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Klaus Teuber
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KOSMOS
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3〜6人
60分
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バルバロッサ
バルバロッサ王に世界各地から献上品が届けられた。
ありとあらゆる珍しいものがこの王宮に広げられる。
次々に披露されていく中で、赤ひげ王の目がきらりと光る。
バルバロッサ「これはなにかね?」
商人は声を弾ませて答えた。
「王様、これはくじらのちんこです」
レビュー
1988年とかなり古いドイツゲーム大賞作品で、わしがドイツゲームにはまり始めた頃、ドイツゲームの多様性を説明するのにこのバルバロッサをよく利用した。一般人が人生ゲーム、モノポリーくらいしか知らなかった当時としては恐ろしく画期的で、早く当てられてもあかんし、当てられなかったとしてもあかんというルールに衝撃を受けた記憶がある。今となってはどってことないけど、基本的に良くなるか悪くなっていくかの二択しか考えが及ばず、中道が良いってのに驚いたのだ。
当時購入したのはASSの4人用で、粘土が油粘土で手がべたべたするし、箱絵がまったく魅力のないものだったが、KOSMOSが版権を買い取ってリメイクしたバージョンは、6人までできて、小麦粘土に代わってるというので買い換えた。しかし買い換えてからは一度もやってないし、レビューもしていないのに気づき、小学校1年で粘土もやってるのでいけるやろとコタとmiaとの3人プレイをした。
3人プレイ時では、粘土細工をそれぞれ3つ作る。平たくいえばその粘土が何であるかを当てるゲームだ。粘土細工は、当てられると矢がぶすっと刺さり、当てた方、当てられた方それぞれ得失点する。当てた方は最初の矢なら5点、2本目の矢なら3点だ。当てられた方は、最初の方は失点するが、全体で5本目からは逆に得点する。さらに11本目からは失点という得点パターンだ。
王様への献上品は、ここに置く。元の版は四角のボードだったが円形ボードになった。今となってはトーンの暗いASS版が雰囲気があったかも。
ただ闇雲に当てていくわけではなく、さいころを振って時計回りにマス目をぐるぐる回って指示に従う。
ドラゴンは自分以外が全員1点、お化けは2点である。
小人は、粘土細工に含まれている1文字をあるかないか、こっそり尋ねることができる。
宝石はさいころを振る代わりに、消費することで、その数だけ進めるのを2個追加する。
矢印が答えられるマスだ。2段階に分かれている。1段階目は、その粘土細工について、はい、いいえ、解らないで答えられる質問をすることができる。いいえと言われるまで何度でも粘土細工を変えても質問できる。
2段階目は、それがなんであるかを本人にこっそり伝える。正解であれば矢が刺さり得失点をする。あるいは、もう一度、いいえと言われるまで質問を繰り返してもいい。
こうして全体で13本の矢が突き刺さるか、得点がゴールに達したらゲーム終了である。
まずは粘土細工を作る。これがなかなか作りたいものがぱっと思いつかず時間がかかるのだ。一応、ルールには、こういったものを作ってはどうかという名詞がずらずらーっと並んでいる。
そしてできたら、バルバロッサ王の献上品として盤の中央に置いていく。当然ながら、途中で内容を変えてはいけないので、何を作ったかをメモ書きしておくのを忘れずに。
mia「何、これ!!」
コタ「えー」
という悲鳴が聞こえるのはいつものこと。
わしはちなみにぴかちゅう、靴、デンキウナギである。かなり難易度の高いお題ではあるが、我が家ではデンキウナギブームが2,3日前に起きたとこなのでいけるだろう。Youtubeでデンキウナギを食べたり、電気ショック浴びたりするのを見て楽しんだのだ。
さすがは、わし、ブームにしっかりとのった素晴らしいチョイス。
そして見た瞬間、これ、どうみてもブドウよなあというのはあった。これまたバルバロッサによくある光景で一目でわかるってやつだ。
mia「あ、これ、解った」
