Bruno Cathala

Days of Wonder

2〜4人
90分

ファイブトライブス:ナカラの魔人


このゲームは鬼才ブルーノ・カタラによるデザインで、今までのデイズ・オブ・ワンダー社のゲームとは異なり、ドイツゲームスタイルの木製のコマやミープル(人のコマ)を使用した、ちょっと変わったワーカープレイスメントシステムのゲームとなっている。
ゲームの開始時に、ミープルはすでに様々な場所に置かれており、良く考えてナカラの村や市場、オアシス、聖地に動かさなくてはならない。いつ、どのように、何処へこれらの暗殺者の部族、長老の部族、建築家の部族、商人の部族、ワズィールの部族を動かすかを考えて、勝利を目指すのだ。
ルールは平易ですぐに覚えることができるが、様々な戦略を取ることができるためにゲームに勝つためにはなかなか手ごわいゲームとなっている。部族コマを動かすとき、プレイヤーは自分の利益ばかりでなく、他のプレイヤーにとって利益とならないように考える必要もある。そしてさまざまな勝ち筋を考慮するのに加え、強力な魔人を呼び出して使役することも考えなければならない。はたして、あなたはナカラのスルタン国を手中に収めることができるだろうか?

プレイ感

オビ湾が帰った後、COQ、miaと3人でやることにした。COQ曰く、このゲームはマンカラというアフリカや中近東で紀元前から遊ばれているゲームシステムを利用したものらしい。


ランダムにタイルを並べて、ランダムに3個ずつミープルを置く。魔神カードを3枚オープンにする。各自、お金を50ずつ貰って準備完了。


タイルとミープルを3個ずつ適当に配置する。上に並んでいるのが特産カードで右側に3枚並んでるのが魔神カード。

手番にどこか1カ所のミープルを全部とって、移動させる。移動させるときは、移動途中のタイルに必ず1個ずつミープルを置いて移動し、移動後のタイルには必ず移動させたミープルと同色のミープルがないといけない。で、その同色のミープルを手に入れて、タイルに書かれているアクションを実行しても良い。もし手に入れる事でそこにミープルがいなくなれば、自分の陣地としてマーカーを配置する。これで手番終了。


これが強力と言われている魔神カード。勝利点が低いほど、効果が強力なカードとなっている。伏せているのはお金で、これはそのまま勝利点に換算されるので大事だ。

最終的に、どこも動かせなくなるか、誰かの陣地が規定数達したらゲーム終了。
陣地、お金、駒、魔神などの勝利点の合計を求めて勝敗を決める。

移動するたびにマスに駒を置いていくといえばルイ14世を思い出すが、あれもマンカラをヒントに作ったのかも。

やってみるとこれがまたバリ長考し易いゲームだった。
というのは、このゲームの基幹部分である駒の移動は、公開情報なので最善手を見つけようとするとどうしても長考になってしまう。
盤上は賑やかではあるが、基本的にアブストラクトといえる。


進めていくとこんな感じになって収束していく。タイルに書かれている数字はそのタイルを支配した場合の勝利点である。

タイルを陣地とする行動に着目すると、相手に取らせないように駒を1個にしないようにする必要がある。自分のアクションも良いのを選びたい。駒を稼ぎたい。こういった事を満たす駒の移動を考えると、時間が掛かるのはしょうがないのだ。
また、相手の手番に考えようにも、ころっと盤面が変化してしまうので、自分の手番に考えざるを得なくなる状況も多い。

こういった事もあり、物凄く時間が掛かった。このままではCOQの帰宅時間になってしまうというので早廻しをする事にした。

COQ「このゲームのプレイ時間は60分と書かれているんですよね」

あれこれ考えてしまわないようにサクサクやらなければいけないようだ。
そういった意味ではキッチンタイマーを使って手番管理した方がいいかも知れない。なんせ悩み出すときりがない。

基本路線としてCOQは魔神のパワーを使い、ひたすら黄金の宮殿を建てる作戦。わしは最後に得点となる黄色駒をたくさん集め、陣地をバンバン作っていく作戦。miaは特産物カードを数多く集める作戦である。


これがCOQの黄金宮殿。これだけみたらもう、やられまくって負けまくりと思うのだが、実はそうでもなかった。タイルに描かれているアイコンはそこで行えるアクションである。

COQ「魔神カードは非常に強いらしいです」

このゲームの最大のフレーバーはなんといっても魔神カード。これがこのゲームの基本路線を根底から覆すパワーを持っている。

わしはゲームを早く終わらせるために、物凄く強力な魔神カードを手に入れた。ミープルのみが置いてあるマスを自分の陣地にするという魔神だ。これを使って自分の陣地を増やせば終了条件に近くなる。

後半から、COQがわしの黄色駒に危惧を抱きだして、暗殺を使い駒を除去し始めた。
miaもこれに賛同して暗殺をしてくる。

後半他プレイヤーに影響をあたえるやることといったら確かに赤駒が残るこれくらいしかない。miaの特産カードもCOQの黄金宮殿を阻止する方法がほとんどない。

そしてわしの最後のラクダ駒が置かれてゲーム終了。


わしの支配している青ラクダが多い。

見た目にも黄金宮殿がそびえるCOQが勝ってそうだった。

わしの得点も思ったより伸びてCOQと2点差だった。最後に暗殺されてなければ勝ってたかも。

そしたら「あれ、なんか計算間違ってるのかな?」とmia。

計算するとぶっちぎりの勝利である。

特産物カードの種類が多く、無茶苦茶点数が伸びたのだ。

所要時間100分


miaはこんなけしか取っていないのに特産品ボーナスで勝った。

miaのコメント

なんだかよく解らないのに勝ってしまった。こんなんでいいの? カード集めてただけ。

ソマーリオ

見た目が派手な黄色駒集めや陣地取りは相手の関心をかってしまい攻撃されやすい。隠し情報として持っている特産品カード集めをしていたmiaが勝ったのはそのせいである。

ボードを見ると、miaのがっかりプレイが伺える。しかしこれでぶっちぎりの勝利なのだ。
そもそもシステム的に陣取りゲームであると勘違いした方が悪いのだが、どうしてもそう思ってしまいがちだ。言い換えると勝ちパターンが多いともいえるのだが、初回のプレイでは??? となってしまう。

目立った方が負け、というのはドイツゲームによくある形式なのだが、そうであればカードを公開情報にするか、点数を下げないと釣り合わないように思う。

個人的にはわしはプレイ自体は楽しかったし、コンポーネントは木製の駒がどっさりと入っており、アートワークや雰囲気もばっちりアラビアンナイトの世界があって、素晴らしい。
しかしこの長考しがちなシステムに対して、高評価を与える事は出来ない。また豪華なコンポーネントのおかげで値段も凄く高い。

ただ確実にこの手のものが好きなプレイヤーはいると思う。もし自分がアブストラクトが好きというのであれば、購入の選択肢に入れてもいいだろう。出来ればキッチンタイマーで1分ごとにやる事を勧める。

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