Benjamin Schwer

Hans im Glueck
アークライト

2〜5人用
75分

ハダラ


目指すは世界一の軍事国家? 芸術の国? それとも経済大国?
文明の発展する方向は、すべてはあなたの采配次第。

文明の発展という壮大なテーマを、ドイツゲームの老舗Hans im Gluck社が
遊びやすいルールとプレイ時間で表現した傑作が、完全日本語版で登場です。

タイトルの『ハダラ』はアラビア語で “文明”を意味します。
その名の通り、各プレイヤーは文明の指導者となって、
3つの時代を乗り越えて誰がもっとも繁栄した文明を築けるかを競い合います。

プレイ感

前から胡散臭いパッケージやなと思ったら、なんとハンスのゲームだった。ええぇ、老舗ハンスがこんなパケ絵使うんか? と時代の流れを感じて驚いた。割と評判が良さげなので、購入してみた。mia、コタ9歳との3人プレイにて。


ルールは簡単なのだが、このルールブックがなんかやたらと分かりにくい。
個別ボードとそれに使うタイルやら駒やらを配る。それから初期国力を表すカードを配って、国力マーカーやらお金やらを個人ボードに記しておく。国力マーカーは、収入(黄)、軍事力(赤)、文化(青)、農業(緑)がある。
共通ボードでは裏面がTのカードを色ごとに分けて、それぞれプレイヤー人数×2枚ずつ色に合わせて配置する。残ったカードは使わない。


個人ボード。最初のカードで初期国力が違う。上の穴あきが銀貨を埋め込むところで、下の4つの穴あきが彫像を建てるところ。

このゲームではフェイズAとフェイズBに分かれて1ラウンドとなっている。AとBは基本的にとても良く似ている。

初期国力のカードの数字が若いプレイヤーがスタートプレイヤーとなり、共通ボードの国マークを好きな位置にセットする。
各自、自分の国マークが示した位置のカードを2枚受け取り、1枚を横向けに共通ボードに戻す。もう1枚は、購入するか、もしくは売却する。購入したら、そのカードの効果(基本的にカードと同じ色の国力マーカーを上げる)を適用し、個人ボードの下に並べる。同色のカードの場合、その枚数分コストは安く買える。売る場合は、裏に描かれている価格で売り(時代ごとに全て同じ価格)、カードをゲームから除外する。


共通ボードの真ん中に紋章があり、この紋章の場所が自分が手にするカードとなる。わしはスカラベオなので紫を2枚取り、そのうち1枚を買うか売るかし、もう1枚を横向きに埋める。これはフェイズBで使うことになる。


フェイズAが終わったところ。カードの購入は非常に簡単で、左下の金額を支払うだけ。右下が勝利点。上の段にある色付き数値が国力マーカーを進める意味だ。これらのカードはずっと残り、仮にカードを手放してしまうと、その分国力マーカーを下げなければならない。つまり、国力が間違っているかどうかはカードを足せば分かるのだ。

それが終わると、時計回りに国マークを回して、上と同様に行う。
これを繰り返してボード上のカードがなくなるまで続ける。
それから自国の収入マーカーのお金を貰う。
植民地。軍事力が規定に達していたらその植民地タイルを、侵略か併合できる。侵略の場合はタイルと共に表示されているお金を貰う。併合の場合はタイルに表示されている金額を支払い、タイルを裏返して貰う。裏返したタイルには、国力があがる表記がついている。
彫像。文化が規定に達していたら収入、軍事力、文化、農業のタイルを個人ボードに埋め、その数だけ国力をあげることができる。
これでフェイズAは終わり。

フェイズBでは、親から順番に、フェイズAで戻されたカードを1枚ずつ選んで、購入するか、売却していく。ここではどこからでもカードを選ぶことができるが、山札の1番上からしか取ることができない。
全てなくなれば、フェイズAと同じように収入、植民地、彫像の順に始める。
フェイズBではここから農業マーカーと手に入れたカード数を比べ、農業が手に入れたカード以下なら、その分、カードを捨てなければならない。カードを捨てると、国力も同様に減少させるので、農業マークの付いたカードを捨ててしまうと連鎖してカードをさらに捨てる必要がでてくるので注意が必要だ。
さらに銀や金を買うことができる。銀は、彫像でも使ったマーカーを埋め込むことで示す。ゲーム終了時に、そのマーカーの国力の半分(切り上げ)を得点にできる。金は、5色のカード1セット毎に7勝利点入る。複数購入してもいいが、価格は時代ごとにあがっていく。


