Jamey Stegmaier
Alan Stone

Stonemaier Games
アークライト

1〜6人用
90分

ワイナリーの四季


伝統的なワイナリーがひしめくワインの銘醸地イタリア・トスカーナ地方。
あなたは突然、長いこと疎遠だった親からワイナリーを相続します。
しかしそれは、荒れ果てた畑と古びて使い物にならなくなった施設でした。
自分と家族の生活のために、あなたはこのワイナリーを再興しなければなりません。
あなたは四季を通じ、ブドウの樹を植え、畑を管理し、季節労働者の手を借りながら収穫します。
そして残された最低限の施設を使いながらブドウを搾り、醸造し、熟成させて、
ネゴシアン(問屋) のオーダーに沿ったワインを出荷しながら、少しずつ収入と名声を獲得していかなければなりません。
もちろん、施設を改修し、見学やテイスティングが目的の観光客を招き入れることも忘れないように。
あなたは美しい自然に囲まれた潜在力抜群のこのテロワールを充分に活用し、名生産者の仲間入りを果たすことはできるのでしょうか。

プレイ感

なんでわしの手元にあるのかまったく覚えてないが、評判が良いという話を聞いて購入したような気がする。見た目からは、明らかにヘビーそうなゲームだったのでほったらかしにしてたが、よく見るとワーカープレースメントのようなので8歳のコタでも出来そう。ちゅうわけで、テーマはワイン造りという大人なテーマだがmiaと3人でやってみることにした。
※ワーカープレースメントなら簡単というのは、ワーカープレースメントをやってたらルールにとっつきやすいからだ。アグリコラも2回やっていた。


1ターンは順番にラウンドを実行していく。
春は順番を決めるだけ。早い方がかなり有利なので、早い時間を取りたいところだが、後ろの方だと特典が得られる。
夏は1つ目のメインラウンドで、実際に駒を配置してアクションを実行する。基本的に同じアクションマスは複数あるが、1番最初に置いたら特典が得られる。ここで駒を残しておかないと冬のラウンドで何もできなくなってしまう。
秋は夏に使うカードか、冬に使うカードか、どちらか1枚を手に入れるだけ。
冬は2つ目のメインラウンドで、夏に使わなかった駒を配置してアクションを実行する。通常冬っていうと何もないものだが、ワイン造りは冬に色々とあるのだ。
年末処理は、次のラウンドに向けての処理。
これで1ターン終了だ。親マーカーを左ではなく右にまわして次のターンへ。


個人ボード。上には葡萄畑カードがあり、ここに葡萄カードを植樹する。左下に葡萄圧搾場、その右にワインセラーがある。小さな駒が各施設の駒で建設すると駒を置いておく。

アクションマスに、アイコンや文字で効果が書かれており、特に特殊なアクションもないので、そんなに説明する必要はない。
こうして誰かが勝利点20以上になったらそのターンでゲーム終了である。最終ボーナスとかはない。

ちょっとおもしろいのが最初の遺産相続。パパ、ママカードを1枚ずつ配り、相続する資産が書かれている。パパ、ママカードには肖像画と共に名前も書かれており、テンションがあがってくる。


パパ・ママカード。カード枚数は結構あり、それぞれ遺産相続をしてくれる。
上が共通のメインボードで、黄色いマスが夏アクション、青色のマスが冬アクションマスとなっている。ワーカーをここに置いてアクションを実行する。一番左にいるのが鶏駒でここで手番順が決まる。

わし「わしのパパは、お金いっぱい残してくれたで」

コタ「ぼくも」

mia「なんで、ふたりともそんなにお金持ってるの?」

というやりとりが楽しい。

親のわしから、鶏駒を置く。これは今後のプレイ順に関係してくる。

そしてメインの夏。最初は従業員は二人だが親方がいるので3つまで選ぶ事ができる。


4の価値をもつ黒葡萄が圧搾場に置かれている。このまま醸造してワインにしても4の価値がある。ワインセラーは最初は一番左しか使えないが(つまり価値は3まで)、美馬は中規模セラー、大規模セラーを建設しているので全て扱えるようになっている。ロゼや、スパークリングワインはワインセラーを大きくしないと作ることができない。

