北条投了

芸無工房

3〜6人
90分

ぷちばろん関西2009

プレイヤーはそれぞれ鉄道会社グループのオーナーとなり、運賃と路線使用料を稼ぎながら自社の路線の拡大を目指します。
手番の開始時か終了時に一定の資金を持っているプレイヤーがゲームの勝者となります。

プレイ感

かつてウォーゲーム全盛時代に、レイルバロンというファミリーゲームがあった。絶版なって久しく、ウォーゲーム全盛時代はファミリーゲームを馬鹿にしてた雰囲気があったので、日本で持ってる人も少なく、高値で取引されている。

ファミコン時代に、2つの人気ボードゲームが誕生した。ひとつはモノポリーのシステムを使ったいただきストリートで、もう一つはこのレイルバロンのシステムを使った桃太郎電鉄である。今となってはいただきストリートは見る影もないが、桃鉄に関しては次々と続編が生まれ、令和となった今でも新作が出ている。色んな要素を継ぎ足しやすいシステムなのだろう。

話を元に戻して、これを東京版にローカライズした東京男爵という同人ゲームができたがこれもすでに入手難となり、それとは別に北条投了が東京版と関西版を作った。なんだかんだと結構昔になるが、ようやくやってみることにしたのだった。コタ11才、ソージロ7才、miaとの4人プレイにて。


ただ同人ゲームゆえに、ものすごくマップが小さくゲームがやりにくい。
そこでマップをスキャンして、ボードを2倍に拡大してみた。4倍くらいにした方が良かったがかなりでかくなるのでとりあえず諦めた。


ボードを2倍にしている。各自、自分のコマの初期配置を左の表からランダムに決めて、その駅からの目的地表をサイコロで振って目的地を決める。桃鉄と違うのは、目的地が全員バラバラなところだ。また時短のために最初から急行券(サイコロ2個振って大きな目を進める)を持っているのが基本ルールとなっている。

わし自身はレイルバロンは未プレイで、内容はよく知らないが、デザイナーノートなどをみると違いなどが書かれている。

最初に自分のコマの場所と目的地をサイコロを振って決める。目的地は、決まった時にその報酬を受取る。本家とは違い、このゲームでは目的地に着く前に報酬を受取るという形にしてゲームを短縮しているのだ。報酬額は遠ければ遠いほど多くもらえる。


これが目的地表で左の出発駅からサイコロを2個振って目的地を決める。この表が見にくくて作り直そうと思ったが、打ち込むのが面倒で諦めた。

手番にはサイコロを2個振り、大きな目の方を進めることができる。他のプレイヤーと同じマスに入っても構わず、目を少なく進んでも良い。
このサイコロ2個もスピードアップのためのシステムで、本家は1個だけだ。2個使って好きな方を使うのは急行である。つまり急行券を最初から持っているのだ。もちろん、オリジナルと同じく急行券を自分で買わなければならないクラシックルールでプレイも可能だ。

移動するときに他のプレイヤーが持っている路線を使う場合は、最初に5円渡す必要がある。一旦渡してしまえば、その路線を使っている限りは追加で支払う必要はなく、また同一プレイヤーの違う路線であっても1手番に両方使えれば、支払いは5円だけで済む。
ただしすべての路線がプレイヤーに買われてからは運賃は10円になる。

目的地に到着したら、次の目的地をサイコロで決めて、また報酬を貰う。その時に、好きな路線を1つ買うか、特急券(クラシックルールなら急行券も)を買うことができる。

路線の価格は、重要度によって値段が違う。大阪で最も重要な路線といえば、誰しもが御堂筋線というのは知っているだろう。当然、最も高い。

最終的にお金として人数に合わせた金額を達成したらそのプレイヤーの勝利で終了する。今回は4人プレイなので170円で勝ちだ。


大阪の路線図が描かれている。目的地が遠いほど収入は大きい。

と、別にもうひとつ短縮するための特別運行というシステムが用意されている。
これは目的地に到着したときに、資産が一定額以上あれば宣言できる。
宣言したら、目的地はランダムになる。(通常、目的地は到着した駅によってパターンが決められている)
そして、最初に報酬は貰えなくなる代わりに、その駅に他のプレイヤーに捕まえられずに到着すれば100円貰えるのだ。その前に他のプレイヤーが特別運行宣言したプレイヤーに追いつけば銀行から50円貰える。