フェイズBは横になってる好きな色のカードの1番上を取って、購入するか売却していく。ある程度どこにカードを埋め込んだか覚えておいた方が有利だ。

これで1つの時代が終わりで、次は、Uのカードを共通ボードに配置、最後はVのカードを共通ボードに配置して、最後は勝利点で勝敗を決める。

というわけで、ゲームスタート。

mia「なに、これ。めっちゃ農業国じゃない」

農業だけが突出した初期カードだった。

基本的にメインとなるカードの購入は同時プレイできるので、淡々と進む。

わし「こっち埋めて、こっちを購入」

後で気づいたことだが、埋めたカードはある程度覚えておくのがこのゲームのキモであったりする。
フェイズAでは同じ色のカードはT度しか選択できない。逆に言えば、自分が最後に手にする色のカードを覚えておけばフェイズBでそれをかなりの確率で購入することができるということだ。山の一番上に乗っかるからだ。

最初はこんな風に進めていくが、3枚も購入すると資金が枯渇してくる。

そこで、全員が売りに入る。
売られたカードは、ゲームから取り除かれるので、相手に渡したくないカード(といっても時代が進まないと判別できないが)をゲームから取り除いたり、フェイズBで手に入れるために自分が欲しいと思ったカードを埋めて、いらないと思ったカードを売ったりする。

こうして、最初はできる限り万遍なく購入した。

それから収入が入る。
後で収入が入るのがちと辛かったりするが、ここでフェイズBへの資金とするわけだ。

わし「植民地化はどう? わしは軍事力が2しかないので無理」

コタ「僕は3なんで、やる」

植民地化できるタイルは、3,9、15,21,30の軍事力があればモノにできる。それぞれの植民地タイルは1枚ずつしか手に入れられないので、最高でも5枚までだ。今回はコタは3のタイルを手に入れた。


植民地タイル。左下の軍事力があれば、手に入れられるが、併合する場合はお金を支払ってタイルを裏向けにする。裏向け内容はタイルによって違うが、先に見てはいけない運となっている。
同じ軍事力のタイルは1度しか手に入れられないので、最高でも5枚だ。かなりの軍事国家でないと5枚は無理である。

ここで、侵略して賠償金をせしめるか、金を支払って併合してしまうかを決める。併合するとタイルが裏向きになり、そこに記された国力が上昇するのだが、裏面は見てはいけないことになっている。つまりどんな効果があるかはやってみないと解らない。

コタ「お金が欲しいんで侵略する」

次に、彫像を建てることができる。
今度は文化度で判定する。

わし「無理」

mia「あ、じゃあ、建てる」

世の中の権力者は自分の偉業を示したいために彫像を建てたがるものだ。

これは自分で足りないと思った国力を追加できるので非常に調整しやすいアクションだ。

mia「さらに文化度をアップ」

各自、国力と同じ色のマーカーを2枚ずつ持っている。つまり各国力は、2回しか上げたり、銀に変えることしかできないのだ。
よく考えて上げた方がいい。


今回は満遍なくカードを手に入れる作戦なので、金貨狙いだ。彫像に1つ埋め込まれているのが見えるだろう。

ここでフェイズBにうつる。
フェイズBでは、好きな色の埋められたカードの1番上を購入するか、売却していく。
ここで、自分の国をどういった国にしていくかを決めていくことができるのだが、今回は買えなかった色のカードを購入した。

収入後、軍事力をあげたのでわしもmiaも植民地タイルを手に入れたが、なんせ金に苦労するので侵略を選んだ。
コタは9までは到達しなかったので、今回は見送った。

彫像は、コタが建てて、わしは野蛮人がごとく、建てることができず。

そして全員食料調達はOKなのでカードは捨てずに済む。
というかこれ引っかかったらもう勝てない気がする。

ここで、金銀を買うことができる。

わし「複数枚買うてもいいので今買わなくても大丈夫やで」

mia「あ、そうなの。じゃあ、やめようかな」

わし「あ、ちょっとまって。後半になると金額がべらぼうに上がるわ。いけそうなら早めの方が得」

というわけで、わしはなけなしのお金を使い、金を購入した。
金はカード5色ごとに7点もらえるので、満遍なくカードを購入すれば勝利点がもらえる。
ここで買うたのはわしだけだった。

