スポーツゲーム一考
阪神野郎のPlay:Gameローさんが、おもろいスポーツゲームはないっすかねえ? と訊いてきた。そこで一言……
ファミスタやっておくんなまし。
本場ドイツでもスポーツゲームは人気がない。というかほとんど作らない。理由は簡単、ボードゲームやとスポーツの臨場感を再現出来ないから。
この意見に異論の余地なし。
かつて1970年代から80年代にかけてアメリカにAvalonHillつうシミュレーションブームの火付け役みたいな会社があった。
ここの会社はスポーツゲームシリーズとして、アメフト、野球、ヨット、ボクシング、バスケット、競馬といったゲームを出していた。内容はというとシミュレーションゲームの大元だけあって、選手の能力をひっじょーに細かく数値化していたのだ。それもシーズン毎に作っていた凝りよう。
ところがやはりこういったゲームでもスポーツゲームとしてはイマイチであった。マニアが数値を眺めてニタニタするという目的は十分に達せられていたが、スポーツの臨場感は3600円でナムコから出たファミスタに完全に軍配があがる。
実はこの時代、そういった選手の能力を再現するどころか、スポーツゲームの臨場感を出せる程の優秀な能力を持つコンピュータがなかったのだ。だからしょうがなくスポーツゲームをボードで出していたといっても過言じゃない。
コンピューターというのは近年飛躍的に能力が向上した。1969年にアポロ11号が月に到着した時のコンピューターはファミコンを完全に下回る。ワイヤーフレームを少しずつ動かすので精一杯だった時代に、臨場感を求めるなど到底不可能な事なのだ。だからボードで作った。
スポーツというのはアクションである。盤面とにらめっこしてやるものではない。アクションの中に駆け引きがあるのだ。心理要素のなかに駆け引きがあるのではない。
例えば、外角を攻めるスローカーブの連発の後、内角のスピードボールを投げられたら、それがクソボールであってもつい手が出てしまうのがアクションの中の駆け引きである。これはカードやサイコロでは再現出来ない。もちろんシミュレートは出来るかも知れないが、それはあくまでシミュレートであって、デザイナーがそういう風に作ったとしてもプレイヤーは悔しくともなんともないだろう。
アクションかくありき。
これがスポーツの臨場感をボードでは再現出来ない原因である。
最近、スポーツゲームを専門に出しているメーカーがあるが、チャレンジングだなと思う。そういったものは、どうあがいてもプレステやゲームキューブなどの家庭用ゲーム機に勝てる筈がないと思っているからだ。
とまあ、ここまでとても否定的な事を書いてきたが、完全にスポーツボードゲームは不毛かと問われればそうは言わない。
スポーツというのはプレイヤーとして楽しむ部分だけをクローズアップされがちだが、監督やGMとして楽しむ事も十分可能だ。それはアクションによらないのは明白だろう。
アメフトの選手っていうのは監督の駒以外何者でもない。いかに選手という駒を動かすか、これはボードゲームで十分に再現出来るし、他チームとの駆け引きといった点もアクションによらない。デザイン次第では十分に楽しいゲームが出来る筈だ。
このように、視点やテーマを変えればスポーツボードゲームもきっと素晴らしいものが出来るだろう。そういった意味ではスポーツのボードゲームに、期待は寄せているのだ。
私自身、アイスホッケーをやっているが、万人がおいそれと出来るスポーツではない。それでも万人が手軽にアイスホッケーらしさを求めたい、それがゲームの世界というものだろう。もちろん本当にやっている楽しさには到底かなわないが、それでも十分にらしさを味わう事は可能である。
あえてボードゲームで、とは書かない。それでもスポーツゲームは基本的にテレビゲームでやって貰いたいと思うのだが、心のどこかで素晴らしいスポーツボードゲームの登場を待ち望んでいる。
gioco del mondo