そう特別運行が始まると鬼ごっこが始まるのだ。もちろん通常ルールはそのまま活きているので無視して自分の目的地を目指してもよい。

というわけで、スタート。

純粋関西人はわしだけなので、皆は駅を探すのに四苦八苦する。
そのために番号が割り振られているので、探す時は駅名と番号を同時に言うようにした。

ソージロ「到着」

1手番で到着。心斎橋から鴫野は6マスだ。

何故か今回のプレイでは6の目が出やすく、皆スイスイと目的地に達する。

目的地についた。
次の目的地の距離が遠いのでお金がたくさんはいったので、御堂筋を買う。


路線購入は早いもの勝ちで目的地についたときにだけ1つ買う事ができる。右上の数字が金額となっており、よく使われる路線ほど価格は高い。

mia「えー、いきなり?」

しかし、次にコタが買うた線がわしが絶対に使わなくてはならない線だった。

わしの手持ちのお金は4円。。。

まじか。いきなり御堂筋を半額で手放すことになった。

(|| ゜Д゜)ガーン!!

その後、全員が絶対に5円は残しておかないとやられるという教訓となった。

mia「やっぱり環状線でしょう」

そう、わしの実家といえば環状線である。
環状線こそわしの心の故郷である。御堂筋なんかわしにはほとんど関係ないのに裏切った罰を受けた。

わしがコスモスクエアを目的地として目指しているときにmiaがすかさずOTSニュートラムを買う。

相手の目的地に沿った線路を買うことで5円安く買えるのと同じ意味となる。

わし「あ、すげぇムカつく!」


ときには隣の駅が目的地になることもある。ただし収入は安い。
ちなみにここらへんが大阪のキタと呼ばれる中心である。わしが住んでるのもここらへんだ。梅田は歩いてでも行ける距離だ。自転車で遊びに行ってた。

その後、コタは自分が使うからといって、阪神を購入。
自分が使うので買うというのも、先の逆になるが、アリだ。でないと5円安く買われてしまうことになる。

ところがこの阪神、意外と使ったので後で結構儲けてた。

ソージロが全然、路線を買わない。

mia「これ、線路買わないと勝てないよ?」

と諭してもお金の方が大事なようで、渋々買うたとしても安い線路ばかり選ぶ。

わしは和泉中央が目的地になったとき、すかさず泉北高速鉄道を購入。ここは1駅しかないが目的地になると往復で10円支払わされるのだ。ニュートラムごとににお金払ったのを思い出した。

miaが御堂筋を買い、大阪の主要ルートである環状線と御堂筋という強力な路線を独占した。

やべぇ。

縦系が必要なので残っている谷町線を買うことにした。四つ橋線がほしかったがコタに買われてしまったのだ。

これに横系の千日前線を買えば完璧。

大阪は東西と南北では明確に道の名称を分けている。
南北に走るものは筋と呼ばれ、東西に走るものは通りと呼ばれるのだ。
地下鉄ではわかりにくいがそれと同じ名前の道路があり、御堂筋、四つ橋筋、堺筋、谷町筋などはすべて南北に走り、千日前通、長堀通、中央大通などは東西に走る道路なのだ。

超わかりやすー!

コタ「じゃあ、千日前買うね」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

ま、まじか。しょうがないマイナーやけど中央線でも買うか。
ここ薄暗いんよな。

mia「ソージロ、なんか買わないと負けちゃうよ」

ソージロ「緑の線買う」

mia「中央線ね」

(|| ゜Д゜)ガーン!!

花博用に開通した長堀鶴見緑地線はmiaにすでに買われている。

このまま勝負するしかない。

ここで目的地に宇治がでた。
この前納骨に行ったとこやな。。

となると、ここはわしが大学時代使った京阪を買うしかない。

京阪ってクソほど駅が多くて、急行が普通列車くらいの感覚なんよ。
しかも駅ごと歪んでるのが多くて全然整備されてへん。斜めに止まるなっつうの。


宇治に到着。墓参りやな

わし「よし特別運行する」

このままでは埒が明かん。
サイコロを振り出したところで、3マス隣にmiaのコマが!

(|| ゜Д゜)ガーン!!

