Franz-Benno Delonge
Thomas Ewert

Valley Games

3〜5人
120分

コンテナ

「コンテナ」は、供給と流通の仕組みを、非常にシンプルな形で表現したゲームです。
各プレイヤーは「工場エリア」と「港エリア」が描かれたボードを持ち、そして、テーブルの上を、船が行きかう外洋として扱い、ゲームを行います。
各プレイヤーは、自分の手番でいくつかのアクションを行います。
生産機械や倉庫の購入であったり、品物の生産であったり、またのその生産品の売買であったり、輸送船を用いての輸出であったりです。
そのシステムは非常にシンプルではありますが、もたらされる展開は非常に歯応えのあるものとなっているはずです。

プレイ感

ネットでかなり面白いと話題になった50歳の若さで亡くなったデロンシュの遺作。レジンで作り込まれたコンテナ船に、全て木製の資材駒がアブストラクトぽいイメージを与える。その後、人気のために拡張セットまで出た。タメラがやったことあるというので説明を任せて、ロー、miaと4人プレイすることにした。
そういや意識したわけではないが、ビッグシティとこの日はデロンシュデーとなった。


このゲーム、ちょっと説明がややこしいので、適当にはしょって書く。手番には以下から2アクション選んで実行する。工場を作る、倉庫を作る、商品を生産する、商品を買い付ける、コンテナ船を動かす。

工場は、同じ色の商品を生産する事ができ、生産するには(何故か)右隣のプレイヤーに1ゴールド渡す。自分の工場にある色の商品駒を値付けして置く。置ける数は工場の2倍まで。

商品を買い付けるのは、上のアクションをした他プレイヤーの値付けした商品駒を値付けされた値段で買い、自分の倉庫に再び値付けして置く。置ける数は倉庫の数まで。


個人ボード、外洋、島の3カ所をコンテナ船が行き来する。個人ボードは一番下が工場、1つ上が相手に売り出す原材料、その上が倉庫、その上が相手に売り出す商品となり、商品が置いている相手プレイヤーの港でコンテナを積むことが出来る。数字の天地が逆転しているのは、相手プレイヤーへの配慮(相手プレイヤーに売る価格)だからである。

コンテナ船は自分のボード-外洋-島と3カ所の位置があり、それぞれそのように繋がって1アクションにつき1カ所移動させる事ができる。他プレイヤーの倉庫にある商品駒を載せるには、その相手のボードに寄港して、値付けされた値段を相手に支払い、商品駒をコンテナ船に載せる。これを(最終目的である)売り払うには、島に寄港して、搭載してる商品をまとめて競りにかけるのだ。(そう、さらに競りなのである)


このように船にはコンテナが詰めるように敷居があり最高で5個まで運ぶ事が出来る。

競り落とした金額を自分が銀行に支払えば、その商品は自分のものになり、ようやく自分の敷地に置ける。これは準備段階で、どの商品がどれくらいの価値になるかをあらかじめ貰っているので、高い商品を買えばいいのだが、単純にそうはいかなくなっている。それは、ゲーム終了時点で、各プレイヤーで一番数が多い商品は全部取り除かれるからだ。同数ならその中で一番価値の高い商品が取り除かれるという無茶苦茶意味不明なルールがあるからだ。つまり価値の高い商品をたくさん集めるのではなく、価値の低い商品を最大数にして調整しなければならないという事だ。

もし自分がその価格で要らないと思えば、落札したプレイヤーからお金を受け取り、さらに銀行から同額受け取る。もちろん落札したプレイヤーの敷地に商品駒を置く。


このゲームが癖のあるものにしてるのは、この得点カード。色毎にプレイヤーによって価値が違い、さらに最多の中で一番価値の高い貨物を捨てねばならないのだ。

こうして商品駒のストックが無くなれば、その人の手番でゲームは終了で、上に書いた計算方法で、商品をお金に換えて、一番手持ちのお金が多いプレイヤーが勝利である。なおリストにある2番目の価値の商品は10/5ゴールドと書いてるのは、全色集めたら10ゴールド、でなければ5ゴールドという意味で、これは駒を取り除かれる前に判定される。

