Christoph Reiser
Sebastian Resl

Pegasus Spiele
Z-Man Games

3〜5人
60分

フンタ・大統領万歳!

あの狂騒の革命政治ゲーム、「フンタ」の新バージョン! プレイヤーは各国からの援助で成り立っている、バナナとカーニバル観光くらいしか外貨の獲得手段の無い小国を牛耳るファミリーの長となり、自分の一族から閣僚を送り出し、各国からの援助金を自らの懐に納めるべく他のファミリーと争いを繰り広げます。
大統領は国民なんて置いてけぼりで外国からの援助金をスイスの秘密口座に送金し、他のプレイヤーには懐柔のため現金をばら撒きます。他のプレイヤーは配分や役職が気に入らなければクーデターでひっくり返します。フンタ:大統領万歳では、カードとダイスプロットでボードゲーム版の雰囲気はそのままでプレイもしやすくなっています。(輸入元より)




プレイ感

大学時代、部のやつらと最大の7人でフンタをやったときは楽しかった。しかしフンタの大きな弱点は長時間掛かることである。また今のドイツゲームナイズされたバランスなどを考えるとやはり古臭いシステムだ。まさかそのフンタが装い新たに短時間ゲームとして発売されるとは思いもよらんかった。mia、OEC、ロー、タメラとの5人プレイにて。


詳しいルールは忘れてしまったので細かいところは間違ってるかも知れん。
大統領役の人が海外からの政府援助金カードを全て貰う。そしてそれを他の役割プレイヤーに配るのだ。内容は自分だけみてるので、良いものを自分の手元に残して、しょうもないカードを他のプレイヤーに渡し続ければよいのだが、そうすると他のプレイヤーから反感を買い攻撃されて、大統領を奪われる事になるので、バランスを考えて相手に予算を編成しなければならない。

※政府援助金カードには援助金だけでなくテキスト付きのカードが数多く含まれている。

攻撃方法はサイコロ数が自分の軍隊数となっており、これらを内密に攻めたい相手の番号にしたり、自分の番号を選んで護衛したりする。つまりサイコロはランダム発生装置ではなく、表示機能として用いる。


手札枚数が結構厳しいゲーム。大統領は私腹を肥やすというよりもカードの配り役みたいになった。それぞれが個人ボードを持ち、そこにプールやら監視塔やらを作っていく言わば自分の家を作るゲームだ。

まずはわしが大統領となった。大統領のサングラスはそれだけで勝利点1ある。最初の政府援助金カードには勝利点1となる高級車が入ってた。これは手元に残して他のプレイヤーにばらまくことにする。
ただ、カードはお金以外にテキストで描かれた特殊カードが多く、どのように配るかに非常に苦慮する。特殊カードは、攻撃したりするのに強くなるカードなのだ。これで攻められた日にゃ…

オリジナルフンタとの違いとして、全部自分のものにすることは出来ず、最低でも一人1枚は配らなければならない。そして最も大きな違いが、お金が勝利条件ではなくなったことだ。お金で、自分の邸宅に勝利点であるプールとか監視塔とかを購入して合計6勝利点を集めるのが目的となった。
お金は勝利点を買うたり、軍隊さいころを追加で得たりするのに重要なのだが、お金ばかり自分が握りしめると、他プレイヤーが攻めてくるし、わざわざお金を他プレイヤーに配りたくない。こう書くと良いジレンマのように感じるが、実際は非常に悩んでどうしても長考してしまうのだ。

何期かわしが大統領をやったのだが、もう苦しくて降りたい気持ちに駆られた。特にスーパーカーカードである。手札の上限枚数は決められており、これを確保すると、他のカードをほかさねばならなくなり、苦しいのなんのって。


攻撃する場合、相手の庭にある数字にサイコロを向けておく。サイコロ1個が1軍隊を表している。今回は2軍隊共、青のローを攻撃するという事だ。自分の邸宅にはそれぞれ勝利点が書かれている。庭に色んな建物をどんどん建てて勝利点を稼ぐ。

それを知らずか、クーデターが成功し、タメラが大統領になる。
クーデターは、攻撃目標である大統領をサイコロで示して、サイコロを振り合って決める。
むしろわしはホッとした。

