Karl-Heinz Schmiel

Moskito

3〜4人
60分

アラカルト

「ふーむ、若干パプリカの味が足りないようね」
「さ、ぱっぱっぱっと」
(かぱっ)←蓋が外れた音
(がーん!! こ、これじゃあ、豚の餌だわ。そうだ、隙を見てこれをこっそり隣のシェフに渡しましょう)
「さあさ、皆さん、そろそろコーヒータイムと洒落込もうじゃありません?」

プレイ感

むかーし、メビウスのカタログで白黒の小さな絵に大人用アクションゲームの決定版と書かれてさっぱり内容が分からなかった時代に購入した。現時点でヤフオクでもっとも高騰するアラカルトを当時買うてたのは幸運やった。というのはこんなにゲームを買い始めたのはHPを始めてからで、当時は吟味に吟味を重ねて年に2万円ほどまとめ買いする程度だったからだ。

あまりにもコンポーネントが可愛くて、このドイツ語で書かれた料理の名前を訳さねばゲームに没頭できん! と思って近くの図書館に行ってドイツ語辞典を片手に訳したのも今は昔の話。当時はインターネットがない時代やったもんなあ。今回は、TAM夫妻との3人プレイにて。


このコンポーネントの可愛さ。4つの調味料にはコルクの蓋がついている。調味料の他に塩(役に立たないが3つ入るとアウト)が入っている。コーヒーブレイクは、4色揃うとコーヒータイムとなる。料理は好きなのを取れる。

自分の鍋にはレシピが1つ入っている。料理を完成させるにはレシピに書かれている通りの調味料と、火加減が必要なのだ。手番にはサイコロを振って、火加減をあげたり(自分で調節不能w)調味料を入れたりする指示がある。そして、レシピに書いてある通りの条件を満たせば料理が完成し、それが得点になる。ただし! 火加減が強すぎると料理は焦げ付き台無し、調味料が多すぎても(同じ調味料が3個入るとアウト)味が濃すぎて台無し、塩加減が強くても(塩が3個入るとアウト)味が濃すぎて台無しで豚の餌行き(マイナス1点)となる。

基本はこうなのだが、このゲームの最大の山場は、コーヒーブレイクにある。コーヒーブレイクとは、4色ある色違いのチップがそろったとき、右回りもしくは左回りにお互いの料理を廻すことが出来るものだ。つまり失敗しかけた料理を他人に押し付け、もうすぐ完成する料理を手元に手繰り寄せたり出来る。また火力は移動しないので、移動した途端、焦げて豚の餌になるというケースも多々ある。

序盤、わしとTAM嫁は、簡単に出来る精進スープとボースコーヒーを自分のレシピとしたのに反し、TAMは愚かにも難しめの料理をレシピにとった。

おろかー!

この新米シェフの包茎野郎め!


完成したボースコーヒー。なんせホットホットの7に火力をあげればOKである。お次は野生牛の尻尾ステーキだ。火力をあげてパプリカを少々。

このゲーム、料理を完成させるのは非常にむずい。なんせ、料理が順調に進み、もうすぐ完成しそうになると・・・

わし「お? お前、ちょっとそれ胡椒がちょっと少ないんちゃう? ほれ、ぱっぱっぱっと」

TAM「わー、何するんですか!」

わし「あー、ごめんごめん、味濃くなってもたな」

TAM「くっそー、腹たつー」

そう、サイコロの目によって、相手に調味料を加えるというのがあるのだ。これで完成しそうな料理に調味料を加えて豚の餌行きにするのだ。

その点、わしとTAM嫁は温度さえ気を付ければいい、ボースコーヒーと精進スープである。

温度をぐりぐりとあげて、完成。

次に、やや難しそうな中堅級の料理を取る。


精進スープ完成したTAM嫁。次のほうれん草あえ卵と薫製肉は、オレガノとシトロンを2個ずつなので結構むずかしめ。温度は6まで上げる事が出来るので温度の失敗は少なそうだが、シトロンの味が濃くなりすぎ(料理に関わらず同じ調味料が3個でアウト)て豚の餌行きとなった。

