Mac Gerdts

PD-Verlag

2〜5人用
100分

コンコルディア


二千年前、ローマ帝国が地中海の周辺地域を支配していました。国境は平和、属州内も安定し、統一された法と共通通貨を持ち、経済は発展して強力な名家の興隆を促し、これら名家が数々の都市へと拡がっていったのです。
ゲームではこれらの名家のひとつを導きます。入植者を送って帝国内に遠隔領を築き、商業網を作り上げ、これによって古代の神々の望みを満たします。
全ては自らが勝者として抜きん出るためなのです。 コンコルディアはローマ時代の経済発展を主題とした平和的な戦略ゲームです。
プレイヤーが頼れるのはサイコロやカードの運ではなく自らの戦略力。ライバルが何を目的として動いているのか気を配り、どこで出し抜くか見極めましょう。

プレイ感

ナヴェガドールでロンデルの凄さを見せつけたが、ロンデルでないゲルツの新作という事で話題になった。しかも説明書は4ページという少なさ。日本語版がもうすぐ発売されるという事でCOQに持ってきて貰った。タナカマ夫妻、COQとの4人プレイにて。


手番には手札から1枚だしてそのアクションを行う。カードは最初全員、同じセットなのだが、場にあるカードを購入することで、アップグレード出来る。

カードは1度使うと捨て札となって使えなくなるが、護民官カードを出すと全て回収できる。
こういった事も含めてロンデルをカードにして、ロンデルのアクションを(場から購入することで)強化できるゲームと考えたらいい。

場のカードが全て購入されるか、誰かが都市駒を全て立てきったら、ゲーム終了の1巡を行う。
勝利点は、カードの下に描かれているローマ神によって乗数されて、決定する。
例えばヴェスタ神は、10セステルティウス(お金の単位)につき1点だ。2枚あれば2点だ。同様にユピテル神は、レンガ以外の場所に建てた都市駒×ユピテル神カードの枚数である。

ここまで読めば、ナヴェガドールとほとんど変わらないシステムだと解るだろう。
ロンデルの輪を拡張できるゲームなのだ。


最初はローマからスタート。ボード右上に並んでるカードが拡張できるロンデルカードだ。

最初はローマから。ローマに各自、陸1海1の入植者駒を置く。入植者駒は、それぞれ陸路をとるか海路をとるかの違いだけしかない。移動するには建築家カードを使用する。移動力は自分の持つ入植者駒の数だけである。その後、都市を建設できる。建築家で移動するのはちょっとイメージが掴みにくいが、建設するために移動するのだ。

入植者駒を置く場所が少し変わってて、常に道の途上におく。その道の両端に面したマスに都市駒を置くことができ、別に移動しなくても(本来は建築家なので)都市駒をおける。


手札から1枚出してアクションを行う。カードは使い切りで、護民官のアクションを出せば、再び全て手札に戻る。

このゲーム中で特に不思議なのが長官カードである。これはエリアの好きな場所から資材を貰えるカードだ。各エリアの中で最も価値の高い資源が1つ貰える。どこでもいいのだ。別に陣地を広げなくなっていい。単にそこから資源が貰えるのだ。これがどうにも気持ち悪い。ただ、他にそのエリアに都市駒をおいていれば、各自、表示されている資源が貰える。

さて、実のところ、どの神に頼れば効果的かさっぱり解らない。さっぱり解らないので、わしとしてはひたすら都市駒を置こうと思った。都市を増やすという事は属州を広げるユピテル神とサトゥルヌス神が重要となる。つまりその神の描かれたカードを買えばいいのだ。

と、こうやって落ち着いてレビューしてみれば解るのだが、ゲームしてる時はさっぱり解らなかった。
このゲームでは、慣れたら抜いてくださいというへんてこな中間決算なるものがある。護民官カードを使った最初に、得点を計算して、それをマーカーで表示しておくのだ。全員が護民官カードを使った時点で、1位に2セステルティウス、2位に1セステルティウスが貰える。それからマーカーは0に戻すので、最終得点にはまったく影響を与えないのだ。

ゲルツもこのゲームの弱点は勝利点に対する見通しの悪さというのを分かってたようで、どういった動きをすればどう得点できるかを確認できる決算を作ったようだ。だからほんの少しお金が貰えるだけである。


船は青のラインを、陸軍は茶色のライン上に置き、その両隣にある都市に対して都市を建築できる。都市に置かれているタイルはその都市で産出できる資源を表しているのだが、それより左上にある資源エリアである。長官カードで貰え、事実上好きな資源を選んで貰えるのだ。その後、その選んだエリアにある都市から各プレイヤーは資源を貰えるので、陣地を広げる欲がおきにくい。

