鈴木銀一郎
カナイセイジ

アークライト

2〜5人
60分

ダンジョン飯

amazonで購入


大人気コミック『ダンジョン飯』がボードゲームになって登場。
それぞれの目的を胸に狂乱の魔術師の迷宮へ挑め。
本作は、鈴木銀一郎氏の傑作カードゲーム『モンスターメーカー』をベースに、
九井諒子氏の傑作コミック『ダンジョン飯』の世界を楽しめるよう、
数々のヒット作を生み出し続けるカナイセイジ氏が作り上げたゲームとなります。

『モンスターイーター』は各プレイヤーが自分の冒険者パーティを操り、
「狂乱の魔術師」が統治する迷宮を踏破し、勝利点を競う対戦ゲームです。

プレイ感

このゲームが発売される時にグランディングの中の人のTwitterで「この漫画のファンなんでわしが作りたかったわ」みたいなニュアンスがあり、慌てて本を読んだというクソにわかもんである。かなりおもろい漫画やったので、めっちゃ楽しみに発売を待ってた。
一応、家族全員が読み終えるまでまってから、(そーじろは途中までだったが)プレイすることにした。コタ12歳、そーじろ8歳、miaとの4人プレイにて。


わし「とにかくレビューを書く必要があんので、わしが主人公パーティをやる。あとは適当に決めれ」

と強引にライオス一行を取る。
このゲームではキャラに特性があって、それぞれのパーティが決まっている。慣れればブースタードラフトでパーティを組むことも可能。

mia「汚っ! ライオスが好きなのに」

そーじろ「チルチャックやりたかったなあ」

コタ「僕もチルチャックが良かったのに」

とコタは早速ガサゴソと探して、クロ(犬)のいるパーティを選んだ。

コタ「こいつ可愛いんだよ」

mia「えー、カブルー好きだったのに!」


各キャラによって能力が違う。初期に持ってるものがあって、それはカードにおいておく。


モンスターは、浅部と深部でそれぞれ違っており、次にどれが出るかを見れる状態になっている。上に置いているのはボスモンスターで浅部で100%を超えるとキメラファリンがでて、それを突破すると深部になる。深部で100%を超えると狂乱の魔術師がでてきてそれを倒すとゲーム終了だ。欲しいモンスターは自分に配置した方が良く、逆に嫌なモンスターは相手に押し付けるというゲームだ。

と思い入れのあるキャラでワイワイ騒ぎながら、結局、miaがカナリア隊、そーじろがシュローとなった。ここらへんはキャラゲームに定評のあるカナイセイジ作品でそれだけで楽しいのだ。
ちなみにパーティには強弱があると作者本人が話してるので、興味があるかたはこちらをどうぞ。

さて、本作は鈴木銀一郎のモンスターメーカーをもとに作られている。ちなみにわしはモンスターメーカーも鈴木銀一郎作品もやったことがないにわか野郎なので、違いについてはさっぱり分からん。

で、ルールだ。それも上のサイトに丸投げしたろうかと思ったが、流石にそれではいかんと思い簡単に書いてみる。

各自、自分のパーティを手元に並べ、左下の初期アイコンチップを貰う。魔法の杖だけはそのカード上に、金貨や飯はパーティ共通の持ち物だ。それと迷宮浅部タイルを上にしておく。


戦闘参加後のキャラはタップ状態(疲弊)にする。飯を1個消費するとアンタップできる。モンスターは各ダンジョンの前に1体だけおけるので、先に書いたように嫌なモンスターを押し付けられる前に自分においてしまうのが手だ。
キャラクターの戦闘力は左上が物理攻撃で2Dとあればサイコロ2個振るという意味で、RPGでよく使う表現である。右が魔法攻撃力でこちらを利用するには杖を1つ消費する必要がある。一番重要な能力は右下にある調理力で、これがパーティにないとかなりきつい。

共通の場としてモンスターカードを「浅部」と「深部」に分けて表向きに置く。
迷宮カードをシャッフルして、各自5枚ずつ配る。この時、オレンジのイベントカードがあれば、山札に戻してシャッフルして代わりに別のカードを引く。イベントカードは出てきたら即座に効果を発揮するので、最初に持たないのだ。

手番は、以下の順で行う。
戦闘:(最初のターンはそもそも相手がいないのでパスとなる。先に他の手順を読んでから戻ってきたら良い)
自分の前にモンスターカードがいる場合必ず戦闘を行う。今回戦闘に参加するメンバーをタップする。それらの戦闘力を決めるが1Dと書いてるのはサイコロを1回振るという意味だ。魔法戦闘力を使うには杖チップを支払う必要がある。戦闘力の合計値がモンスターの攻撃力以上ならモンスターを倒したことになる。倒せなかった場合は、モンスターはその場にとどまり、次の探索フェイズはスキップする。
倒せた場合、今度は調理する必要がある。サイコロを2個振ってモンスターの右下にある中華鍋の数以上を出せれば成功でそこにあるアイコンチップを貰いカードを裏返す。補正値はキャラカードの中華鍋の数字である。失敗したら、モンスターカードは山札の一番下に戻る。つまり勝利ポイントになる調理は一発勝負という厳しさだ。
探索:手札から緑色枠のカードをプレイする。%のついた踏破カードなら並べておく。上に書いたようにモンスターと戦闘中の場合、このフェイズはスキップする。
遭遇:手札からモンスター遭遇カードをプレイしても良い。深度に合わせた一番上のモンスターカードを好きなプレイヤー(自分も含む)の前に置く。
休息:1飯支払う毎にタップ状態(消耗)のカードをアンタップ状態にする。それから手札を5枚になるように補充する。ここでオレンジ色のイベントカードを引いたら即座に公開して解決する必要がある。イベントカード使用の補充はされない。

