moo

賽苑

2〜4人
20分

ハウラ

ぐにゅぐにゅ、むにゅむにゅ
不思議な触感のピースを組み込んで天頂を目指せ。

プレイ感

長らく沈黙していた賽苑が、復活の狼煙として自作ゲームをひっさげて東京のゲームマーケットにやってきた。ちゅうわけで並んでみた。「あ! 並んでる!」とmoo君が気づいた。「おう、久しぶり! 頑張っとるのう」つうわけで予算の都合上、ハウラだけ買うた。その日の内にmiaと二人プレイにて。


手番に、各ピースを穴に差し込む。で、そのピースの持つ穴にトリと呼ばれる自分のマーカーを差し込む。全員の手番が終わると、一番高い位置にトリがいるプレイヤーはボーナス手番として、ボーナスピースを1本差し込む。次手番は、トリを外してピースの片側は必ずそのトリを差していた穴に差し込む。これを繰り返して最終的に一番高い位置にトリがいたプレイヤーが勝ち。

これがやってみると、なんとも不思議な感覚。ピースはぐにゅぐにゅしたスポンジのような素材で出来ており、如何様にも曲がる。そして各ピースのジョイント部分は、返しが付いているので既に接続されているものをぐぐっと引っ張って繋げる事が可能なのだ。


軟体のピースを使ってトリを差し込んで高さを競うゲーム。ものの質は市販品かのように抜群である

バランスゲームでもないし、アクションゲームでもない。むしろ空間的陣取りのアブストラクトというジャンルが相応しい。全然プレイ感は違うが、サンタシと同じジャンルになる。

ゲーム中は通じて、あーでもない、こーでもないとピースをぐいぐい引っ張って位置取りを決める。
もうなんせ、ピースの弾性によってどのように変化するのか見当がつかないところがあるので、おそろしくアバウトなゲームなのだ。


ピースの形はいろいろあるが、長いのと短いのと使うタイミングを誤ってはいけない。また、片側だけ繋げることができるピースもある。

アブストラクトなのに、アナログでファジーである。

しかしそれは上手な人で僅差を抑える場合の話。トリが1mmでも上に出てれば勝ちなのだ。その1mmなんて付け方ひとつでいくらでも稼げる高さなのだが、これが数mmとなると復元力のおかげでジワジワっと元に戻ってしまう。
思ったよりも位置というのは、アバウトじゃないらしい。

ボーナスピースを使えばかなり有利になるかと最初は思っていたが、ボーナスピースってのは長い上に片側は必ず地面に差し込まなければならないので、そんなに優位にはならない。これがもうちょい短くしてイナミックに構造が動くようにした方がおもろい気がした。数回やってみたところそれほど効果的なイメージではない。ただ、そうするとボーナスピースが強くなりすぎてしまうかも知れん。


みての通りトリは激しく狂喜乱舞する。あちこちに引っ張られまくって、どこに落ち着くか見当がつかない。

わし「こっちの方が高いやろ」

mia「いや、こっちだって」

わし「あ、お前、何、いじっとんじゃ!」

と付けた後で、トリをいじくり回してちょっとでも高くしようという浅ましい戦いが繰り広げられる。
最初に紳士協定を決めておかないと駄目だが、まあそこまでガチでやるゲームではないだろう。むしろ笑いながらやればいい。

接続するたびに、構造体が動きまくる。全ては相手を陥れるように低い方へ低い方へ。

ただし一蓮托生なので、自分も低くなるw

今回は二人プレイで2個のトリを使うために、1個のトリを犠牲にしてmiaを陥れるように動かした結果、わしの勝利。

所要時間20分


これが最終形態。もうなにがなんだかわからない。買ったのはわしの青色。これがアートである。

その後何回かやったが、全勝。

miaのコメント

発想が面白い。仕様もコジャレてる。なんとか自分の鳥を高い位置にとまらせてやりたいと思っても、クターっと下がってくるのが悲しい。グイグイ引っ張ってもダメだった。悲しい。駄目だ。勝てる気がしない。

ソマーリオ

評価するのが非常に難しい。というのは手番の概念というのがあまりきちんとしないままやったおかげで、あちこちに引っ張り回してテストしたからだ。本来なら、この穴とこの穴という風に差し込む前に決めてやるべきなのかも。

ただそれでも、ジョイントの差込み口の方向によって形が変わったりするので、それをぐりぐりやる事は禁止出来ないし、それを禁止してしまってはハウラの軟体性の楽しさが失われる気がする。

ゲーム終了時のハウラは、トリの色が際だちかなり美しい。そのまま置いとけばインテリアアートに使える出来映えである。賽苑のコンセプトがそのままゲームになっているところはさすがといいたい。

ゲームか、インテリアアートか、非常に難しい。

ユニークな発想で、ぐにゅぐにゅな復元力で楽しめるのだが、勝敗をきちんと決めるゲームに不向きな妙なモヤモヤ感が残る。勝った、負けた感が薄くゲームをやった気がしない。

如何に美しいインテリアアートを作れるかといった意味では、非常に面白い試みだ。賽苑はゲームを作るというより、インテリアアートゲームという賽苑ブランドを確立すれば、新たなゲームの在り方を切り開いていくような気がする。そう言った意味では、ありきたりなゲームを作らないという賽苑らしさを失わずに、この方向性をもって進んでいって欲しい。このプレイ感は未だかつて無く「こんなん見たことねえ!」と言わしめるものがあった。


ちなみに最初二人で(ルール間違いにより)トリを2個しか使わなかったので、水墨画に描かれた2羽の鳥の図のようになった初回プレイ時の写真。すばらしい! これを見る限り賽苑の試みは大成功だろう。

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