Reiner Knizia

Pegasus Spiele
Catalyst Game Labs
Game Harbor

2〜4人
30分

交易王

駿河屋で購入
16世紀、新たな時代の幕が上がりました。アメリカ大陸が発見され、インドとの貿易ルートが確立してスパイスの貿易が可能になり、ヨーロッパでの品物の交換は絶えず行われるようになった。巨大な商船や船が、大陸間を定期的に往復していた。
このゲームでは、プレイヤーは有名な貿易商になってしてプレイする。
プレイヤーは賢く品物を交換し、品物カードを場に出して、利益を獲得することが目的。
交易する品物は全部で6種類。その中の2つを自分の船に載せてゲームをスタートし、場の品物カードへ自分の手札のカードを加えることで相場を操作しながら金貨を獲得していく。
手札枚数と、場の相場カードと、金貨で獲得できる追加の船などの特殊カードなどの選択肢が悩ましい。 ルールは単純ながらも、ジレンマ盛りだくさんの、クニツィア特有の切れ味を遺憾なく発揮している傑作だ。

プレイ感

かなり前にTAM家でやった時におもろかったので、わしも即座に購入してすっかりレビューするんを忘れてた。さすがに前にやったのを思い出せないので、miaと2人プレイする事にした。


カードには塩、銅、綿、胡椒、インディゴ、亜麻の6種類の交易品が描かれている。手札3枚、場に6枚表向けに出しておく。場の6枚が市場の需要を現している。フェイズ1で、2隻の船に積まれている交易品駒を1個交換するか、特殊カードを1枚買うかを決める。交易品駒はカードの交易品と対応しており、需要の高い積荷にするという事だ。

フェイズ2で、手札を2枚補充するか、手札から交易品カードを場に出すかを決める。手札から出すカードは同じ交易品なら複数枚出しても良い。出したカードは場に並べられた6枚のカードの上に置いて上書きする。そうした場合、決算が行われ、今回、場に出したカードの交易品を積荷として持っているプレイヤーは全員、場におかれたその交易品カードの枚数だけお金を手に入れる。
例えば、塩カードを出して、場の塩のカードが3枚ならば、積荷に塩駒を持っているプレイヤーは1個につき3ゴールドずつ手に入れるという事だ。

ここまでが1手番である。これが終われば次のプレイヤーがフェイズ1から手番を行う。ルールブックの記述が解りにくく、フェイズ1、フェイズ2それぞれで手番を廻したが、そうすると先手が圧倒的不利になるのでおかしいとタナカマ経由でけがわに訊いた。フェイズという名称が悪いように思う。アクション1アクション2という名称ならそういうイメージを持たなかったかも。

こうして山札が全てなくなったら即座にゲーム終了で一番お金持ちが勝ちである。


場には常に6枚の需要がある。船は最初は2隻で、交易品カードと対応した積荷が載っている。

久々にやった1度目はそういうルール間違いがあったので、後日miaと再戦した。

わしが先攻でゲームをスタート。

手札は3枚ともバラバラでそれほど良くない。とりあえず場にある需要の高い胡椒と手札にある綿と1個ずつ船に載せた。

最初はカードを2枚補充して場にある需要の高い交易品を得て一気にお金に換える作戦だ。

わし「カード補充」

ち、引かんかった。

mia「じゃあ、わたしも補充」

そして綿が重複した。
船荷を2個とも綿に置き換えて

わし「決算」

2枚のカードを出して決算。

決算は、出した交易品のみが出来る。かつプレイヤー全員に影響を及ぼすのでmiaの積荷と違う種類で決算すべきである。当然、そうした。

miaも同様にわしの積荷を確認して、決算を行う。

確かに相手の積荷をみて決算を行うのだが、高度な駆け引きもある。
つまり相手と同じ積荷にして、決算を遅らせるという方法だ。その間に自分で手札を整える。
このゲームでは意図的にしかカードを補充できないので、手札が少ない時にもこの方法は有効である。

次に船の購入をした。最初は2隻の船しかないが、これらを増やす事も出来る。船は1隻10ゴールドもするが、積荷が増えるので見返りも当然大きい。


インディゴで決算後、次の手を考えている。相手よりも1隻上回るとかなり有効なのだが、交易品は1回につき1個しか交換できないので追随される恐れもある。

相手を出し抜くには同じ交易品2個で大きな需要を作る事が重要である。
ただし、交易品は常に1個ずつしか交換できないので、その交易品を積荷にした途端、警戒される。
それを避けるために、2手先3手先の決算を考えて積荷を交換する。

これらの作戦をもっと効率的に実行できるのが特殊カードである。

今回は、カードを1枚追加で補充できる商館カードをまず最初に購入した。高価なカードの中では8ゴールドと一番安いカードだが、カード補充が決算を諦める事で2枚手に入れるこのシステムでは、決算を繰り返すとカードパワーがなくなりじり貧になる。それを防ぐ事が出来るのだ。カードがなければ手の打ちようがない。