ブドウや、ブドウ。しかしバルバロッサを繰り返して遊ぶうちに、熟練者の罠にはまることがある。
これはどう見てもブドウやが、実はフェイクではないかと。こんな簡単に解るようなものを出してくるわけがないと。
真剣に7歳の子供にそう思った。
そしてmiaがBoogieBoardにさっと答えを出して、見せる。
コタ「正解!」
矢がぶすりと刺さり、mia得点、コタ失点だ。
これはどう見てもブドウ。一つの粘土細工に矢は2本までしか刺さらない。1本目は5点、2本目は3点だ。合計で13本の矢が刺さるとゲーム終了。
このゲームの最大の欠点は、紙と鉛筆を多用するところで、書いた紙は丸めてほかさないといけない。ところがBoogieBoardという技術革新の賜物が出てきて、この問題を一気に解決してしまった。
miaがあれを正解したので、あれはブドウで確定だろう。
わし以外に当てられる心配はないので、先に別のものを当てにいった方がいい。
しかしここからがかなり苦しくなった。
解りそうで解らない。ものすごく頭を使って疲れる。これもバルバロッサの特徴だ。
mia「これは森にいる?」
ピカチュウを指していう。
わし「うーん。いる」
ピカチュウは確か森でゲットした。
ゴジラという考え方が惜しいのもあったがどうにも解らないらしい。横で弟のソウジが、ポケモンを見ているにも関わらず。
尻尾は一応稲妻型にしてんけどな。
ボードの周りのマスを時計回りに進む。どうしても止まりたいマスやパスしたいマスがあった場合、宝石を使って進める事もできる。3減らせば3マス進めるといった具合だ。左に見える三角駒が得点駒で誰かが鍵のマスに辿りついてもゲームは終了する。
コタ「じゃあ、これの一文字」
さっと書いてよこしたのは「う」の一文字
わし「あり」
コタ「やった。じゃあ、これで確実」
と、答えマスできたのは「うなぎ」
わし「はずれ!」
コタ「ええーーー!」
miaも同じようにウナギと書いてきた。
なんでわからんねん。一昨日、エキサイトしながら見たやんけ!!
コタ「ここに口っぽいのがあるんだよねえ」
mia「考えるの疲れてきた」
とまあ、こんな感じで進み、最後はわしがゴールして終了。
わしのは一本刺さらず。あ、考えたら、刺さらんかった奴はマイナス点食らうから、負けやったわ。
ちなみにコタの答えは、ペロペロキャンディ、パン、ぶどう、miaの答えは、かつら、ステーキ、オタマジャクシである。
所要時間80分
そして待望の答え合わせ。ちなみにわしの粘土には1本も矢が刺さらなかった。
mia「これ、なによ」
わし「デンキウナギやんけ」
mia「わかるか!」
mia「じゃ、こっちは?」
わし「ピカチュウ」
mia「どこが? というかピカチュウは森にすんでないでしょうが」
わし「ポケモンの最初の森でピカチュウはゲットできんのじゃ。ほれ、この尻尾を見ろ。稲妻型やん」
コタ「パパひどい。こんなの解んないよ」
ちゅうわけで散々、文句を言われて終わりましたとさ。
ソマーリオ
得点方法やさいころで回るところは今やるとさすがに古臭さを感じさせるが、このゲームの楽しさというのはそもそもそこではない。一度、ローさんとは、その部分が面倒ということで、ひたすら粘土細工を当てて得点していくというゲームをやったくらいだ。
今回の失敗は、子供相手にあまりに難しい造形をしたことだろう。このゲームは、相手によって造形の加減をしなくてはいけない。そもそも当てることが楽しいので、今回は完全に間違ってた。勝ちにいったらあかん。
しかしそういったこともシステム的に考慮に入れられていて、ドラゴンとお化けのマスでゲームは終息する。ここらで勝負が決まるセッションは少し物足りないので、矢が13本刺さって終われるようなセッションが望ましい。
途中でも書いたが、物凄く脳を使うので、結構疲れる。あまり使ってない領域を使っている感じがする。
まあ、この楽しさは、簡単に想像つくと思う。
ボードがタイルになってしょぼくなったが安価な日本語版が出ているので、これからクリスマスなどで登場させると盛り上がるだろう。近年のブームはパーティタイプのゲームだが、トイバーは30年も前に作って、さらにドイツゲーム大賞を獲ってたというのは敬意に値する。名作。
BoogieBoardは中華製のも出ているので、好きなのを変えばいい。ボードゲームやるには色々と便利なのでオススメする。