わし「なんといっても最初は植樹せんとどうしようもない」

というわけで、手持ちのカードから畑にカードを出す。畑は3つあって、それぞれ価値合計5,6,7までの木しか植えることができない。葡萄カードには、黒葡萄、白葡萄それぞれ穫れる価値が書かれている。2つ穫れる木もある。カードを複数置いて穫れる葡萄の価値をあげることもできる。

コタも同じく、植樹する。

mia「えー、なんで葡萄の木持ってるの?」

わし「親から貰った」

mia「腹立つなー」

miaは葡萄カードを遺産相続してなかったので、まずは葡萄カードを手に入れるところからしなければならない。アクションマスは2箇所しかないが、親方駒はそれを無視しておける事ができる。

mia「植えられん」

葡萄は高級品種になると、植えるために施設を持っていないとあかんのだ。

mia「葡萄棚を建設する」


コタの個人ボード。


miaの個人ボード。収穫するのは畑1つからだが、そこに2種類の葡萄があれば、両方収穫できる。例えば、一番左の畑からなら、価値2の白葡萄と価値3の黒葡萄がマーカーとして置けるのでお得だ。

さてここでアクションをいくつか選んでもいいが、ワーカーは1年に1度のアクションしかできないので、冬アクションのために残して置く必要がある。

全員パスすると秋になり、夏招待、冬招待のどっちか好きなカードを貰う。

mia「字ちっさ!」

わし「ほんまや。読めん」

で、メインの冬がくる。
ここでは、収穫アクションを選び、1つの畑を選び葡萄を収穫する。
もし黒白どちらも成る葡萄なら、2種類とも収穫できるのでお得だ。

葡萄の価値と同じ圧搾場マスに葡萄マーカーを置く。
本当なら、さらに醸造アクションをおこなってワインにするのだが、ワーカーが残っておらず、ここで終了。

年末、葡萄マーカー、ワインマーカーは、熟成が進み、1段階レベルをあげる。

2年目、やはりワーカーが少ないと損やと重い、一番遅い時間を選ぶ。ここの特典は期間労働者をもらえるところだ。これで一時的にワーカーを増やせるのだ。

しかし、これが失敗だった。

ワーカープレースメントなのにワーカーの多さが即有利に結びつかないようにできていた。

それが先に置いたアクションのボーナスである。このボーナス、ほとんどがそのアクションを倍できたりする。お金が入るマスもあるし、かなり強いのだ。
つまり先手番の有利さというのが相当大きい。1回目はトップ手番だったのでその有利さに気づかなかった。


中盤までは勝利点マーカーがほとんど進まない。むしろ進みだすとゲーム終盤である。

というわけで、2年目では期間労働者を使って、ワーカーを訓練することにした。訓練することでワーカーが1個増える。

ここでは皆、色々忙しくて、ワインの醸造まで誰もやっていない。
ワインの醸造は、いつやっても特に不利はないのだ。むしろワインセラーを大きくしないと、品質のあがった圧搾場の葡萄の品質を下げてしまう。
ワインについてよく知らないが、葡萄の状態でも熟成が進むし、こんなもんなんかな??

それから翌年、カードの破壊力を知ることになる。

mia「じゃあ、銀行家カードを使う」

カードを使うにも、カードを使うというアクションをワーカーで選択する必要がある。

mia「5リラ貰う。他のプレイヤーも1勝利点失う代わりに3リラ貰ってもいいらしいよ」

わし「なんじゃあ、そりゃあ!!」

施設を作ったり、ワーカーを増やすには金がいるので、わしもコタも渋々、勝利点をマイナスにして、お金を貰うことにした。

どんな銀行家やねん!!

基本的にカードはかなり強力である。


紫が注文カードで、価値2,3,4のワインを1個ずつ求めてるのだ。

基本的にこんな感じでゲームは進む。
本来、ワイン造りのゲームなのにワインはほとんど作らない。

というのはワイン造りをしてもお金は増えない。むしろ圧搾場にある葡萄を売った方が金になる。
ワインを売るには、注文カードをアクションで手に入れて、書いてある通りの品質のワインを出荷アクションを使って売らねばならないという面倒さがある。しかもなぜかお金は貰えない。見返りは、勝利点とワイン造りとしての付加価値だけだ。

お金は入らないといっても、付加価値によって、年末にお金を貰える。一度、付加価値をあげてしまえば、毎年お金を貰えるのだが、まあ、少し変な感じはする。プエルトリコでもそうだったし、ここはゲームとして面白くするためにそうなんやと思っておこう。

