Uwe Rosenberg

Lookout Games
Hobby Japan

2人
30分

アグリコラ:牧場の動物たち

『アグリコラ:牧場の動物たち』は、2007年秋にドイツで発売されて以来、世界中のゲーマーを虜にしつづける傑作ボードゲーム『アグリコラ』をもとにした2人プレイ専用ゲーム。プレイヤーは農夫として、働き手を動かしながら、羊・猪・牛・馬を飼育し、厩舎を建てたり柵で囲んだ牧場を作りながら農場を広げていく。毎ラウンド、働き手はそれぞれ1アクションずつ行うことができるが、どのアクションが選べるかは全てゲームボード上に表示があって一目瞭然。ただし、同じアクションは1ラウンドにつき1回しか利用できず、両プレイヤーが働き手を交互に動かすため、重要なアクションを確実に行えるかどうかは、両者の駆け引き次第となる。うまく働き手を動かし、相手より多く動物を飼育し、価値の高い建物を築き上げよう。



プレイ感

2人用のアグリコラが出たとの事だが、アグリコラは2人でも面白みを減じる事なく出来る。このゲームの売りはそうではなくて、30分でアグリコラが出来るというところ。というわけで、買うてmiaとプレイすることにした。


基本的なルールはほぼアグリコラのまんまなので、やったことのある人ならすぐに理解出来る。順番に1個ずつアクションタイルを配置して、そのアクションを実行していく。2人プレイ用という事で、畜産業だけに絞られている。建物タイルというのがあるが、種類は少なく、こちらもまた動物用というイメージだ。
最終得点は、各動物につき4頭以上持っていないとマイナス3点ずつ食らうので満遍なく取らないといけない。8ラウンドでゲーム終了で、アグリコラ特有のポイント加算で勝敗を決める。


初期セットアップ。3つのアクションタイルと牧場、9本の柵。真ん中にアクションを選ぶタイルと周りに補充するものを置く。

動物は集めるとプラス得点になる頭数というのがある。この頭数が半端じゃなく、馬9頭、牛10頭、豚11頭、羊13頭以上持っていれば1点ずつプラスされる。馬や牛なんて1ラウンドあたり、どんなに頑張っても1頭しか手に入れる事が出来ないので、8ラウンドでは8頭しか手に入らない。繁殖は例によって2頭以上いれば、1頭しか増えないルールなので、最初から狙っていかねばプラス圏内には達しないのだ。

アグリコラの補充ルールとちょっと違うのは、同じものが累積して増えないマスがあるという事だ。例えば、葦(羊)と括弧付きで描かれているマスは、何もなければ葦駒が置かれ、既に葦駒が置かれてたら括弧の中の羊駒が置かれるという風になっている。馬のマスもそうなっており馬(羊)となっている。誰もここを取らなければ4ラウンド後には馬1頭、羊3頭になっている。


拡張ボードは柵と一緒に手に入れる。拡張ボードをすべて埋めると得点が貰えるが、スペースが空いてもマイナス点はないので気は楽である。

タイトルにある通り動物がこのゲームの主題となっているので、大量の動物を飼えるような柵を上手くつくり、頭数を2倍収容できるようにする飼い葉桶が非常に重要となっている。動物がわんさか必要となるので、上手く柵を作っていかなくてはならないが、そのために利用出来るのは建物タイルの存在である。

柵は各自9本ずつしか与えられていない。アクションによって増やす事も出来るが、出来る限り省エネで建てたい。そのためにまずは建物タイルを建設すると良い。というのは建物タイルの四方は柵によって囲われているので、そのまま利用できる。


家畜の飼い方は、本家と同じ。1マスに2頭までで、飼葉桶があると2倍になる。2個置くとさらに倍だ。

いんじゃんで先攻となったmiaは上手にこれを利用して柵を拡張していく。
わしは後手にまわってしまい、柵を作るのに必要な木材3をとれずに、苦労していた。

アグリコラらしく先手は有利とみたわしは、スタートプレイヤーマーカーを取る。
さらに、大量の石材を手に入れて、なんとか柵を作っていくことにした。

※柵は木材なら1個につき1本、石材なら無料で2本、プラス2個に1本追加していけるマスと2種類ある。

動物については、どちらも初見だったため、とりあえず頭数が少なくポイントが加算されやすいであろう馬をなんとなく飼い始めたが、最初に書いた通り、なんとなくでは9頭すら達成することなど出来ない。計画的に狙いまくって初めて9頭オーバーとなる。


右上のように建物タイルの四辺を上手く使って囲いを作ろう。手番数が多くないので効率的にやらねばならない。

もうひとつこのゲームで重要なルールがあり、アグリコラと違い、空きマスが残ってもマイナスにはならない。代わりに、拡張タイルを埋めると4点貰えるのだ。つまり最初に貰う牧場タイルはいくら埋めても意味がない。

わしはそこに目を付けて拡張タイルを埋める作戦にでた。
miaはそのルールを失念しまっており、空きマス=マイナスというアグリコラ恐怖症に取り憑かれていたようだ。

その差が出て、わしが勝利。
もちろん動物ではどちらもプラスに出来ず、1種類ずつ足りなかったのでマイナスを食らった。

所要時間40分


最後は拡張ボードをしっかりと埋めたわしが勝利。

2回目は、わしが馬を狙いまくり、miaは羊を大量放牧。
最後はアグリコラが苦手なmiaとまさかの同点となった。その場合の勝利条件を見てみると、最初のスタートプレイヤーが負けとあり、わしの勝利。危なかった。

その後、得点の間違いをメールで教えて頂いた。動物は1頭につき1点で頭数のはボーナス点らしい。ということは大量の羊は侮れない得点となる。

ソマーリオ

確かに30分で出来るアグリコラといううたい文句は伊達じゃない。しかしと言うかやはりというか、アグリコラの濃密なプレイというのは皆無となっている。

アグリコラの大きな特徴であった発展カードがないと、イメージの多様性が生まれないのだ。イチゴ農園がここにあるというプレイヤー自身の想像の手助けがあって、初めてアグリコラの楽しさというのは倍増していく。アグリコラの面白いところは、傍目からみると、どのプレイヤーもそれほどボード上に大きな差というのは見て取ることは出来ない。発展カードを使い、そのゲームをプレイした者だけが、ボード上には現れない、農場や市場、はたまた天才の出現などの生活を想像上でかいま見る事が出来るのだ。

300枚以上ある発展カードがアグリコラに多様性を持たせ、プレイヤーを楽しませているといっても過言ではない。

この2人用アグリコラはそれらを一切カットして、タイルを配置してマスのアクションを実行するワーカープレースメントシステムを手軽にした。それ自体は悪い事ではなく、非常に上手く機能しているので、アグリコラを期待せずにやるという心構えで勧めたい。
もっと言うとアグリコラの初級ルールによく似ているが、こちらの方がよりスピーディに楽しめるようチューニングされているのだ。

そういった意味ではアグリコラの導入にも良いし、時間がないのでさっくりとアグリコラをやりたいという人にもうってつけだ。しっかりと自分の立ち位置を知っているゲームといえよう。

ひとつ気になるのは、完全情報公開アブストラクトなので、最善手をさされたらこのゲームは解けたパズルとなり、ゲームではなくなってしまうんじゃないかという事。出来ればどこかに運の要素を入れて欲しかった。まあ色々と展開が変わるだろうし、よっぽどの事が無い限り大丈夫のような気はするけど。

gioco del mondo