タナカマ夫妻は西ヨーロッパの方へ、わしとCOQはアジアの方へそれぞれ進出。

イタリア界隈はわしとあっきーとで分割した為、お互いに長官を使ってWin-Winの関係となっている。どちらかが長官をイタリアに使えば、そこに駒を置いたプレイヤーが資源を手に出来るからだ。ここらへんはカタンをイメージして貰えれば解りやすい。

レンガを産出する都市は、とても簡単に駒をおけるので、わしは最初そればっかりをやって駒を配置してた。もちろん、ユピテル神は全てお見通しでレンガの都市は計算対象に入らないが、サトゥルヌス神はきちんとみていてくれる。まあ、実のところ、駒をおく事でゲームをやってる感を出してただけなのだがw


資源も軍隊駒もこの空いているマス数だけしか置けないので、資源をたくさんストックしたければ、軍隊駒を出すしかない。

今回のポイントは、属州から小麦がでないという事である。長官カードを使えば各属州ごとに最も価値の高い資源を得られるのだが、そのおかげで2番目に価値の低い小麦は、今回のプレイでは、通常方法では手に入れられなくなっている。

わし「小麦って重要なん?」

タナカマ「重要ですよ。人増やすのに絶対に要りますからね」

そうなると小麦都市が必要になってくる。自分で小麦都市をつくれば、そこから長官カードで貰えるからだ。
しかし小麦都市を作るには、小麦が必要。。。

なんせイタリアばっかりやってたので、葡萄酒ばっかり出やがる。商人カードを使い、3セステルティウス貰いつつ、資材の売り買いを行う。2個まで売り買い出来るので、小麦をとりあえず2個だ。

これで小麦都市を作る事が出来る。


カードの下に勝利点に影響する神の名と勝利点の情報が描かれている。同じ神のカードを集めて、そこにプレイを集中するのが勝利の秘訣で、これはナヴェガドールとまったく同じやり方だ。

わし「ところで、中間決算やけど、これって勝ち負けの指標になるん?」

タナカマ「うーん、どうですかね。全員、自分のタイミングで護民官カードを使うので、粘れば当然得点は高くなります。あくまで指標ですね」

COQ「じゃ、商人カードを使って5セステルティウス貰い…」

わし「え? なんで? 商人は3じゃないんか?」

あっきー「これ、場から購入したお得商人カードなんですよ」

同じ効果なのにアップグレードしたカードがあるのだ。
ここらへんは圧倒的に経験者が有利である。というより、まだシステムになじめなくて、隅々までチェックしきれてない。

しかし

あっきー「じゃ、外交官カードで、それをコピーしてわたしも5貰って、資材の売り買いをします」

わし「しもうたあ!! わし、外交官カードを使ってもうてるやんけ!」

外交官カードは他のプレイヤーの一番上の捨て札をコピーするカードだ。
段々と効果の強い場のカードが買われる中盤においては、しっかりとタイミングをみて使うべきやった。


建築駒の勝利点の方法がいくつかあるので、自分の集めている神の指示にしたがって建てなければ駄目だ。この2つの見通しが出来るようにならなければ、このゲームは面白くない。

COQ「お、執政官。このカードは強いですよ。場にあるカードを追加コストなしに買えます」

場には7枚のカードが並んでいる。カードを買うにはカードに記載されたコスト以外に、カードの場所にある追加コストを支払わなければならない。右に行くほど追加コストが高く、買われるたびに左にカードをずれさせるよくあるタイプだ。この追加コストが織物という最も高価な資源を使う事が多く、なかなかの価値になっている。それが執政官カードを使えば全て無料になるのだ。

わし「むっちゃ強そう。よっしゃ、買う」

場の巡りでわしが一番最初に買う権利を得られた。

そもそも安価で都市駒を置く作戦なので、織物都市は狙っていないのだ。これで思いっきり楽になる筈だ。

ここにきてようやく、自分が何をすべきか解ってきた。
場にあるサトゥルヌスを狙いつつ、属州を広げる作戦だ。

また入植者駒を増やしてマルス神を手に入れるのも有効である。
そうなるとやはり物を言うのは小麦。

またしても執政官が出た。追加コストを支払うゾーンにあったので、わしなんかはラクラク手に入るのだが

わし「これ、執政官カードを買い占めたら強いかな?」

COQ「それもありだと思いますよ」

しかし、同じゲームをやる機会が少ないわしにとって、あまり偏ったプレイをするとそれがそのままレビューに反映されてしまうので、これは辞めることにした。もしそれがそれほどまでに強いならば、デザイナーは何かしらの対策をしているからだ。

現にタナカマあたりは西ヨーロッパにて織物都市をいくつか所持しているのでそれほど興味を持っていない。

わしが資源を集めて、サトゥルヌス神のカードを買おうとしたら、既にそこには無かった。

えー、誰かに買われたのか?

