Carl Chudyk

IELLO
Hobby Japan

2~4人
90分

イノベーション

駿河屋で購入
人類の文明の発展は数々の技術革新―"イノベーション"の積み重ねだった。プレイヤーは時代ごとに分かれた技術革新カードを駆使して、自分の文明を発展させていく。ゲームの目的は、時代や文明分野を規程の回数だけ制覇すること。
偉大な功績を歴史に残した文明こそが、人類社会の勝者となるのだ。
そのためには、先史時代の『車輪』や『陶器』、『牧畜』などに始まり、『哲学』、『紙』、『火薬』、『蒸気機関』、『缶詰』、『鉄道』、『飛行機』、『抗生物質』、『核分裂』、『コンピューター』、果ては『インターネット』にいたるまで、各時代に多大な影響を与えた様々な"イノベーション"を駆使して、自分の文明が人類に与える影響を高めていかなければならない。
プレイヤーは毎回2回のアクションで、手札を引いて充実させ、必要かつ先進の技術を場に出し、その能力を使い、影響をため、時代を制覇するのである。プレイヤーには手札の枚数、場に出ているカードによるリソース数、山札の状況などの各種マネージメント能力が必要とされ、緻密なプレイングや時代が下るにつれてインフレ化するカードの能力など、様々な要素により逆転も可能なので、最後まで気が抜けない。
60分程度のプレイ時間で人類1万年の文明発展競争が楽しめる、やりこみ型のカードゲームだ。

プレイ感

同じ作者のローマの栄光が合わなかった事もあり、買う予定はなかったが、値段もそこそこ安く日本語版で2人から出来るという事でアマゾンでポチってしまった。むしろ2人プレイでないと話にならんという事なのでmiaとやってみることにした。

ルールを読んでもまったくピンとこない。カードの効果で進めていくタイプのゲームはいつもルールブックが不親切だ。実際にやってみないと勝利点を獲得する方法すら解らない。
結局、オビ湾に電話して解らない点を教えて貰った。


10に分かれた各時代のカードを円形に並べる。1の先史時代から10の情報化時代まで人類の歴史上のイノベーションが描かれている。最初は1のカードを2枚ずつ配り、そのうちの1枚を手札に、もう1枚を自分の場に出す。

手番には2アクションを行える。行えるアクションは、手札の補充、手札から自分の場にカードをプレイする、場に出ているアクティブなカードの効果を適用する、時代を制覇するの4つがある。


10の時代の山札をこのように配置する。それぞれのカードはその時代にあったイノベーションが描かれている。これらを手に入れて、新たなイノベーションを起こしていくゲームだ。中央部のカードは勝利に関係する制覇カード。

カードをプレイする場合、同じ色のカードが先に置いてあれば、その上に完全に重ねて置く。一番上のカードをアクティブなカードと呼び、アクションを使ってそこに書いてある効果を適用出来るのだ。この重ねる方法がルールでは不親切で解りづらい。完全に重ねるのだ。

カード効果は2種類あり、自分だけが恩恵を得るものと、全員が恩恵を得る可能性があるものとがある。効果を発揮するには、自分の場にあるカードで資源の数を満たさなければならない。全員が効果を受ける可能性があるものは、自分の場にある資源の数以上を持っているプレイヤー全員が適用できる。一人でもそういうプレイヤーがいたら、お礼に手札のカードを1枚補充できる。

さてこのゲームのキモは、カードに描かれている資源マークが、四方に描かれているところだ。実は、重ねているカードをスライドさせるという効果を持つカードがあるのだ。スライド方向は、そのカードに描かれているが、その方向に全てのカードを資源マークが見えるように少しずつずらすのだ。そうする事で、一気に資源の産出量が増える。


色ごとにカードは重ねておく。一番上のカードのテキストだけが発動出来る。1の時代を制覇したカードがみえる。
出る資源というのはカードで今見えている資源マークである。

スライドさせる方向によって、資源の数が違っており、オビ湾曰く、右、左、上の順番に数が増えて強くなる。
今までこつこつ貯めてた発明が一気に爆発したようなイメージである。これぞまさにイノベーションだ。

さて勝利する為の影響点をどのように貯めるかを説明せんとあかん。これもまたそういう効果を持つカードがあって、カードを裏向きにして個人ボードに挟むように指示している。裏側には影響点(時代のランクと同じ)が描かれている。これらの合計が制覇したい時代の5倍以上になれば、制覇アクションを使ってその時代の勝利カードを手に入れられるのだ。一応、条件があって、アクティブなカードに制覇したい時代以上のものがないと駄目だ。


これが裏向きに挟んだ影響カード。制覇するのに必要だ。6点なので、アクションを使い1の時代を制覇した。

またもうひとつ、宗教、科学などを象徴した分野カードってのが5枚あって、これもまた条件を満たせば手に入れられる勝利カードである。一度手に入れたこれらのカードは奪われる事はない。
これらの勝利カードを人数によって、例えば2人プレイなら6枚集めたら勝ちである。

実際にやってみると、カードの強弱がめちゃくちゃ。
miaの序盤においた地図作りで、散々、影響カードを取られる。

時代1のカードを引くと書いてるのに時代1のカードが無ければ、その上の時代のカードを貰えるという無茶苦茶なルールのおかげで、序盤に出したカードの効果でバンバンと高い時代のカードを取得できるのだ。