読んでの通り、ややこしいのはあちこちで再値付けが頻繁に行われているところだ。それに輪を掛けてややこしくしてるのが、工場生産時以外は相手プレイヤーのものしか買えないというところ。
工場から生産時、相手の生産した商品を買い付け時、商品を島に運んだ時の競り、と3段階に渡って値付けされる。まあ、流通を考えたらリアルっちゃリアルだ。

このおかげで、もう頭はぼやぼやっとしたままゲームが行われる。
何がどうリンクして、どれくらいの値段をつけたらいいのか解らないのだ。原価計算がぱっと出来ない。

とはいうものの、競り以外の値付けは、値段を付ける範囲がボードに描かれているので、ある程度システマチックにプレイは出来る。

mia「えー、ちょっと全然、解らないよ」

タメラ「大丈夫です。ここの誰も解ってないですから、適当に真似して値段つけたらいいんです」

今回のプレイでは、商品生産時の値段は1から5まであるので、人間心理的に2あたりに置くのがデフォルトになっている。
また倉庫での値段は、2から6まであるので、買付に利益を乗せて3あたりに置くのがデフォルトになっている。

1手番目、経験者のタメラは工場を建設する。それを真似してローも工場建設。わしらも慌てて工場を建設する。こうすると、1ゴールドで2個の商品を生産出来るので得なのだ。ただし

わし「これ、お金ごっつい苦しない?」

タメラ「工場は高いすからねえ。確かに苦しい」


今、島に着いたので、白の貨物2個の競りが行われているところ。白2個はわしの場合は、得点が高いから欲しいところだが、最多にはしたくない。

経済はプレイヤー間で基本は閉じられているのだが、工場とか倉庫とかの増設は、銀行に支払う事になる。つまりプレイヤー間で流通するお金の量が減り、デフレ経済になるのだ。どこぞのノータリンみたいに、仕分けなんてしたらお金が廻らなくなって、苦しくなるってこっちゃ。

で、デフレを脱却するためには市場にあるお金の量を増やさなければならない。その方法は唯一、商品をコンテナ船に積み込み、島で売却する事である。

わし「ほな、とりあえず、ローさんところで載せた黒駒を、島で売るわ。競りな。あ、ちゅうか、これ商品名ないんか?」

タメラ「ないんですよ。だから適当に付けましょう。あきおさんの白い駒はコカインですね」

わし「おいおい。ここはちゃんとした名前欲しかったよなあ」

ロー「じゃ、オレのは備長炭ね」

というわけで備長炭1個をわし以外が競る。タメラが4ゴールドで落札。わしは要らんのでそれを受け取り、さらに銀行から4ゴールド受け取る。買いオペやな。

タメラ「やばい、苦しい。借金しまーす」

借金は10ゴールドの証書で、返さないと毎手番1ゴールドの利息を払わなければならない。

ロー「俺も借金する。タメラくんを真似してたら酷い目にあった」

さらにmiaも借金をし出した。

わしだけは、白い粉を作ったり、相手の商品を買い付けて並べてみたりすると、皆が買うてくれたので、借金せんギリギリで廻すことが出来た。

タメラ「やばいっす。もう1枚借金します」

借金カードは2枚まで。これで毎手番2ゴールドに利払いしなくてはならない。

借金した奴らは、ひーひー、言い出した。


お金が無くなりだすと、我先にコンテナを積み込む事になる。船の造形は非常に素晴らしい。

タメラ「なんとかお金を獲得せんと利払いで潰れる。でも今は、皆お金ないから売っても値段あがらんし、どうしよ。あー、でもやっぱり持たない。コンテナ船を島につけます」

ここで競り。

タメラ「買いたたかれた。原価割れやけどしょうがない。借金1枚返します」

と、こんな感じで無借金経営のわしが、ギリギリの経営でなんとか助かってる。
わしも何度か借金しようかと考えた事あるけど、周りをみてると絶対にやったらあかんと悟る。

タメラ「4ゴールドで落札です」

わし「お前、なんでそんな高い値付けすんねん!」

ロー「自分の積荷を高くつけられて怒ってる!」

タメラ「理不尽すよ」

周りが不要なセットで積荷を売ってくる。欲しい商品はあるけど、要らん商品まで混ざってるから、それを買うと今まで集めた高価商品が取り除かれてしまう羽目になる。仕方なしに自分が欲しい商品1個だけで入港して自分で買おうと思ったら意外と高い値段をつけてきた。

