサウロン駒がみえる。これが段々と近づいたりすると、暗黒面に落ちるのだ。そして下にあるのがシナリオボードと呼ばれるゲームの中心となる。
フロド俺、サムBBである。ビールとパイプ草と歌う事が大好きな平和なホビット庄に黒の乗り手が迫ってくる。
わし「ほれ、隠密行動わしが出しとくわ」
BB「ありがとう」
基本的なプレイは簡単で、隠密、友情、戦闘、旅マークのついたカードを出すように指示をうける。
この黒の乗り手をかわすイベントは隠密カード2枚すてる事で、回避できる。もし捨てる事が出来なければ、サウロンが迫ってきたり、自分が闇の方に進むのだ。サウロンにつかまればリタイアである。
しかしこれはあくまでメインボード上のサイドストーリーである。指輪物語で特に重要な4つのシーンがシナリオボードとしてある。ここを突破するのが冒険の目的といっていい。これは上に書いたカードを捨てることで、マークに対応した駒を進める。ポイントはメインになる真ん中のマスで、ここを最後まで進めるとシナリオクリア。モリアなら戦闘、モルドールなら旅となってそのシーンの重要な部分を描いている。
唱えよ友、そして入れ!
まず最初にタイルを引く。そのタイルが日時計で時間が経過するものを表していた場合、イベントが起きていく。シナリオのイベントが最後まで到達してもシナリオクリアなのだが、このイベント、悪いイベントばかりなので、これでシナリオを終えたら、ぼろぼろになってしまうのだ。
上が手番の最初に引くタイルで、左がサウロンが近づく悪いタイル。隣が日時計でこれを引くと、シナリオボード左の駒を1段下げてイベントが起こる。これが悪いイベントばかりなので、あまり引きたくないが、いっぱい入ってるのだ。最後の3つが良いタイル(友情、隠密、戦闘)。下の3つの徳タイルは指輪、勇気、友情を表し、これを集めずシナリオをクリアすると、足りない徳タイル分、闇側に移動しなくてはならない。シナリオ終るごとに全捨てだ。
しかし、わしとBBの一行は、日時計をほとんど引かずに、どんどんと戦闘を重ねていく。裂け谷でエルロンド卿よりたっぷり貰ったカードを惜しまず使っていった。
BB「馳夫さん、きた」
ロードオブザリングをみてすっかり馳夫さんファンになったBBは裂け谷で貰った旅の仲間馳夫さんカードを貰って嬉しそう。
※ 馳夫さんとは、アラゴルンの事である。原作の小説ではホビットは皆、アラゴルンの事を最初から最後まで、最初の呼び名である馳夫さんと呼んでいた。何人だ? と何度思った事か。しかし冗談で呼んでるうちに、馳夫さんという呼び名に愛着が沸いた。
BB「しかもボロミアもおる」
二番目に好きなキャラ、ボロミアもBBの手元にある。
旅の仲間のカード。ガンダルフなら旅を2マス進めるって感じ。黄色のカードは特殊効果をもたらす。カードには灰色と白のカードがあり、効果は同じだが、色違いなら1手番で同時に出せるのだ。こうしてみると旅の仲間は戦闘とワイルドカードが多い。
わし「つうかね、はよボロミアだして、バルログとの戦闘終わらせろや」
BB「えーー!」
わし「えー、じゃねえっての! これ出し惜しみしてたら確実にやられるぞ」
BB「しょうがないなあ、さようなら、ボロミア」
ボロミアは戦闘マーク2つあるので2マス進める事が出来る。そして・・
モリア突破!!