商館は常にカードを1枚補充できるカードだ。

このカードを2番目に買うたおかげで、常にmiaよりも手札で圧倒し、有利な決算を迎える事が出来る。

わし「じゃあ、積荷を銅にして決算」

mia「念のため、胡椒にしとこ」

miaはカードパワーのあるわしを警戒して同じ積荷を選択する。
そのおかげでそのパワーを存分に発揮出来ないでいた。

miaは前プレイで有利にすすめた決算でお金が入るたびに追加で2ゴールド手に入る交易許可証カードを11ゴールドで購入。さらに3隻目の船も購入する。

こういったカードは非常に高いのだが、その分効用もかなり大きい。
ただし、勝利点イコールお金であるので、そのお金を使うという事は、最終的にそれ以上のリターンがなければ意味がない。つまり追加で2ゴールド手に入るカードが11ゴールドならば最低でも6回決算を行わなければ投資割れするという事だ。

どの相場を潰すかというのも重要な作戦となる。相手の選んだ積荷のカードが需要にあれば、そのカードに被せて小決算するというのも手である。

miaを出し抜くには港湾労働者カードを購入するしかない。追加で交易品1個を交換できるカードである。最高価格12ゴールドもするが、その恩恵は計り知れない。


最も高い港湾労働者カードは、1個余分に駒を交換できる。これで完全に相手を出し抜くことが出来る訳だ。

港湾労働者カードの強力さを知ったmiaも、同じカードを購入してわしに追随する。
ちなみにカードは同じカードを購入してもよく、その効果は累積する。例えば2ゴールド追加のカードを2枚手に入れれば4ゴールド追加となる。

わし「じゃ、これを塩にしてと、手札補充」

mia「そろそろ塩がくる? わたしも1口乗った」

わし「お塩先生の時代がやってくんで。押尾先…おっといけね、お塩先生は超凄くて激しいし、そもそも何するか解らんからなー」

mia「そうそう、お塩先生はほったらかしたりするから要注意」

わし「さらに2個交換してすべてお塩先生にして、お塩先生カードを手札から4枚出して決算」

mia「ええーーー! 何それー!!」


これぞお塩先生のパワー。3個×5=15点。

わし「お塩先生はさすがでした」

お塩先生のセーフティリードを保ったままゲーム終了。

所要時間30分

即座にもう一回との声で再戦。

2回目はさらにわしの展開がうまくツボにはまり、前にTAMが話していた4隻目の船の可否について挑戦する事にした。
4隻目の船を買うのはそれなりのリスクがある。終盤までにさらに10ゴールド以上たたき出す計算がなくては出来ないことだ。


早い段階で4隻目の船で勝負。この綿の決算だけで16点である。

しかしわしはそれ以上に、心理的圧力を選んだ。
つまりmiaの決算を出来る限り躊躇させる作戦である。これは2人プレイなら特に有効である。10ゴールド以上稼げなくても、相手に差額10ゴールドを儲けさせなければいいのだ。

結局、この作戦が功を奏して2回目は圧勝した。

miaのコメント

さすがのクニツィア先生の作品。シンプルで面白い。

ソマーリオ

くにちーにしては、システムとテーマが合致しており、非常にシンプルながらも交易品売買の楽しさのツボを抑えており、傑作と呼べるゲームに仕上がっている。

勝利条件は明快で、金儲けする事。ただし特殊カードは強いがその勝利点を支払って手に入れなければならない。高価なので将来の見通しを含めて、様々な選択肢があり、一筋縄ではいかない。

こんな単純なシステムで、これほどの多様性を持たせるとは、本気を出した時のくにちーはやはりただ者ではない。よくあるくにちーのちょっと変更して別ゲームに仕上げる多品種生産ヴァリアントとは違っており、に値する。

レビューでは4隻目の船について書いたが、実は5隻目を購入しても勝てる方法というのもあるかも知れない。ルールは簡単だが非常に奥の深いゲームなのだ。
補佐する特殊カードも僅か3種類でいて、こういったカードがあればなあというゲームに必要な要素を全て盛り込んでいる。

いくつかの出版社から発売されているので、手に入れるのはそんなに難しくないが、わしのバージョンはコンパクトで旅行などに持って行くのに重宝しそうだ。値段も安く、ルールもコンポーネントもシンプルで、くにちーの隠れたる名作としてこの交易王をあげておきたい。初心者にもお勧めできる。

そうそう、1点、黄色のLinumってのが何の交易品か解らない。ご存じの方がおられれば教えて欲しい。
たくさんの人から教えて頂きました。ラテン語の亜麻で、リネンの元になった言葉らしいです。ありがとうございました。
ちなみにバージョンによって交易品の内容が違う。

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