これがこのゲーム最大のポイントであるスライド。赤と紫が左にスライドされている。このようにスライドすることで過去のイノベーションの資源マークが現れて利用出来るようになる。過去のイノベーションの積み重ねが新しいイノベーションを強化するという意味で非常に素晴らしいアイデアだ。

カード効果がそのまま上の時代にまで通用するハイパーインフレなので、こつこつと溜めてイノベーションを巻き起こすという雰囲気は一切無い。ひたすら強力なカードによる悪質な攻撃で相手を打ち負かすというプレイに終始する。

影響度をこつこつ溜めたものは、ごっそり引き抜かれてしまい、こちらもやり返す為にはそういったカードを引く事を期待せねばならない。

ところがmiaはカードを展開させることで、資源がやたらと豊富に出ている。このゲームにとって唯一光るのがこのデザインセンスである。資源が横に展開されることでかつてのイノベーションが後に影響を及ぼすというのを表しているのだ。


影響カードは増えてくるとこんな感じになってくる。これだけでうんざりしてきた。ローマの栄光とまったく同じだ。

だが、それが空回りで、一旦動き出したら、もう止めることは出来ない巨大な力となって襲いかかってくる。
カードの効果というのは全員に影響を及ぼすものと、相手にだけ影響を及ぼすものがあると説明した。その際、重要となるのは、出したプレイヤーの資源の数以上にあるかないかだ。

一旦、横にカードが展開されると、資源量は圧倒的になり、miaはわしに強制する効果を適用できるが、資源量で下回るわしはmiaに強制することは出来ず、さらに全員に影響を及ぼす効果もmiaが恩恵を受けることになる。そのおかげでカードは1枚余分に入るが、そんなのはまったく損失の補填にならないのだ。

1枚1枚細かいテキストを読まないと解らずやたらとゲームに時間はかかるし、日本語訳の酷さが相まって、2人ともげんなりしてきた。

miaが5枚目の制覇をしたときに、早よ終われと思ったが、そこはゲームを楽しむ礼儀として、最後のあがきをしようと、miaの影響点を削ろうとカードの効果を適用しようとした。

mia「えー、もう終わろうよ」

わし「そやな」

同意のうえで、カード効果を引っ込めて、miaが6枚目の制覇を完了。

miaの勝利。

所要時間90分


最終形。色によって左右上下にスライドされて各イノベーションが強化されている。

miaのコメント

ただひたすらに疲れた。まったく面白くない。

ソマーリオ

酷い。
ゲームバランスもへったくれもなく、ひたすらカード効果の強いので攻めまくって、一旦回転すれば、誰も止められない。

馬鹿ゲーとして捉えるなら、それでええけど、その割にやたらと時間も食う。その時間のほとんどはカードの効果について、読んで理解することに費やされる。あほくさ。

また日本語訳の酷さが、そのイライラに拍車をかける。
『お前は、~~しろ』と恐ろしく命令口調でえらそうに書かれた文章はちょっと許せない。こういった正式な文書で『お前は』なんて書いてるのを初めてみた。

解りやすくするためにレビュー中、カードの効果と書いたが、その訳は『教義』である。

教義?? はて??

あまりにもしっくりこないので思わず辞書を引いたくらいだ。

教義というのは宗教上の教えとしか使わない。農業の効果のところが教義、火薬の発明が教義、進化論の発見が教義、ありとあらゆるものがおかしく感じる。
一体何を思ってこんな訳をあてたのか、興味があったので原文をきいたら、Dogmaらしい。なるほど教義かも知れん。でもその中に他の意味が含まれてるし、ここはドグマとして訳すべきやったんちゃうかなと思う。教義は明らかにおかしい。

他にもやたらと文章が硬くて、まったく頭に入ってこない。読むとイライラするのだ。
翻訳者は独特の世界観を描こうと思ったのだろうが、もうそれが翻訳者しか解らない独特の世界観の言葉で、受け入れられるようになるには相当な時間が掛かると思われる。

先史時代から始まり、ルネッサンス時代、宇宙時代、最後は情報化時代の様々な発明や発見がカードに記されており、非常に面白そうなテーマだった。またスライドさせるアイデアはなかなか思いつかない素晴らしいアイデアだ。
しかし、そのアイデアもバランス調整がされておらず、カードの傍若無人ぶりに拍車をかける存在でしかない。
良いものはある。きちんとバランスを取ってあげれば、かなりおもろいシステムとなっただけに、こんな状態でリリースしたのは非常に勿体ない。

ローマの栄光と同じ作者だが、そのときも感じたように、序盤はコツコツ、中盤以降はそのコツコツは一体なんやってんやというくらいに、とんでもないバランスのゲーム展開となる。真面目にやってたけど、最後はもう無茶苦茶やったれみたいな、投げやり的な感覚がある。

そもそもなんでこんな無茶苦茶なゲームをホビージャパンは日本語化しようと思ったのか。
徐々に広がってきているボードゲームという趣味をこんなので破壊されるのはしのびない。初心者がこんなんやったらびっくりすんで。

かなり暇な仲間がいて、ふざけたゲーム展開も笑い飛ばせ、内容の割に長時間のプレイに耐え、殴るのも殴られるのも好きで、変な日本語を許容し、大量のテキストを読むのが苦にならないという人にだけ勧めたい。まあ、拡張セットが出るようなので、好きな人は好きなのだろうけど。
個人的には、クソ過ぎてゲームになってないと思った。眠たい中、夜中までやってて、時間をまじで返して欲しいと思った。翌日、疲れだけが残った。

gioco del mondo