残り2つのイベントを進めずにバルログをモリアの谷底へたたき落とす事に成功! 使ったカードの駒を進める。進んだマスのアイテムをゲット出来るだけのシンプルさ。ボード真ん中が最後までいけばクリアなのだが、途中アイテムを集めないととんでもない事になるので、他のマスも進めなければ旅の成功はありえない。
ここでサウロンよりもっと恐いあの人がきた。
ガラドリエル「この鏡をみなさい」
ひーーー!! 恐い。微笑んでるつもりなのだが、どうみても今から残酷な殺し方をしてやるという感じの恐ろしい笑いにしかみえん。
まあ、なんとかガラドリエルのテストに合格、ここでもRPGよろしくたくさんのアイテムを貰って、映画二つの塔の舞台となったヘルム峡谷の戦いに参加。
門をあけろー!
確かこのシナリオでは、あるイベントが起きる前に友情マスを終了させていなければ酷い目にあった記憶が・・
わし「BB、友情マスを終わらせろ! エントの増援を求めるのじゃ」
BB「えー、カードないもん」
わし「あるやろ、馳夫さんが、、、むちゃくちゃあるやんけ!」
馳夫さんはワイルドカード2つ分で非常に使い勝手がある。
BB「しょうがないなあ。ずっと持ってたかったのに」
わし「それ、ゲームの目的ちゃう!」
つうわけで馳夫さんの活躍で、蛇の舌グリマの策謀により追放されたエオメルの騎士たちが帰ってきたのだ。日時計で進むイベントは悪いことばかりなのだが、こうなると良いイベントに変わるのもある。それがこのイベントだった。
こうなると俄然、楽ちんである。
ヘルム峡谷突破!!
このシナリオのポイントは旅である。こいつを進めておけば、ローハンの騎士が救援に駆けつけてくれるのだ。なんと2つ進めただけでシナリオクリアという非常に楽に勝てた戦いであった。左下にあるのがシールドでこれは次のシェロブ戦でとても必要となってくる。シールド5枚捨てろとかある。集めておかないと負けるだろう。
わし「これいったんちゃう?」
BB「うん。いったかも」
サウロンは2マスしか進まず、わしらもほとんど闇に進んでいない。
そして舞台はキリスウンゴルへ。ここにはあのお方がおられる。何千年も生きている狡猾な巨大蜘蛛シェロブである。
ここが山場だった。がんがんに使ってきたので手札がほとんどなくなっていたのだ。
しかしわしの手札には手札を6枚にするというアイテムがある。これでなんとか補充したが、BBの方は、カードを捨てるイベントで捨てる事が出来ずにリタイアする寸前だった。
わし「今こそ、ガンダルフや。ガンダルフを呼べ!」
BBは今まで集めていたシールドを5枚支払って、カードを4枚引くというガンダルフカードを購入した。ガンダルフカードは上に載せたカード以外のカードが数種類あって旅を援助する。
BB「ふぅ!」
わし「今のはやばかった」
このゲーム、カードの補充は、パスする事でしか補充出来ないのだ。かなり厳しいゲームである。
※ パスすると2枚補充出来る。が、1ターン余分に使ってしまうので日時計タイルを引く確率が段々と高くなるのだ。
シェロブをクリアした。前に5人でやったときは、ここで二度ともリタイアしていたのだ。
ここはシールドがモノをいう。ここである程度シールドを持っていないとおそらくシェロブにやられてしまうだろう。
モルドールに入った時、切り札のカードは全て使い果たし、二人に手札はなかった。まさに映画のようにへろへろ状態である。
しかしながら、フロドとサムいずれもずっと光の側にいたし、サウロンも3歩ほど進んだくらいだったのだ。これだけでも気が楽である。
とにかくパスする事だ。パスしてカードを補充しないと先へは進めない。
時間との戦いである。日時計を出来る限り引かずに、カードをがんがんと使う。3つの徳タイルはもう集めなくていい。光側にいっぱいいるので、ダークサイド側に少々移動しても大丈夫だからだ。
※ この3つのタイルを入手していないと、シナリオをクリアした時に足りない部分、ダークサイドに移動させなければならない。
メインボードをひたすら進むのみである。旅のカードこそ、最も重要なカードとなった。ここで生きてくるのがフロドの特殊能力、白のカードをワイルドカードとして使える能力である。
日時計が進む。もし、最後のイベントに達してしまえば、サウロンが指輪を手にした事になり、自動的に負けである。他の部分に関しては若干余裕があるが、ここが最大のネックとなった。あと2度引けば終わりである。
わし「使う! ここで指輪を!」
もう、滅びの山まで3歩と本当に目の前である。ここで指輪の特殊能力をとうとう発動する事にした。指輪サイコロを振って、4引くサイコロの目(0〜3)だけ一気に進めるのだ。残り3歩、ここで0か1が出れば一気に指輪を捨てる事が出来るのだ。しかも消えているので途中の指輪サイコロ振るイベント連発も、軽やかに無視出来る。これはシナリオ毎に1度だけ使えるが、その分闇側にスライドしたり、サウロンが近づいたりするのでリスキーなのだ。まさにひとつの指輪そのもの。
わし「おりゃあ!!」
……3
_| ̄|○
ぼ、ボケかぁぁ!! ここで痛恨のいっちゃん出したらあかん目を出すとは!