面倒なだけに、勝つためには絶対にワインを作る必要はある。

というわけで、我儘な注文に応えるためには、ゲーム中盤以降でないと整わなかったりする。

わしが最初に持っていた注文、赤ワイン3種なんて、無理である。葡萄カードを何度か手に入れるたびに入るのは白、白、白ばかりだ。
また、ロゼとかシャンパンを作れとか、無理なカードも手元にくる。

ロゼは、白葡萄と黒葡萄を合体させて作るが、価値も合算され、中規模セラー以上でないと作れない。

シャンパンは、白葡萄と黒葡萄2個を合体させて作るが、大規模セラーでないと作れない。

黒葡萄がない。

とりあえず、勝利点がマイナスのままなのは気持ち悪いから、ボーナスを使って0に戻す。コタも同様に行った直後の秋で

コタ「あ、これ、マイナスにする方法ってある?」

わし「なんで? 通常ではないけど、カードによってはあるかも」

コタ「これ凄いんだよ」

と秋に手に入れたカードを見せてくれた。

政治家。勝利点がマイナスなら、6リラ手に入れる。

なんじゃ、そりゃああ! 政治家、汚っ!

そのカードは、勝利点をマイナスにする代わりに特典を2つともやってよいという学者カードとコンボで出されました。

わしも耕作人というとんでもないカードがきた。
今回だけ植樹するときに、価値の上限を越えて葡萄カードを出せる。

というわけで、わしの最高の畑では、白葡萄7黒葡萄4がでるというスーパー葡萄の木となった。


ワーカーの数もかなり増え、いつ終了条件を満たすかというだけになった。コタはなんとこの時点でまだマイナス点である。

ワインの出荷を少しずつ行い、勝利点としてはトップになる。

mia「やばい。こっちも出荷しないと」

わし「コタも出荷せんと勝たれへんぞ?」

しかしコタは収穫やワイン造りは一生懸命にやるが、全然、出荷しない。
ここはまだ子供。

そうこうしているうちに、わしが勝利点20を突破し、さらに出荷で25とした。このラウンドでゲーム終了だ。


これが最後にだした、白3ロゼ7のカード。勝利点5と付加価値が2上がる。右下にあるマーカーが付加価値マーカーだ。

mia「あー、くっそー、注文カードが合わない」

コタ「ぼく、出荷する」

ようやくコタが出荷するものの、2つしかない出荷アクションマスでは怒涛にはできず、そのままゲーム終了。

わしがぶっちぎりの勝利

所要時間120分


最後の個人ボード。一番右の畑がスーパー畑だ。実のところ畑3つも要らん気がするので、さっさと売ってお金に変えても良かったかも。

コタのコメント

ぶどうを植えてワインを作るのは楽しいんだよねえ。でも前にやったオルレアンの方が楽しかった。

miaのコメント

なんか最初アクションが分かりにくかった。オルレアンの方が楽しい。

ソマーリオ

ワーカープレースメントに関わらず、親方駒があるおかげで相手を邪魔する要素がほとんどなく、ソロプレイ色がかなり強い。実際にソロプレイ用のカードまで準備されている。

またカードが強力なので、プレイ感は少し大味なところはある。ワインを作るために緻密なところがあるので、このゲームの立ち位置を一瞬見失った。
ゲーム性や内容は全然違うが、緻密なことして結局は運かい!というテーベの東を思い出す。

ただそういったおかげで、ゲーム時間はかかるものの、誰でもワイン造りを楽しめるゲームとなった。8歳児と和気あいあいとできたのは大きい。
プレイ人数も6人まで出来るが、プレイ感はまったく変わらないだろう。
時間はかかるが、全然しんどくないし、ダレることもない。後半は一気に進む。

コンポーネントは、素晴らしいの一言。駒は全て木製で1個1個違う形に造形されており、大きなお金タイル、ワインマーカーは透明度が高くてとても雫っぽくできている。またソロプレイ用にオートマカードまで用意されているので値段が高くなるのは仕方ない。

古典的なドイツゲームは相手との絡みが濃厚だが、様々なデザイナーが増えてきた今、デザイナーもプレイヤーもソロプレイ色が強いゲームデザインを好む傾向があるのかも。このゲームもBGGの評価はとても高い。

gioco del mondo