Ryan Laukat
Red Raven Games
Hobby Japan
2~4人
30分
八分帝国:伝説
駿河屋で購入
「八分帝国:伝説」は、『コンパクトでスピーディー』なゲームの代名詞となっている、「
八分帝国
」の姉妹版。
短時間でプレイできるだけではなく、ルールを覚えるのもすぐにできる戦略だ。
本作ではファンタジー世界を背景に、カードの特殊能力やファンタジー世界のクリーチャーたち、連結式ゲームボード、新たな選択ルールが追加された。
プレイヤーは自分のターンに並べられた6枚のカードの中から1枚を選択する。
カードにはこの世界の地域や種族、アクションや特殊能力が記されていて、選んだカードを取ることで、その種類の地域や種族を獲得し、アクションを行うことができる。
しかし、カードはその並べられた場所によって価格は異なり、残してしまったカードは次のプレイヤーの選択肢の一つとなってしまうのだ。
自分にとって必要なアクションや地域、自分の手持ちの資金とほかのプレイヤーの資金、渡したくないカード……などをかんがみながら、カードのアクションや能力をうまく使ってゲームボード上の各地域を支配し、大陸に覇権をとなえ、出来るだけ多くの勝利点を獲得しよう!
※当商品は単独でプレイできます。「八分帝国」の拡張セットではありません。
プレイ感
8分で出来る陣取りゲームとして鳴り物入り(大げさ?)で登場した
八分帝国
の新バージョン。舞台はファンタジー世界となり、伝説のクリーチャーが跋扈する世界となってる。八分帝国は悪くはなかったが、まあ内容の割に値段も高いし買うほどのものでもないかとこの伝説もスルーしてたが、プレイ時間が限られるわしにとっては、こういったライトなゲームには需要がある。つうわけでぽちっと購入。盆に大阪に帰省して戻ってきたばかりだが、パケ絵をみてコタがやりたいというのでmiaを呼び3人でプレイ。
当たり前の話やけど基本的な流れは
八分帝国
を踏襲してる。
カードを6枚並べる。手番にはカードを1枚購入して下に書かれているアクション(駒追加、移動、攻撃、城建設)を実行していくだけだ。前作では、カードの上には特産品が描かれて、それを集めるのが目的の一つだったが、今回は、集めるのはエリクシルのみで、カードによる特殊能力が描かれている。エリクシルとお金以外は毎手番行えるところがミソである。
ここに並べられた6枚の行動カードを購入してゲームを進める。左なら0で右にいくにしたがって価格が高くなる例の作りだ。ボードは可変で図の形なら好きな様に組み合わせて良い。中央に開始タイルを置き、基本はそこからしか駒を追加できない。
3人プレイの場合10枚選んだらゲーム終了で、得点は各マス単独最多が1勝利点、各ボード単独最多が1勝利点、最多エリクシルが2勝利点(タイはそれぞれ1勝利点)、カードの特殊能力による勝利点を加算して勝敗を決める。
駒の出現位置が決まっており、城を造るまでは駒の追加はここにおくので、びっしりと埋まるのは前作と同じ。
わし「ほな、1銅貨で買える夜のブリザードを買う。こいつのアクションは3個追加して、相手の駒を1個除去(攻撃)するか。miaの死ねーい!」
mia「ちょっと! 酷いじゃない」
こいつの特殊能力は、『夜の』と付いたカードが1枚1勝利点になるところ。基本的にカードには『高貴なる』『恐ろしき』『古の』など冠詞が付いており、これらを集める事で得点になる親カードが存在している。
カードの行動は下のアイコンで、上には特殊能力が示されている。夜のウィザードは夜ので+1、呪われしバンシーはエリクシルが2個という事だ。上の能力は毎手番行えるものもあり強力かつキャラクターを特徴づける。
コタは『森林の』の親となる湖を選ぶ。
わしは最初に駒をどばっと集めてから、移動しようとするも
わし「げぇ、海を越えるのは3移動力もいんのか!」
mia「じゃあ、わたしは呪われしガーゴイルを買う」
このガーゴイルは翼マークが付いてる。飛行能力を持っており、海を越える場合移動力を1減らせられる。効果は重複するので翼が2個あれば、陸地と同じ1移動力で済むのだ。
中央にある島は、かなり手狭になっているので、是非とも海を越えたいものだ。
初期セットアップに、それぞれ1個ずつ駒が置かれているが、城を建てない事にはいきなりここに出現させる事はできない。
わしはせこく、ほとんどが0で手に入るカードばかりで進めていく。
