Richard Launius
Kevin Wilson

Fantsy Flight
アークライト

1〜8人
90分

エルダーサイン

駿河屋で購入
プレイヤーは「探索者」として、「旧支配者」のうちの1体と戦うことになります。特殊なダイスを振り、未知のクリーチャーが巣食っている博物館の中を探索するのです。
探索者の勇気とスキルが、プレイヤーに報酬を与えてくれるでしょう。その報酬の最たるものが、『旧き印』です。この不気味な印は、旧支配者を封印することができ、それによりプレイヤーはゲームに勝つことができるでしょう。
しかし、ゲーム中、時計は時を打ち続け、旧支配者の目覚めが近づいてきます。探索者たちの行動があまりに遅く、封印が間に合わなかった場合、人類は破滅の淵に立つことになるのです!

プレイ感

クトゥルフものは、TRPGを意識したボドゲが多くて、やたらと時間が掛かるものが多いので敬遠してた。このエルダーサインは値段も安く2時間程度で終わるサイコロゲームという事で買うてみた。miaと2人プレイにて。


まず最初にキャラクターカードをどれにするか決める。大量の探索者がおり、それぞれ能力も名前も絵も違うという素晴らしい懲りよう。まあ、こういうのがないとクトゥルフものは駄目ってしっかりと解っている。わしは有名なハーベイウォルターズにしようと思ったがお爺ちゃんだったので、インディジョーンズばりの考古学者にした。miaは手品師というマニアックな職業を選ぶ。


キャラクターは初期の持ち物も違う。基本は6カ所ある冒険カードでサイコロを振って解決していくだけ。

さらに今回出てくる旧支配者を誰にするかと思ったが、怪物タイルを抜くのがめんどくさいので、ニャルラトホテプに決定。ニャルラトホテプだけ、特別な怪物タイルが入っているのだ。アニメでやってる這いよれ、ニャル子さんの元ネタである。這い寄る混沌というのがニャルラトホテプの冠詞なのだ。

冒険カードを6枚並べる。手番はここに自分の駒を動かして、サイコロを振ってイベントを解決していく。冒険カードにはクトゥルフをモチーフにした(例えば怪しい骨董屋とか不気味な音がしたとか)イベント内容が書かれており、そこに達成すべきタスクのサイコロの目が描かれている。基本は6個のサイコロを振って、出目に応じてタスクを解決するのだが、複数タスクがある場合は、使った出目のサイコロは取り除かれて、残ったサイコロだけで残りのタスクを達成しないといけない。全てのタスクを達成すれば、冒険カードに書かれているご褒美(武器、魔導書、古き印、手がかりなど)が貰えるが、失敗すれば、書かれている罰則(正気度、体力などが下がる)を受ける。ちなみに成功しても破滅チップを置くなど悪いご褒美も入っているが、それは甘んじて受けるように。

手番の最後に時間を3時間進める。12時間毎に、神話カードというのをひき、12時間継続する効果などが現れる。


成功したタスクの上に振ったサイコロをおく。まだタスクが残っていれば残りのサイコロで描かれている絵柄を達成しなければならない。今回は骸骨と巻物が1つずつでれば解決する。報酬は右下のアイコン。失敗は左下のアイコンだ。

またゲームの途中、破滅チップを置けという指示がある。これがあると旧支配者カードの上に破滅チップを順番に並べていく。その効果で怪物タイルを置く事もある。で、全て置かれてしまうと旧支配者が蘇り、最終決戦として今までの手順を全て無視して旧支配者カードの上に駒を置いて、勝敗が決まるまでそのタスクをこなしていく。旧支配者は12時間毎に書かれている攻撃を加えてくる。

ゲームの勝敗は、旧支配者カードの上に古き印を体力分置くか、破滅チップを全て取り除けば勝ち。その前にプレイヤー全員の正気度か体力がなくなれば負けである。厳密には最終バトル以外でプレイヤーの正気度か体力がなくなったら、新しいプレイヤーカードを使ってゲームに復帰出来るが、最終バトルでは負け抜けとなる。

ざくっとした流れはこんな感じで、後はカードに書かれた特殊効果で色々と解決していくタイプのゲームだ。この手のタイプのゲームはルールが解りづらくて苦労する。

序盤、冒険カードをなかなか取れずに苦労する2人。


解決した冒険カードは手元に置いておき、書いてある数字を使って体力の回復などに使える。その上にある緑の小さいタイルは怪物タイルでこちらもまた手に入れて使う事が出来る。怪物タイルもタスクと同じ方法でやっつけることが出来る。