時代が進む。Uのカードを配置する。
親プレイヤーが入れ替わって、好きな位置からスタートすることができるので、金購入によりお金がなくなったため、わしにとって今不要な色の緑スタートにする。最初は何であろうと、売るつもりだ。

mia「なるほど」

Uのカードは当然Tのカードよりも価格は高い。だからTで購入しなかった色のカードを買うと、正規価格を支払う必要があるのでかなりきつくなる。

ただ今回は初回プレイということもあり、満遍なくカードを集める作戦に出ているが、それでもやはり高い。

ここまで、カード枚数が多くなってくると、やばくなってくるのは食料である。

コタ「わ、やばい。カードを捨てないと」

わし「まあ、待て。まだチャンスはある。彫像で食料を選べばクリアできるやろ」

コタ「あ、そうか」

カードで無理だとしても彫像とか、植民地併合でなんとかなるケースが多々ある。
なんせカードを捨てるというのはまず間違いなく勝てないと思うので、絶対に回避すべきだ。


彫像で、食料ばかりを埋め込んでなんとか食糧不足を回避するコタ。軍事力をあげているので、銀貨に軍事力を埋め込んだ。これらのタイルは2枚ずつしかないので、例えば食料を銀貨に埋め込むことは不可能となっている。

そして、ここでも全員、金銀は買わず。

mia「お金がなさすぎ。これは次回の元手になるから」

Vのカードかといって特に今までと変わらず。

miaは文化度をあげて、3つの彫像を建てた。
基本的にバランス重視でやると4つ目までは難しい。

コタは軍事力をあげるものの、21までしか攻略できない。
理由はまったく同じ。

わしは紫カードの効果で金銀がT時代分安く買えるので更に金を追加で購入。
その他は特筆すべきことはない。基本的に、国力が低いのは、勝利点の高いカードを購入するようにしていたからだ。

最後は、お金は5ゴールドで1点にしかならないので、使い切ったほうが得である。

ゲーム終了。最後まで勝敗はさっぱり解らない。
というのは勝利点を集計するのがかなり多くて、誰がリードしているかさっぱり解らないのだ。


わしの最終。金貨2枚購入、4枚を植民地化してみたが、文化度は低く、彫像が2個しか建てられなかった。

計算すると、miaが勝利していた。
彫像が非常に強かった。

所要時間75分


miaの最終。金貨1枚だけだが、彫像が4個建てられている。最後の彫像が勝利点になっているが、これはマーカーを裏向けにすることで勝利点を更に加算することができるのだ。

コタが気に入ったので、翌日再戦した。

2回目となると、流石にイチから順番に買うようなことはしない。
売るときはさっさと売ってお金を貯める。

今回はとんがった国にしようと、バランスを崩して買うことにした。

前にmiaに文化度でやられたので、これは常に抑えてなるべく彫像を建てるように進める。

mia「なんでそんなにお金持ってんの?」

わし「この紫のカードの効果よ」

最初にコタが手にしていた、売るときに1ゴールド余分に貰えるカードをフル活用した。

こうして、できる限りお金を持ちつつ、欲しいカードをとんがらせていった。

コタも完全に軍事国家へと進む。

実のところ、とんがらせた方が、同色カードの割引があるため安くつくのだ。
またそれを支える銀も金より安い。

というわけで、2回目は終始、お金を持ちつつ農業と文化のある国にしたわしが勝利した。


わしの2回目は、文化度をあげ、とんがった国にした。金貨は諦め、銀貨を農業2個で埋め込んだ。

コタのコメント

面白かった。もっととんがった国にした方が良かった。

miaのコメント

彫像は強かった。

ソマーリオ

多人数ソロプレイである。他のプレイヤーとの絡みがほとんどない。というかまったく感じられなかった。
ひたすら自分で色んなタイプの国を作っていく。満遍なくよりも特化させた方が面白かったりする。

一言でいうとハンス版の世界の七不思議やな。かなり大雑把やけどブースタードラフトか、2択ドラフトかの違いやん。
ちゅうわけで世界の七不思議が好きというユーザーなら高評価するやろうけど、わしは世界の七不思議はそんなにおもろいと思わんので同様の評価である。

これはパケ絵にもあるように、シミュレーション系が好きな新しいゲーマーに受けのよいタイプのゲームである。デジタルタイプの発展ゲームをボードゲームにした。

そういうターゲットであるならば、カードにタイトルは是非欲しかった。うちの国では、鍼治療を取り入れて発展しているとかそんな風に伝えたい。

システム的には、2枚ブースタードラフトともいうべき、少し変わったシステムだが、おお、これは? って感じるほどではない。ふーん、って感じ。思うに、他人との絡みが発生しないからだろう。単にカードをハンドリングしてるだけである。

ハンスもこういったゲームを作るようになったのかと思うと時代の流れを感じる。ドイツゲームが好きな古参ゲーマーにはイマイチに感じられるのは間違いない。
ただし文明の進歩を扱ったゲームはいくらプレイアビリティを考え簡略化していたとしても、非常に時間がかかる重量級ゲームとなるので、時間とルール分量のバランスが良いゲームとは思う。

gioco del mondo