TAMは序盤の失敗をリカバーしようとまたまた難しめの料理をとる。

わし「あと1個パプリカ入れたら完成やな。そーれ・・・」

何も出ない。

わし「がひょーん!!」

こういう事はよくある。なんか蓋の大きさと調味料駒の大きさが絶妙で、じゃらじゃらじゃらと3個くらい出る時もあれば、ひとつも出ない時もある。

わし「大丈夫、もっかいする」

自分の手番は3アクション出来る。

わし「よいしょ……出ねえ。(|| ゜Д゜)ガーン!!」

こうなるともうやばい。何故なら料理を完成させたら自動的に完成となる訳じゃなく、完成というのに1アクションを使用せねばならないのだ。


この料理も失敗。塩が3つ入ってしまった。こんな簡単なんでしくるとは。。。

最後のアクションを使って料理を完成させる。すると・・・

TAM「へえ、あきおさん、その料理うまいこと出来てますねえ。ちょっと休憩してそろそろコーヒーブレイクにしましょうよ」

袋に入った駒をがさごそと探る。

TAM「はい、揃いました。コーヒーブレイクでーす」

わしの鍋がTAMの鍋に、TAM嫁の鍋がわしのところに。コーヒーブレイクも1アクション必要で、4色が揃ったら、好きな方向に鍋を回すのだ。

わし「いきなり料理焦げて失敗したんですけど?」

そう、他人の鍋が来ることで、前の料理に必要なあげすぎた火力がまるで火炎放射のように新しい料理を丸焦げにする。当たり前っちゃ当たり前だが火の温度まで一緒に回ってはこないのだ。


こ、これはむずすぎやろ! しかし、あとオレガノ1つで完成ではないか! コーヒーブレイクじゃあ!

結局、わしとTAM嫁が料理3個を完成させ、リーチとした。料理を4つ完成させれば得点に関係なく勝利である。正直、ここまで料理を完成させるパターンも珍しい。ほとんど豚の餌行きとなるからだ。


みよ、この完成した簡単な料理たちを。こんなんしか作れんかったのよん。

そして、TAMが手塩にかけた最高級の料理ライプチッヒ風雑多煮込みがほとんど完成しかけた頃、全員、コーヒーブレイクの連発である。現在出ているコーヒーブレイクの状況に構わずひたすらコーヒーブレイクの袋に手を突っ込んでチップを取り出す。

雑多煮込みの入った鍋がぐるぐる、右に左に何度も行き来する。なんといっても手番は3アクションある。つまり一人につき3回チャレンジ出来るのだ。

しかし、この鍋に最後の調味料をなかなか加えれずに、コーヒーブレイクだ。なんといっても完成させたとしても1アクション残しておかないと(完成宣言は1アクション必要なので)、コーヒーブレイクで持ってかれるので、もうハラハラしながらサイコロを振る。

TAM嫁「最後にシトロンを振って、やった! 完成!」

負けた。。。

所要時間60分


やられたー。コーヒーブレイク恐るべし。ちなみに左隣のTAMは豚の餌を広げているだけで2個しか料理を完成させていないショボっぷり

お父んが料理人のくせに豚の餌ばかり作ったTAMのコメント

いやあ、何回やってもよう出来てますねえ。おもろいですわ。

義父が料理人なので頑張ったTAM嫁のコメント

最後、むっちゃドキドキした。おもしろかった。

ソマーリオ

くっそー、実はこのゲーム、記憶では負けた事がない。ここ一番で、必要な調味料を出すテクニックにかげりが見えたか。しかし、今回の戦いはかなり熱い戦いやった。最後のあの緊張感はなんともいえん。自分の前に出来た料理があるのに、それをすぐに完成と言えないもどかしさ。コーヒーブレイクで回される緊張感。

作者シュミールは、Hansimgluckの創始者のひとりで(後にやめてしまうが)、こういったばかばかしいゲームを作ると思えば、ディマッヒャーという4時間もかかる選挙ゲームを手がけたりする。

このゲームはディマッヒャーと並んでシュミールの代表作といいほどの傑作ゲームで、まさにメビウスカタログに載ってたように大人用アクションゲームの決定版である。

コンポーネントは、立体的なコンロも非常におもしろいが、なんといっても調味料入れの作りが絶妙で、振るたびに一喜一憂する。よりプレイが白熱出来るように、折角なので、お料理シールと調味料の日本語訳、つーか、そのままシールにして使える奴をあげておく。日本語訳がかなり堅いのは、料理をよく知らないからでご勘弁。料理を知ってる人がいたら綺麗に訳して欲しいんやけどねえ。

ヤフオクで4万円くらいいったりするが、もうしょうがないかという気持ちにすらなってくる満足度の高いゲームである。鍋は実は二種類あって、わしのように両手で持つ鍋で小さい取っ手が2つ付いてるものと、片手で持てる長い取っ手がひとつ付いてるものとバージョン違いがある。取っ手2つは第二版、取っ手ひとつは初版らしい。←high-lifeさん情報。ありがとうございます。ヤフオクをみると片手鍋ばかりなので第二版の方がレアなんかも。

gioco del mondo