サイコロを振って、タスクを1つでも達成出来ないと失敗となり、サイコロ1個を失って振り直しとなる。ここで記述が解りにくくルール間違いがあって、完全に無理となるまでこの失敗は何度でも繰り返せるのだ。もちろん失敗の都度振れるサイコロの数は1個ずつ減っていく。

また失敗したときだけ、1プレイヤーにつき1個だけサイコロの出目をそのまま自分か、同じ冒険カードにいる他プレイヤーに保持させる事も出来る。タスク成功した場合は出来ないので注意。

で、タスクが成功した場合、まだタスクが残っているなら、成功に使ったサイコロを除いたサイコロでさらに振り直す事になる。全部のタスクを成功させれば冒険カードを解決した事になって、それを手元に置く。これには価値があり、色んなものを買う事が出来るようになるのだ。


miaの手品師。こいつは呪文の書を手に入れるとき倍で貰える。呪文の書はサイコロの目を保持できるという特徴がある。
ちなみにこの呪文の書はサイコロの目を自分の手番を超えて保持して、(おそらく同じ冒険カードのタスク解決の時)好きなときに使えるが、当然、その間、振れるサイコロの数は減ることになる。呪文の書を破棄すればサイコロを戻せる。つまり、一旦ここにおいたら、呪文の書を使うか破棄するまでサイコロが残るという事だ。

わし「あ、わし発狂しかけ」

インディジョーンズばりの考古学者は初期SAN値が低くて、色々と頑張ってる内に残りは1になってしまった。これがゼロになると死亡となり、新しい探索者を使わなくてはならない。

わし「このメデューサの展示物は、SAN値を強制するんでわしには無理。お前頼む」

mia「っていっても、わたしも失敗をしたおかげで結構低いから無理」

わし「ほな、諦めるか」

冒険カードは6カ所あるので、難しそうな奴は選ばずとも良い。
でもただの調査にしてもサイコロの目やたらと厳しいのが多い。


カード類。左上が24時間の効果を決める神話カード、中央左から特殊アイテム、呪文、通常アイテム、手助けしてくれる探索者カードとなっている。その下、左が冒険カードの山で、右の冒険カードはより難易度が高い冒険カードだが、報酬も高い。

報酬に違いがあるので、なるべく自分にメリットのある報酬の冒険カードを選ぶのがいい。例えばわしの考古学者なら特殊アイテムを貰う時は1枚余分に貰えるし、手品師は呪文カードを追加で貰える。

かなり出し渋りまくったおかげで、わしの手元にはネクロノミコンや無名祭祀書などの特殊アイテムがどっちゃり。これらを使うと赤色のサイコロが追加で振れる。一般アイテムなら黄色のサイコロが追加で振れるが、当然赤色の方が良い目があるサイコロとなっている。

mia「ちょっと、それ使ってよ」

わし「えー、もうちょっと後で」

貧乏性のわしはなかなか使わない。

mia「そういうのどんどん使わないと駄目なゲームなんだって」

ここで意図せぬ出来事が。子供再起動。

しょうがないので、最近よくやってる、写真を撮って、後日続きからやることにした。


タスクの上に怪物タイルが載ったりする。また矢印が書いてあるタスクは順番に解決しなければならない冒険カードだ。冒険カードにはどんな話であったかテキストが書かれておりホラーの雰囲気を満喫できるようになっている。

なんだかんだと失敗しながらも、冒険カードを達成してたわしに対してmiaはまったく奮わず。

発狂しかけてたわしも、元の値に回復するカードを使って余裕綽々。

そうこうしてるうちに、ニャルラトホテプの上に破滅チップが載せられていき、復活寸前。旧き印を11個も載っけるのはかなり難しくなってきたので、復活させてやってもうた方が早いやんけと思いだす。

わし「そろそろ復活しそうやから、体力とか戻しとけよ」

mia「了解。じゃ、4ポイント払って全回復させる」


これが今回の旧支配者ニャルラトホテプである。上に載ってる破滅マーカーがすべて揃うと復活したことになり、ボス戦となる。その前に中央の数字分(11)だけ古き印を載せれば勝利だ。タスクは恐怖の目を2個出す事。

ニャルラトホテプの攻撃を読む。

わし「手がかりチップを1枚ずつ捨てさせるみたい。で、無くなったら死亡やって」

わし「なにぃぃ!!」

わしらの間に手がかりチップはほとんどない。というより、わしは結構持ってたのだが、サイコロを振り直す事が出来るので、バンバン豪勢に使って無くなっていたという。ニャルラトホテプは、体力もSAN値もまったく関係なく、手がかりチップこそが耐久力なので、この失敗はあまりに痛い。