海を超えて、陣取りが熱くなってきたところ。海は3移動力いるのでかなり大変だ。城を作るか、飛行をつけないと厳しい。
mia「そもそも、これ、こんなにお金使って大丈夫なものなの? どうやって収入得るの?」
そういえばこのゲームのやり方をすっかり忘れていた。基本的にお金を手に入れる事はほとんどない。僅かにカードで手に入れるぐらいだ。最初にお金を使ってしまうと、後々選択肢が少なくなるという事だけだ。お金は3人では11銅貨貰えるので、毎ラウンド1銅貨は使ってもよい計算になる。これはかなり緩い。
しかしこれに気づいた時には、すでにコタが城を建てて、自分の島の勢力を増大させようとしてたところだ。
わしはようやく上陸したところで
mia「じゃあ、この駒、除去」
と軽く捻られる。一撃で3移動力が無駄になった。
やはり飛行が欲しい。
ようやく登場した飛行クリーチャーに高貴なるユニコーンの毎ラウンド1移動力をえて、他の島々に進出をし出す。
コタ「ぼく、これが欲しいんだ」
わし「これ、コタ勝つのんじゃないの?」
あまり陣取りを考えず、森林の、神秘の、などの親カードと組み合わせてきた。
みると、全てのカードが勝利点と化してる。マジか。
そして10ラウンド終了。
最後は、miaで、自由に移動をして終了。
結果、陣地ではわしが伸びたが、コタの○○シリーズに完敗した。
ちょっと手加減が過ぎたところはある。
所要時間45分
最終局面。陣地では白のわしが圧倒だが、カードのボーナスは強力だった。
ソマーリオ
5歳児に対して、直接攻撃がありなところがあって、やらしいプレイが出来なかったが、これはかなりの面白さ。
どう考えても8分では出来ないくらいのボリュームとなってしまっているが、前作の不満であったところが消えている。
陣取りとしては、最多が得点を得るという非常にオーソドックスなシステムながら、前作がたったそれだけのゲームだったのに対して、今回はクリーチャーによる特殊能力で、戦略を大幅に広げた。またクリーチャーがファンタジーオタク心を見事にくすぐるように出来ている。うちのドラゴン、うちの巨人など、相手に対して優位にたてる効果が満載され、プレイヤー満足度が増し、後半になるにつれて展開が派手になっていく。前作のレビューで指摘した、人類の技術・発展がないというのがシステムに搭載されたのだ。
やってる事はウォーゲーム時代のマルチゲーム、例えば魔法の大陸(Barbarian Kings)や魔法の島の戦い(Wizard's Quest)と遜色ないような気がするが、終わった後に同じかそれ以上の満足度が僅か30分程度、プレイアビリティ抜群で味わえるのは、システムの進化の賜であろう。
今回は45分も掛かっているが、カードの効果を確認しつつやったためで、次回からは30分程度で終わる。
コンポーネントは、カードの絵などは雰囲気たっぷりでいいのだが、駒がよくあるキューブブロックなのが少々残念だ。とはいってもこんな小さなミープルを用意させるのは難しいか。また、それほど組み合わせは多くはないが、可変ボードとなっているところも良い。
このゲームは基本ゲームだけでなく、拡張ルールがいくつか含まれているのは素晴らしい。
その拡張にはさらにオタク心をくすぐる雰囲気抜群のアイテムが続々と登場するのだ。
八分帝国
のシステム上、プレイするたびに変化が乏しいのが問題となっているが、伝説では、クリーチャーの特殊能力、可変ボード、そして拡張ルールによって多様性を持たせている。
欠点は、一番最初のところに書いたように、様々なアクションが全て直接的過ぎるところだ。通常のドイツゲームでは、プレイヤーの動きに制限を課しているのであまり他のプレイヤーに恨みを買う事はないが、このゲームはウォーゲームそのもので、自分のやりたいことがほぼそのまま出来てしまう。また選択肢が多いため、序盤、どうすればいいか悩むプレイヤーもいるだろう。自分の一手でどちらが勝つか決まるキングメーカーの問題も残っているので、どこかで隠し情報も欲しいところだ。
キングメーカー以外のところは逆にいえば長所ともとれるので、どう受け取るかによってこのゲームの評価はがらりと変わる。間違いなく言える事は、ウォーゲームに抵抗のない人ならば、気に入るだろうアメリカンなゲームという事だけだ。
あの時代に生まれていたならば、とんでもない名作として、タクテクス誌上にて戦略研究などが成されていたに違いない。
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