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Carlo A. Rossi
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Winning Moves
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3〜5人
45分
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大勝負
乱高下する先物取引。
あなたはトレーダーとして、周りの状況を考えながら一儲けをたくらむ。
しかし、トレーダーとして投機だけでは名声を得られない。
投資をすることで、名誉も手に入れなければならないのだ。
プレイ感
面白いと評判のゲームだったが、出来ずじまいであった。ようやくタメラ、OEC、ロー、miaとの5人プレイ。
ボードには先物相場の価格表があるだけだ。このゲームを特徴づけるのは、カードの保持の仕方。各プレイヤーの間に衝立をおく。そしてそこにカードが配られるのだ。カードには商品の価格を上下させる効果が描かれている。手番には、左右にある衝立のカードから1枚ずつ選び、プレイしていく。
つまり全体でどんなカードが配られているかは、隣の人と半分づつ情報を共有する事になる。
各プレイヤーの間にカード置き場があり、それぞれ両サイドのカードを手札としてみることが出来る。非常に面白みのあるシステムだ。
カードプレイの前に、3枚までの株券の売り買いどちらかが出来る。安く買うて、高く売るのは基本だが、それらを相手の動向を見ながら、あがるかさがるかを見極めて行かねばならない。
わしの左右を見比べて、今後あげることのできる品目を洗い出す。カードをプレイする場合、どちらかの1枚を半分の効果としてプレイする。どちらかの効果を半減させることで自分の思うように相場を変化させられるということだ。
右隣にいるmiaと目配せしながら、商品を買うのだ。
まずは小麦を買うて、つり上げてから売りまくる。それを資金に次の商品を物色する。というより最初に配られた時点で頭の中でイメージ出来ている。
わし「じゃあ、茶を買う」
mia「わたしも」
こうなると、皆もわしらが茶を握っていると解るわけで、当然相乗りしてくる。
次に茶と塩を集める。両サイドには茶の+カードが残っている。まあ、インサイダーってやつだ。
或いは
ロー「塩買う」
タメラ「僕も買います」
わし「え! 塩の時代がくんのか?」
どう考えてもわしの見たところ塩は上がりそうにない。
しかしあいつらの強気な態度をみてると
わし「わしも塩買う」
そして、少しあがったところで売り抜けて
わし「じゃ、塩下げる」
ロー「やられたー」
と、相手との心理の読み合いである。慣れてくるとはったりとかも効くんやろなあ。
そしてわしが茶を散々つり上げて売ったところ、皆から目の敵にされはじめる。
ロー「これもう追いつかないんじゃない?」
このゲーム、こういった投機だけではなく、投資というルールもある。
各ラウンドにつき、1度投資として自分の持ってる商品を投資として裏向きに配置する事ができる。前半4回、後半4回の合計8回出来る。
最終的に裏向きの投資に使ったカードの金額を合計して、一番少なかったら自動的にビリになるというシステムだ。
これが投資ボード。ここに商品を裏返しにして投資しておく。各ラウンド1枚しか出来ず、前半の4ラウンドで一旦現金化(上に置いているお金がそれ)され、後半4ラウンドとの合計で投資額が決まる。
これが超しくった。わしが伏せたカードはせこびっちで最高価格の茶を使っておらず、そこそこの商品を裏向けにしていた。しかも1回は投資せんかった。
ところが皆はこれをすっかり勘違いし
タメラ「これ、あきおさんが茶を置いてるから、それくらいのものを投資しとかないと負けますよね」
ロー「うん。1回パスしたあたり、茶に間違いない。しょうがない。これを投資するか」
mia「そうだよねえ、ちょっと惜しいけど」
わし(まてまてまてー!)
と思った時には既に遅し。投資は1度でもパスするとその分を後でリカバーできない。
最高値までつり上がった茶に皆がおそろしく警戒してしまった。わしは金の亡者なので、そこまで投資してへんかった。
結局そのままラストラウンドを迎えた。
ロー「あきおさんに負けたなあ」
タメラ「負けましたね」
投資オープン
わし「ビリ」
ロー「えー!!w」
じゃーん、やっぱり3枚じゃ無理。茶を2枚やと思われたんよな。
ごめん、誰勝ったか覚えてない。たしかロー。
所要時間45分
ソマーリオ
確かに人気のある通り、細かいところに手が行き届いており非常によく出来たゲームだと思う。自分で配られた手札からどれでお金を得て次の商品へとつなげていくか、あるいは相手の動きをみて上手く相乗りするなど、株式の世界をプレイヤーだけの閉じた世界とし、ゲームとしての完成度は高い。しかも価格も安い。
コンポーネントは、商品の色にあわせた木製の駒に、価格ゲージが引かれたボードは、簡素ながら株の売買に関するゲームならこうするしかないやろという出来。カードを立てる木製スタンドは、木の削げが多くて、カードは痛みそうやわ、怪我をしそうやわとあまりよい出来ではない。これはもう少ししっかりと処理をして欲しかった。
こういったゲームにありがちな途中で勝敗が読めてしまい単調になりそうなところを上手く投資のルールを使って、最後まで解らなくしているアイデアは素晴らしい。まさにドイツゲームシステムの蓄積のたまものだろう。
5人プレイなら全体の5分の2の情報が得られるところなどは、コンポーネントの使い方といい工夫がある。
株式ゲームとなると、株価の上下をランダムにきめるのが大半だが、これを見事に情報戦としたのは白眉だ。
とまあ、良いところをあげれば確かに評判通りのゲームなのだが、なんかもうひとつ足りない感じがする。作者のやりたいことも十分よく解るし、ルールもよく出来てるのだが、は付けなかった。
理由は、これらのルールてのは全てサブシステムのように感じたからだ。これらのシステムを使って、メインの何かをするという形が欲しかった。このゲームでいえば、投資の部分をメインシステムとして、ここにもう少しボリュームがあれば、間違いなく傑作となったに違いない。
ドイツゲーム風にするならば、お金を稼ぐのが目的ではなく、そのお金でカーネギーホールのような建築物を建てて勝利点を争うといったところか。ちょっとありきたりやけど、単純に金額勝負よりは良い気がする。メインのシステムが相手との読み合い、そして投資の部分も同じような読み合いなので、それらが相乗効果により混沌としすぎてしまったように感じた。また似たものを2つ組み合わせる意味もわからない。そこが残念である。