とまあ、こんな感じで進めていくと、終了条件を満たすには3時間くらいかかると目算した。さすがに長すぎるのでそれぞれストックの商品駒を3個ずつ抜くことにした。

※ショートゲームとしてはプレイヤー人数分の駒を抜くというのがある。

とにかく、商品を売って誰かが銀行からお金を獲得すると、早くお金を流通させてくれと、やんややんやの喝采。まじで民主党政権下の日本のよう。公共事業でええから、とりあえずお金を廻しなさい。国民は苦しんどんねん。

いっちゃんやったらあかんのが

わし「ほな、その値段でわしが買うわ」

自作自演買い。流通するお金が減る。

わし「これ、積荷の場所、こんなに要らんのとちゃう?」

タメラ「その時その時で変わってきますよ。今回はデフレでしたが、もっと価格がつり上がったり、積荷に満載したりする時もあります」

最後は、無借金経営を貫いたわしがリスト1位2位の商品を全て残す事に成功して、圧倒的なお金を稼ぎ出し勝利。

所要時間2時間


一番左の黄色がわしの陣地。今回は全員5色揃えた。わしは一番価値の低い茶色を最多にすることでぶっちぎりで勝利できた。

miaのコメント

なんだかよく解らないプレイ感でした。

ローのコメント

これ、ある程度慣れて損得勘定がさっと計算出来たらかなり楽しいんだろね。

ソマーリオ

ずっともやもやしたプレイ感に悩まされる。自分が欲しいものを自分で生産してもしょうがないのだ。いや、生産しても買うてくれるくれないは相手次第。回り回って結局自分が買えるのかも知れないが、外に出てしまった商品の流動性は凄い。どこかのタイミングで買えるし、買えなくもなる。

3つの経路を経て、最終的に商品が自分の領地にやってくるのだが、そこにたどり着くまでに何度もステップをこなさなければならない。全員が最後の競りで、欲しい商品を手に入れるチャンスがあるのだが、ゲームの目的としてはその最後だけをやりたいのに、何度もステップをこなさなくてはならないところなんかは裏方作業そのものだ。
プレイヤー間で勝敗はあるのだが、その裏方作業は、むしろ全員が率先してやらなければならない。

誰かが自分の事だけ考えて安値で買いたたく事しかしないと、全体がデフレ傾向になる。誰かが高値でも買い出すと、全体がインフレ傾向になる。まるで実経済そのものなのだ。なんでそうなるかはそのプレイの雰囲気とメンバーで決まる。

実体の解らない経済をこれほど見事にシミュレートしてるゲームは他にない。お金の廻る廻らないは人の気持ち次第なのだ。皆が自分の事だけを考えてお金を溜め込むと、デフレから脱却できない。かつてスペインで一度だけ「皆で頑張って買い物しまくって消費しよう」と呼びかけて、それが国民全体に広がりデフレを脱却した事がある。

なんせ儲かってるか損してるかが解らないので、簿記をつかって記録したくもなってくる。
ローの言うように、計算力の強い人なら、相当楽しいと思う。でなくてもネットをみてみると2度3度とやれば読めてくるようだ。

コンポーネントは、コンテナ船はずっしりと重く、非常に良い造りをしていて満足度は高い。ただこの材質に重みもあるので、破損しやすいかも知れない。
商品駒は全て木製で、それはいいのだが、やっぱり嘘でもなんでもいいから名前を付けて欲しかった。それだけでアブストラクト臭が少し薄まる。

完全情報公開なので、アブストラクトゲームなのだが、周りのプレイヤーの思惑により、ゲームに揺らぎが与えられ、読み切ることは絶対に出来ない。
ルールの割に時間も掛かるし、損得勘定の判断が難しいゲームなので、遊ぶ人は選ぶだろうが、内容が解ってくれば間違いなく嵌るゲームと言えよう。なんせこれに類するゲームは他に見かけないのだ。1回やっただけでは正直さっぱり解らない。また皆、ショートゲームを推しているが、わしも同意見である。今回ならプレイヤー人数の4個ずつ抜くべきだった。それで十分、ゲームのキモを体感できる。
デロンシュは、死に際に、とんでもないゲームを発売したのかも知れない。これは流通経済の縮図である。ただし初見のシステム運用の難しさからはなしにしておく。

gioco del mondo