タメラ「うわ、これ大統領、キツいっすね」

わし「やろ? やったもんしか解らん」

オリジナルフンタでは、大統領は丸々お金を握りしめることが出来るのでその旨みが凄かった。しかしこの大統領万歳では、単にカードを配っているだけにしか過ぎないのだ。カードを全員に分配するだけの役割にしか過ぎない。

もう1枚ある勝利点ヨットがあちこちでたらい回しになっている。

mia「あれ? スーパーカーって誰か持ってるの?」

ロー「そいや、出ないね」

わし「山の中ちゃう?」(いや、わしが最初から持っとる。ばれてたまるか)


スーパーカーをがっつり手元に。勝利点1はでかい。が、手札制限が厳しすぎて運用がつらいのよ。

そしてmiaへの攻撃が成功し、わしが引き抜いたカードがヨット。

(げぇえ! 勝利点2点入ったものの、これ、カードがきつすぎる)

クーデターも成功し、大統領はローへ。

(あれ、ちょう待てよ。この2勝利点と3つの建物で5点ある。これに大統領のサングラスを加えたら勝てるんちゃう?)

ロー「うーん、どうしようかな。よしこれで分配するか」

なんとロー、わしにたっぷりとカードを3枚もくれた。

ロー「頼むよ」

わし「おー、任しとけ」

(すまん。ほんまなら期待に応えて守りたいとこやけど、この勝利の機会を逃す訳にはいかん。ここは大統領に攻撃や)

攻撃目標オープン。

ロー「ちょw、ひでー!!」

しかしわしの思惑と外れて、miaがわしに攻撃。
わしの軍隊は全力で大統領に攻撃したので、手薄となり一撃でやられる。
そして…

攻撃が成功するとカードを引き抜くことができる。

mia「やったー! スーパーカー引き抜いた。あきおくんが持ってたのか! これで勝利確定!」


miaがヨットとスーパーカーを持って勝利宣言。しかし……

OEC「僕も大統領に攻撃して成功して勝利点達成しました!」

同時に二人勝利点達成。

同点の場合は、大統領のサングラスを持ってる方が勝利なので、OECの勝利。

mia「くやしー!」

OEC「せっかく初めて大統領になったのに分配出来なかった」

所要時間60分

ソマーリオ

なんだかオリジナルとかけ離れてしまった印象。オリジナルにあった無茶苦茶な事が出来なくなってしまい、フンタの良さがなくなってしまった。元々私腹を肥やすというのがフンタのテーマとなっていたのに、全員にカードを1枚は分配するというルールのおかげで、大統領はケーキの切り分けをやってるに過ぎなくなってしまった。

また政府援助金カードは特殊カードが多く、全然私腹を肥やしてるムードにひたれない。ここは全部、お金にすべきで、特殊カードについてはお金で買うというシステムにすべきだったと思う。オリジナルのフンタはまさにお金だけであった。

「じゃ、空軍と海軍と陸軍3は予算ゼロね」

このセリフがフンタのおもろかったところ。これが言えないのはフンタでない。

最近のドイツゲームに迎合して、勝利点方式に変えたのはプレイ時間が短くなり良い選択だと思うが、金ですべてが解決するというシステムでないとフンタの良さが生きてこない。

サイコロで攻める場所をブラインドビットするというのも、クーデターそのものがフンタのテーマとなって、雪崩のようにクーデターが広がっていくイメージと合っていない。これでは別のゲームだ。

「クーデターじゃ!」

「賛同!」

「賛同!」

というのが最も盛り上がる時であった筈である。闇でビットするなど、フンタの良さをスポイルしている。

結果、フンタとまったく違う、良くも悪くも普通のゲームとなってしまった。毒が抜かれてしまったフンタをやる意味があるだろうか? それなら時間は掛かろうともオリジナルをやるべきだ。

というわけで短時間で出来るフンタという肩書きに惹かれて買えばがっかりする事だろう。
ゲームのシステムとしても特筆すべきところを見あたらず、これを買うなら別の洗練されたドイツゲームを買えばいいと思う。フンタファンにも、ドイツゲームファンにも勧める気がおきない普通のゲームだった。

ただしオリジナルのフンタも今現在やってみておもろいかどうかは解らない。なんせ時間が掛かるしルールが多いので、遊ぶ人を選ぶゲームなのだ。
ちなみにクーデターってここを占拠すればいいんやとフンタで知った。

gioco del mondo