|
北条投了
|
芸無工房
|
3〜6人
45分
|
GoTo!!
日本政府は、コロナウイルスによって壊滅的打撃を受けた観光事業を救うべく、GoTo事業を策定した。
多くの国民がこれを利用するかと思われたが、実際に使用したのは現役世代を退いたシニア世代という問題点も指摘されている。
税金を支払っている現役世代からすると休みに利用できない面白くない制度ともいえる。
プレイ感
昨年、コロナにおいて観光業界を助けるべく、GoToトラベルを政府が発布した。北条投了はすかさずこれをテーマにゲームを作った。
どうみてもモノポリーに見えるが、様々な仕掛けが施してあり、どういったゲームなんやろと興味津々である。再び来年以降GoToが開始されるので、コタ11才、ソージロ7才、miaとの4人プレイでやってみることにした。
※この時はそうだったが、2022年2月オミクロンが蔓延し、しばらくGoToはない。
mia「モノポリーじゃん」
わし「見た目はな」
最初に、GoToカードを1枚ずつ引いてスタートマスを決める。右上の数字が大きいのがスタートプレイヤーだ。各自36万円とホテルコマを12個持ってスタート。
見ての通り、モノポリーである。各自スタート位置はバラバラである。
このゲーム、なんとサイコロを使わない。
手番には3〜7マスのうち、好きな数を進める。
そのマスが都市マスで、誰もホテルを建てていなければ、自分のホテルを建てても良い。自分のホテルが既に建っていたなら2個目を建てても良い。
相手が止まれば、ホテルの数に応じた宿泊費を貰う。エリア支配すれば、エリアに建てた総数の宿泊費を貰える。
さらに、政府(銀行)からそれと同額の援助金が貰える。
mia「は? なんで自分で進める数決めれるのに、わざわざ止まる?」
そう、誰もがそう思う。
手番プレイヤーは、止まるときに、「無料で泊めて」とか「お金これくらいくれたら泊まったる」と交渉し、守る必要があるのだ。つまり政府の補助金をいかに巻き上げるかというブラックユーモアの効いたシステムとなっている。
特殊マスとしては東京を通過もしくは止まると定額給付金10万円が貰える。GoToマスはGoToカードを引いてそのマスに時計回りで移動するので東京を通過したら給付金が貰える。刑務所は見学はなくそのまま刑務所行きで、そこを誰かが通過すると5万円支払う必要がある。
交渉マスでは同じ数のホテルを無理矢理交換してしまうし、強盗マスでは、相手の1軒だけのホテルを乗っ取れるという無茶苦茶ぶりである。ちなみに強盗すると刑務所行きだが、これは東京を通過したとは見なさない。
カードにはどこかで見たことのある人も登場している。東京を通過すると定額給付金がもらえる。各エリアごとにホテルの建設費用は違い、宿泊費も違うというのはモノポリーと同じ。
こうして100万円ためるか、ホテルを12軒建てるかしたらその人が勝者である。ホテルはいつでも1軒2万円で売れるので、100万円の足しにすることができる。
あるいは誰かが破産したら、残り全員が勝者だ。
モノポリーが手元にはないので、駒をどうするかと考え、とりあえず家だけでもと電力会社から出してきた。
なんせ、今までに無いシステムだけに、どう進めばいいのかというより、ほんまにこんなことやってええの? という感じになる。
でも2巡目にマスが非常によく考えられて作られていることがわかった。3〜7マスというのが絶妙で、今止まったマスの同色には絶対に止まれないし、良いことばかりできるようにすすめることも出来ないのだ。
モノポリー最強と名高いオレンジエリアの中国・四国地方はわしとmiaとの取り合いという熱い戦いになった。
というのは強盗マスに止まれば簡単に相手のホテルを奪えるというめちゃくちゃな内容なのだ。
mia「ええーー!! なにそれ。こんなにお金かけたのにすぐに取られるのって納得いかない!」
これが強盗マスだ。入るタイミングをしっかりと見極めないとひどい目にあう。
強盗でとると刑務所に行くことになるが、このタイミングをわしはしくってしまった。刑務所に入るタイミングってのがある。刑務所にいる時に通過されるとお金をあげなければならないのだ。目前にソージロの駒とコタの駒がいるのに刑務所に入ったのは失策だった。
ちなみに強盗はGoToに掛かっているのはいうまでもない。
同色揃えると強盗されない。まだ混沌とした状態が続いている。
コタはそれを尻目に九州地方、関西地方という高額地方を押さえた。
恐ろしいのは、この2つのエリアは連続している。連続しているということは、止まらざるを得なくなるのだ。
わし「うわぁ、やばいな」
これを回避するためにGoToマスに止まると、どこに飛ばされるか分からなくなる。
ようやくmiaと折り合いがつき、わしが赤の東海地方、miaが中国・四国地方を同色で抑えることができた。
着々とコタはホテルを強化して、もう誰も止まらなくなった。
そう、誰も止まらないのだ。
モノポリーの勝ちパターンを行うと、失敗する。高額物件には止まらない。
ここで本来は値引きをして止まるようにコタは誘導すべきだったが、誰もそのことに気づかなかった。
最終局面。世界屈指のモノポリー研究家がこの盤面をみた時、間違いなく赤の勝ちだと宣言したとも言われる。しらんけど。
この中、こつこつと止まられていたソージロがなんと、100万円ためて勝利してしまった。
盤面をみてのとおり、ソージロはまったく酷い配置だ。だからゲーム中も拗ねていた。
ところが、これが勝利を収めるのだからこのゲームはさっぱり分からない。
所要時間45分
ソージロのコメント
これ、楽しい。またやりたい。
miaのコメント
なんだかなあ。よく分からないゲームだった。
ソマーリオ
なんやこれ。なんとも掴みどころがないゲームで驚くばかり。
とんでもなく自由で、プレイバランスをプレイヤーに丸投げしている。
ギリギリのところでゲームを成立させているかどうか。
モノポリーのように振る舞うと、コタのように負けてしまう。見かけがモノポリーだから騙されてはいけない。
勝っているプレイヤーには厳しく、誰も止まらないので、実は負けているフリが一番というとんでもないシステムなのだ。
非常に荒削りだが、このシステムはもう少し変えれば大化けするような気がする。
北条投了の鬼才ぶりを発揮している作品である。