しょうがないので、マルス神を買うて、植民地駒を増やす作戦にでる。

残りカード枚数が3枚から、わしが2枚購入。

最後の1枚はきっと誰かが買うだろう。ゲームを終わらせたプレイヤーは、勝利点7が入るのだ。
もちろん1周まわってきたらわしが買うて終わらせるつもりだったが、あっきーが最後のカードを悩んだあげく購入して最後の1周が始まった。

それから全員で、ひとつずつ神様のボーナス点を加算していく。
サトゥルヌスはあっきーが買い占めており、がつんと点数を伸ばす。

わしもコンスタントに集めてなんとかなりそうと思ったが、COQのトドメのメルクリウス神を集めまくり、5種類全ての資源都市を持っていたCOQがぶっちぎってトップ。

所要時間100分


最終。集めたカードを神ごとに並べて勝利点を計算していく。出来る限り同じ神を集めるべきである。

COQのコメント

やっぱりこのゲームは私的10点ゲームです。強いと言われたあっきーさんに勝てたのが嬉しい。

タナカマのコメント

マックゲルツの中では、インペリアルを抜いてこのゲームが一番好き。いやあ、本当に良いゲームだ。

ソマーリオ

今、このレビューを書き起こしてみて、ようやくこのゲームが従来通りのゲルツ作品である事が解り、勝利点に関する見通しも立った。初回プレイにおいて、五里霧中とはまさにこのことで、確認することが多くて何をやればいいのかさっぱり解らなかったのだ。

それは先に書いたようにロンデルシステムの拡張要素を加えるためにアクションをカード化した、という一言に表される。
最初ルールを聞いたときは、デッキ構築型の要素かなと思ったが、手札をたくさん回転させる訳ではないので、それとは違う。そもそもデッキ構築型ゲームは手札を何度も利用するから効果を発揮するものであって、コンコルディアのようにプレイ中回転させても3,4回くらいでは、デッキ構築型ゲームとは呼べない。やはりロンデルアクションを拡張しているだけなのだ。

勝利点の見通しの悪さという欠点は複数回遊ばないと解決しないだろうし、個人的にこのゲームの不満は長官カードがどこでも租税を貰えるというシステムである。
人はそこに何かあるからこそ、開拓していくのであり、このシステムは拡大させるという人間の本能を抑止してしまっている。もちろん、そこに向かって開拓する意味は資源を追加で貰えるなど大いにあるのだが、感覚的には拒否してしまった。なんだかつまらないのだ。

また簡単に資源を購入出来てしまうところも、浪漫を感じさせない要因だ。織物は高価だが、序盤から簡単に買えるし、長官カードで簡単に手には入ってしまう。

また入植者駒を増やす存在意義もそれほど感じなかった。

わし「これ、入植者駒、増やす意味あるか?」

タナカマ「入植者駒を増やせば、移動力があがるんですよ」

そう、移動力をあげたいのは何故か、それはやはり未知なるところへの拡大だろう。しかしその拡大には魅力がない。
つまりそういったところが、システム的にはありでも、感情的にはノーと答えるのだ。

一言でいってしまえば、ナヴェガドールのような浪漫がない。
エルグランデのような陣取りなら別に関係ないが、こういう形で伸張させるなら、やはり浪漫が欲しいのだ。

確かにシステムとしては、非常によく調整されており、資源成金になれないように、最大ストック数が決まっていたり、それを増やす為には入植者駒を増やせば良かったりしている。でも、上記のような点において、評価はお預けとした。
COQ、タナカマの評価を聞く限り、大絶賛だが、これは何度かロンデルを遊んでいるからのように思う。初見の解りやすさは圧倒的にナヴェガドールだ。

※ちょっとナヴェガドールばかりと比べて申し訳ないが、まだ他のロンデルをやった事がないので容赦願いたい。

ボードは裏表リバーシブル仕様で、裏はイタリア半島だけが描かれているお得な仕様。駒も独特な形をしており、コンポーネントにはまったく欠点はない。


これが裏面。2種類のボードがあるのは素晴らしい。

買うなら絶対に日本語版が良いと思う。カードの効果を覚えてしまえば、問題ないのだが、やっぱり日本語化することでプレイアビリティは格段にあがる。
わしも1回だけで評価できるようなゲームではないので、もう一度やって再評価するために日本語版を買う事にした。
正直、勝利点の見通しがつくようになれば、こういったネガティブな要素を補い、評価はごろりと変わる可能性がある。

gioco del mondo