赤色のカードは強力なカードが多い。

2人で慌てて手がかりチップを購入したりして手に入れる。

しかし旧支配者は復活した。

ここでゲームの展開はころっと変わり、ニャルラトホテプとの一騎打ちになる。

旧支配者は、夜中の12時毎に書いてある攻撃をしかけてくる。今回の場合は、手がかりチップを捨てさせるだ。やっつけるためには書いてあるタスクを達成し、達成するごとに破滅チップを取り除いていく。これが0個になれば封印成功でゲームに勝利する。

ここでまたしても重大なルールミス発覚。タスクは1手番に何度達成しても良いと重要なルールを忘れてた。つまり1手番に数個、破滅チップを取り除く事が出来るのだ。失敗してもリスクはないので、どんどんやればよい。

途中、それに気づいて、取り除いていったが、最後1個残すところで、miaが失敗。12時を迎えて、2人共死亡した。

旧支配者により、人類は滅亡した。すまん。

所要時間80分


最後は1個残したところで2人とも死亡。

miaのコメント

どうもややこしいサイコロゲームはあまり好きじゃないなあ。

ソマーリオ

クトゥルフものは、想像力が全てなところがあるので、TRPGをボードゲーム化するのはやはり難しいように思う。今回のエルダーサインも冒険カードには細々と状況などが描かれているが、それを読んだところで復活する旧支配者は決まっているし、その冒険カードの内容によって出てくる訳でもない。
言い方をかえれば、メデューサの展示物が出たからといって、クトゥルフが出てきてもヨグソトースが出てきてもいいのだ。それゆえフレーバーとなってる冒険カードを読むのが面倒になってくる。

ここにホラーものをボードゲーム化する難しさが溢れている。
TRPGならばマスターが、どの旧支配者を復活させるかによって、冒険内容を変えてくる筈なのだ。プレイヤーは想像するのが楽しくなってくるだろう。

システム的にも、無駄が非常に多く、まったくチューニングされていないと感じた。例えばニャルラトホテプの攻撃は手がかりチップだけなので、手がかりチップの貰える冒険カードばかりをやっていけばいいのだ。体力、正気度はあまり関係ない。カツカツの戦いをしたいのに、(今回は失敗したが)あまりにも簡単に封印出来る。アザトースみたいに甦ったら即負けというのもいるが、旧支配者が甦ってからの戦いはあまりにも楽だ。冒険カードでなんとかしないとほとんど勝ち目がないという形こそがクトゥルフものだと思うのだ。

徐々に謎が明らかになり、それに連れて恐怖が広がっていき、どんな旧支配者が裏で糸を引いているか解っていくというシステムでないとクトゥルフ神話にならないだろう。このゲームではそれがない。途中経過はどうでもよく最後だけ帳尻合わせのように旧支配者が出てくるのだ。
むしろ汎用的に冒険カードを使うのではなく、旧支配者によって違うストーリー仕立てで冒険カードを並べた方がよっぽど良い。くにちーの指輪物語のような感じにすればいいかもしれない。途中経過を大切にするようなシステムの方がよっぽどおもしろくなると思う。

※よくよく考えれば、ニャルラトホテプの攻撃は手がかりチップだけなので、その手の冒険カードばかりやるという事はやはりニャルラトホテプの話となり上手くゲームになってるのかも知れん。他の旧支配者のを読まんと解らんけど。

ゲームとして厳しく書いたが、クトゥルフファンの目線としては、マニアを唸らせる出来だと思う。
まず探索者の数が多く、それぞれが特殊能力の個性を持ち、絵も違い、名前も全て与えられている。

アザトースはじめ、クトゥルフ、イタクァなど旧支配者も揃っており、同じように絵柄が違うし、能力も違う。
冒険カードも内容も絵も違い、しっかりと読めば、クトゥルフそのものの雰囲気を持っている。ここらへんはセイラムの魔法使いでもやってたようにクトゥルフもののコアとなる部分だ。

これだけのものがこの値段ならば、ファンなら買ってみて絶対に損はない。
クトゥルフものは、内容云々ではなく、ほとんどキャラクターものと化しているので、そのニーズにはしっかりと応えられるだろう。よくぞここまでと作者のクトゥルフに対する愛を感じる事が出来る。まあ、こうでないと売れないというのをよく知ってるだけではあるが。

プレイ時間もこういったTRPGのボードゲーム化にしては1時間程度で終わるのでプレイアビリティも高い。ゲームファンには勧めないが、クトゥルフファンには勧めたい、そんなゲームだった。

gioco del mondo