1マス進む。あかんねんて。ここでせめて2マス進むなら、最後のカードで1マス進めて勝てたのに。
痛恨の3。そして1マス進めたところの指輪サイコロの指示では0を出すという腹立たしさ。逆じゃああ!! 逆やったら勝ってたのにぃぃぃ!
日時計が進んだ。もう一度タイルを引く。頼む。もう一回粘らせてくれ!
タイルをBBに見せると、「ああ」という顔。
日時計だった。サウロン、指輪ゲッツ!
世界は闇に包まれた。所要時間60分
『指輪は私のモノだ!』 ここまできて、サウロンが指輪を手に入れた。悔しい!!
BBのコメント
惜しかったー。絶対にいけると思ってたのに。もっかいやりたい。今度こそ。
ソマーリオ
かなり原作に忠実で、原作ファンはにやりとするアイテムも勢揃いしている。イベントは実際にあった重要なシーンばかりである。
しかし、ここはクニッツィアである。味付けが非常にドライなのだ。
確かにたくさんの人物、アイテムなどが登場するが、特殊能力といった類はなく、どのカードも能力に遜色はないのだ。例えばアルウェンと馳夫さんはワイルドカード2つというまったく同じ能力だし、つらぬき丸もワイルドカード1つだけなので、普通のカードよりちょっとだけ便利というだけでほとんど変わらないのだ。
こういったキャラクター物には、キャラクターだけにしかない理不尽な特殊能力がファンを満足させるとわしゃ思っている。こいつとこいつなら絶対にこっちの方が強いとか能力を見ているだけで楽しめないと駄目である。このゲームはシステムが完成されているのだが、そのキャラクターゲームの理不尽な良さというのがまったくないのだ。逆に対決ではそれが上手く盛り込まれていた。
とはいえ、昔アメリカがいくつか作った事のある協力するボードゲームをドイツが作ったらこんなボードゲームになりましたという見事な手本となった。
勝ち負けのバランスが難しいのか、ほとんどこのタイプは出てこなかったが、最近、キャメロットを覆う影というのが出て、あちこちで人気を博している。
この指輪物語は、なんせバランスが見事である。もう、終始、へろへろ、はらはらで、ぎりぎり成功させる事が出来るか、出来ないかという感じに仕上げている。いきつく暇はまったくないので、指輪ファンなら持っていて絶対に損はない。ルールは若干ややこしめに感じるだろうが、知ってる人が一人いれば、ルールを把握しなくてもゲーム出来るのがいい。
今度拡張を入れてやってみようと思う。このゲーム、ヤフオクなどで1000円くらいで買えるという叩き売り状態なので、かなりお得である。わしゃ、保存用にもう1つ買うといたくらいだ。
ただこのゲーム、多人数でやった方が徳タイルやシールドを集めにくくて難しいように感じるんやけどなあ。5人でやった時の苦しさは二人では感じられんかった。
こちらで、クニッツィアの開発秘話が訳されています。ゲームデザインに興味のある方は是非一読をお勧めします。