わし「は、止めてぇ」

mia「汚っ!」

そうこうしているうちに、残りの線路が3つになった。

この中で一番高いのは東海道新幹線である。

わし「これ意味あんのか?」

東海道新幹線は、相手が使おうとすると持ち主に許可がいる。
カバーしているところも激狭なのに、やたらと値段が高い。

誰も買わずに最後まで残ったが、最後は神戸にいたソージロが買うた。
これから運賃は10円になる。

コタ「特別運行する」

割といい感じの配置にたった。

目的地は和泉中央

わし「キタ!」


この場所でコタが特別運行を宣言。わしの泉北高速鉄道を使わざるを得ない和泉中央が目的地となった。往復で20円ゲットだ。


へい、らっしゃい。完全黒字。

天王寺横に屯するわしとmiaを避けて、東側の近鉄を使ってコタは南下するが、ソージロが追いかける。

ソージロのサイコロが早い。

ソージロ「捕まえるぞー」

そして王寺で捕まった。

ソージロ「やった」

コタ「あ、くっそー」


ソージロがコタを捕まえた。

特別運行すると相手が次の番になるので、2手番以上差が開いていないと失敗するのだ。

ソージロ、まんまと50円せしめる。

そして、

わし「はいはい、泉北高速鉄道10円ね」

コタ「やられた」

わし「はいはい、帰りも10円ね」

この展開のせいで、コタだけめっちゃ貧乏で、わしら3人は160円以上もっている。あと2円で勝てるところまで来てた。

こうなると誰が勝つか分からない。

というかどの路線を使うかでキングメーカーになってしまう事態がおきた。

1マスも進まないというのはルール上ありなのだが、ゲームがおかしくなってしまうので最低1マスは進むということにした。

それでもどの路線を使うかという問題がおきた。
コタは最短でいけば、ソージロの線だが、回ればmiaでもいける。

どちらを使うかで勝負は決まるのだが、やはりここは最短の線で進ませるのが紳士協定というものだろう。

ソージロが勝利した。


網の目のように路線を張っているので、キングメーカーとなってしまうところがある。

ソージロ「やった、やった、やった」
とソファで跳ねる。

所要時間120分

miaのコメント

これの東京版があれば、覚えれて良いのに。

わし「東京バージョンもあったけど、売り切れですわ」

ソマーリオ

大きな問題は、目的地を決めるときに先払いで報酬が貰えるところだ。
このルールのおかげで、最後はサイコロ勝負となった。サイコロで遠くを出せば、多くの報酬が入り、勝利してしまうのだ。今回はそれがなかなか決まらず、どの線を使うかで勝敗を分けた。

後払いの方が間違いなく良いのだが、いくら貰えるかってのを目的地を決めた瞬間でないとプレイアビリティが下がってしまう。ついた後で「えーとなんぼやっけ」と調べるのを避けるための作者の苦肉の策なのだろう。
方法としては、報酬を裏向けにして保留しておくってのが解決策となる。目的地についたら表に返して初めて自分のものになるという形だ。

ただそういった欠陥を抱えつつも、やはり線路ゲームは楽しい。またわしの馴染み深い大阪であれば尚更である。
土地をあまり知らないコタもmiaも楽しんでた。

モノポリーテーストなのだが、システムが立体的に作られてて、モノポリーで金を払う部分の詳細を再現しているようなイメージである。一言でいうと「なんで金払わなあかんねん」というモノポリーの理不尽なところを「まあ、そら金払わなあかんわな」に落とし込んだゲーム。また負け抜けがないのも良いし、今回、デザイナーの手腕でプレイ時間をドイツゲームレベルまで短縮させたのは素晴らしい。

今回は120分もかかってしまったが、ルールに書いている通り、慣れれば60分というのはあっている。次にやったらそれくらいで済みそうだ。

今度やる時は、到着後に報酬という形でプレイしたい。そのやり方で2回目やったら90分くらいだった。やはり探す手間を省きたいな。
これは何度もやって味がでてくるゲームだ。
作者の書いたマップ・路線解説がめっちゃ楽しくて、次回プレイする時に大いに参考になるだろう。

元のレイルバロンを知らないが、大阪は縦横無尽にレールが走っており、代替線路が多いのでレイルバロンのようなハマりはきっとなく、プレイ感も違うのだろうと予想している。

地元の人間にとって楽しいので、是非、再販して欲しい。

さて今年最後のレビューがたまたま同人絶版ゲームになってしまった。
今年は、自分にとって良くない出来事が多くて記憶に残る嫌な年だった。
また来年、頑張るので皆さんよろしくお願いいたします。
それでは少し早いですが、よいお年を。

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