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S. Spencer
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スクウェア・エニックス
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2〜5人
60分
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スライムレース/ドラゴンクエストボードゲーム
あのスライムレースがボードゲームで登場!!手持ちのカードを使ってスライムをレースさせ、スライムの順位を当てよう!
スライムには固有の速さがあり、カードを使って自分が勝たせたいスライムを進めながら、高額配当を狙ったり、他のプレイヤーとの駆け引きを楽しもう!
プレイ感
ドラゴンクエストからのスピンオフ作品として出たアナログゲームはいくつかあるが、こいつが一番おもろかったという意見が圧倒的に多い。再販されたのを機に買うてみる事にした。タメラ、ロー、miaとの4人プレイ。
競馬をスライムに見立てた5頭立て連勝複式を当てるゲーム。手札7枚。賭けコインを順番に1枚ずつオッズ表に置いていく。オッズは最初から決まっており、1から5に従って配当が高くなっている。
カードには赤色のスライムを9マス進めるとか、現在2位のスライムを5マス進めるとかが書かれている。配当の低い内枠ほど、進めるマスが多く書かれているので、それがオッズに反映されている。
最初に真ん中にあるオッズ表にチップを賭けていく。順番に3枚賭けたらレーススタート。カードを引いて1枚プレイする。内枠のスライムの方が進めやすくなっている。
手番には山札から1枚引いてから、1枚プレイする。こうやってスライムを進めていき、1位2位が決まれば、当てたプレイヤーが、配当に従ってポイントを獲得する。最初に決めたポイントを獲得したプレイヤーが勝利である。というわけで、一番低い20ポイントを取れば勝利でスタートした。
わし「あ、そうそう、重要なので言うとくけど、ビリのスライムが35マス進むというカードが1枚入ってるから」
タメラ「まじっすか! 35マスって、コースの半分じゃないですか」
つまり超追い込みが決まるように出来てる。
これがビリが35マス進むカード。最初の方に引いたが、いつ喰らわしたろうかと虎視眈々と狙ってる。
全員、1枠をメインに堅め堅めに賭けていく。賭けコインは3枚あり、他のプレイヤーと被っても自分に被せても良い。
全員が置いたところで、ゲームスタート。
予想外の展開で、1枠2枠スライムが全く伸びず、大外のスライムがかなり頑張って進んでいる。
途中で2枠のスライムが自力を出してジリジリと中段に進出。
ロー「これ、わーっと盛り上がる感じじゃなくて、無言で進むねえ」
子供用をターゲットにしてるくせに、相手の持ちカードの様子見をしながらやるので、かなり淡々と進む。
かなり狙ってるので、誰もが無言なのだ。ノリはパーティゲームではない。
スライムの出来はかなり良く、非常に可愛らしい。消しゴムみたいな素材である。何故か外枠のスライムがぐんぐんレースを引っ張る。
わしは35マスのカードをどこで炸裂させたろかとずっと考え中。
ところが予想外の3枠のスライムがタメラの後押しを受けて1着。
(やべえ、それがきたらもう1枠のスライムを入れるしか当たりないやん)
1枠のスライムは最後方にいるので、決める事が出来る。
これが得点トラック。みての通り、得点駒の出来が良いこと。小さいくせに造形がしっかりしており彩色も揺るぎなくマジで無茶苦茶、素晴らしい出来。
ロー「じゃ、赤のスライムを9マス進める」
な、なぁにぃ!!
1枠スライムを進められて、ビリが並んでしまった。
このゲームでは、同順位の場合は、そのカードは無効になってしまうのだ。
つまり35マスのカードが使えない。
ロー「そろそろ35マスのカードを使おうとする人がいるんじゃないかなと思ってさ」
(その通りです…(|| ゜Д゜)ガーン!!)
山札が尽きても再シャッフルせず、手持ちのカードだけでやるので、皆、望んでないスライムを進めざるを得なくなりタメラだけが配当ゲット。
大穴の17倍。
つまり17点である。
1着、2着が決まり、タメラが得点。
第2レースは、1着が決まった後、自分が配当貰えないと悟ったタメラが、誰も賭けていないスライムに35マス後方一気を食らわして、全員外れ。
ここで40分経過。
わし「盛り上がり的にもゲームの機微もこれ以上なさそうなんで、ここでタメラの勝ちで終わりにしよう」
皆「賛成」
ソマーリオ
悪くはないけど、やっぱりドラゴンクエストの人気にあやかった昔のゲームやなあと思った。強力な35マスカードがあれば何でも出来るように錯覚するが、途中でローのやったように、同順位にしてブロックするという手もあるので、そんなにバランスは悪くはない。ただそうであってもやっぱりちょっと雑なカードのように思う。
こういったカードで一喜一憂するのは子供なので、子供らで遊ぶには悪くないだろう。またカードの山が尽きたら再シャッフルする事なく残り手札だけでレースを続けるところはランダム性を押さえる意味で非常に良い。
大きな欠点としては、なんといっても時間が掛かる事。この程度のルールならば、30分くらいで終わるように調整して欲しかった。申し訳ないが1時間もやってられん。
30分の中で、ゲーム内のドラマを作るのは大変だろうが、単純にマス目を少なくして、カードの数を調整すれば済むだけの話のような気もする。
このゲームの最大の感心は、なんといってもコンポーネントの良さである。スライム駒はじめ、得点駒のフィギュアは、ドラゴン、ドラキー、魔法使い、ゴーレムなどのモンスターが小さいくせに造形が鳥山明のデザインそのもので、彩色も完璧に施されている。ボードも、日本のゲームとは思えないくらい厚みがあって、どっしりしている。これならばドイツのゲームと遜色のない出来だ。
賭けコインももう少し重みがあった方が良いが、非常に分厚い。コンポーネントだけ見ると国産最高レベルの内容だと思う。
このゲームはラベンスバーガーから出てたジョッキーというゲームを簡単にしたリメイク版のようで、サイコロで進むという単純なレースじゃないのは、日本の当時としては画期的で受けたのだろう。
というより最近のボードゲームの質が高くてどれも面白いので、少し厳しい評価を下してしまった。今回のメンバーがメンバーだけに、普段あまりゲームをやらない人同士だとクリスマスや正月にちょうど良いかも知れない。なんといってもテーマがドラクエというのは多くの人の共通の話題となりえるのはことのほか大きい。何度も書くようだがそれを支えるコンポーネントも大変素晴らしい。
そうそう、ポイント制ではなく元のジョッキーのように3レース遊んで終わりくらいにしないと、泥仕合になる可能性もあるのでそこは注意した方が良い。
これがオリジナルのジョッキー。BGGより拝借。
この手のゲームって、昔、エポックのプレイヤングシリーズで、ダービー予想ゲームってあったし、まだ持ってる。中学の頃、友達とやったときに「こんなに興奮するゲームは初めてや」とマーチン(ニックネーム)が褒め称えていたのを思いだした。やっぱり普段あまりゲームをしていない人にはかなりエキサイティングなのだ。そのゲームも、アメリカの競馬ゲーム『ルーズユアシャツ』のパクりやったので、カードで進む競馬ゲームというのは古くからあることにはあるのだ。