踏破カードを場に出していき100%以上になると、キメラファリンとの戦闘になる。これは調理出来ないが倒すと勝利点が手に入る。それが終わるとタイルを深部にひっくり返して再び100%以上になると狂乱の魔術師と戦闘になる。誰かがこいつを倒すとゲーム終了で、勝利点を計算して勝敗を決める。


自分の場に踏破の%カードをおいていく。ゴーレムはお得なモンスターなのでぜひ戦いたい。

勝利点は、調理に成功したモンスターの勝利点とボスモンスターのサイコロで決める勝利点と、アイテムの勝利点の合計である。ただしこれらのカードは5枚までしか場に持てないところに注意。それ以上持つと捨てる必要がある。
さらにマイナスとして、深部で足りない10%毎に引かれ、浅部にいたってはマイナス10点となる。金貨は3で1点だ。

とまあ、これが基本手順だが、もうひとつ休憩(調達)という手順もある。

これは戦闘の代わりに食料を2個調達し、好きなカードを捨て札にするもので、この場合も探索はスキップされて遭遇、休息に進む。
この手順を甘くてみてはいけない。通常ルートだと手札の回転が悪くにっちもさっちもいかない時があり、食料を手に入れるより手札を交換できるというメリットのほうが強いように思う。実は今回のプレイではこの手順を忘れてて手札の回転が厳しい時があったのだった。

あと鍵師/忍者という言葉が現れたら、その能力を持ってるキャラをタップすることで、回避したりできるということだ。この能力のキャラはパーティに一人は持っておいた方がよい。鍵師も忍者も同じだ。

魔法は攻撃魔法以外にもキャラによっては回復魔法などがあるので、キャラカードを確認してタイミングをみて使うことができる。もちろん杖チップは使用する。

リロール能力はサイコロを振り直す能力で戦闘ロールにのみ使える。


モンスターの裏面はご飯になっており、調理に成功しないと勝利点が貰えないのだ。この絵柄がまじで超美味そう。

さて、自分用に備忘録を書いとく。
ルールのライティングがいまいちやったので、一発目から間違いなくやるのは難しい。
間違いやすいルール
・最初にイベントカードが手札にきたら、引き直す。イベントは休息時にのみ自動発生する。
・モンスターは勝つまで残る
・調理失敗したらカードを山札に戻して何も貰えない(ワンチャンしかない)
・モンスターが残ると探索カードをだせない。
・水場や取引所などは探索カードの一種。
・リロールは戦闘のみ
・非公開のアイテムは、裏向きにおいておき料理と合わせた5枚制限に入る
・非公開アイテムの金貨はそのまま裏向きだと勝利点3だが、途中で公開して山札に戻すと3金貨になる
・手札に遭遇がないと困るので、休憩(調達)で手札を交換した方がよい
・休息は先に飯を食べてから、最後に手札補充する

勝利点である調理カードやアイテムが合わせて5枚しか持てないという強力な制約がないとゲームが破綻するのでくれぐれも注意すること。

わしは踏破カードがいい感じには来てるが、遭遇カードがこない。というか見えているモンスターのワーグは、飯にできんので、是非とも人になすりつけたい。飯にできん=得点にならない。

コタ「じゃあ、遭遇カードで、誰につけようかな

わし「ママにしとけ、ママに」

mia「なんでよ!」

わし「カナリア隊強いやんけ」

コタ「ママに」

カナリア隊はミスルンという最強キャラがいる。ミスルンずっと女やと思ってたのに男やったのが一番驚いたけど。

mia「撃破」

次にでてきたのはコカトリスである。
これはどうみてもケンタッキー・フライドチキンに見える。
食いたい。

しかし潤沢な遭遇カードを持つコタがこれをゲットした。
ただカブルー隊は飯係がいないので、苦労するだろう。

わしはようやくオークを敵モンスターとしてつけることに成功した。

オークはなんと調理が0でできる超お得モンスターなのだ。

コタ「やられた」

調理力0のカブルー隊には必須のモンスターである。

しかし迷宮探索で

コタ「調味料ゲット!」

調理力+2のアイテムだ。

これにより、コタ、遭遇カードの手持ちが多いもんやから、ぎったばったとモンスターを倒しては調理にも成功しだす。

そーじろは、人数が多くて、初期の食い物が多いので、こちらも楽々と進めていくが、遭遇カードがあまりこなくて皆困ってた。

そうこうしているうちに戦闘部隊のカナリア隊が、浅部を100%にして、ミスルンの強さであっちゅう間にキメラファリンを撃破。

mia「やった」

ただし、飯がないので、基本、誰かがタップされたままだ。
とりあえずミスルンだけ起こしておけば、なんとかなる感じ。


ミスルン隊、圧倒的強さでキメラファリンを倒すが、飯が少ないパーティなので、全員アンタップ状態になることは少ない。

全員、深部へ突入。

次のモンスターはレッドドラゴン!

そーじろ「じゃ、これコタ兄に、つけてあげる」

コタ「そーじろ、まじ、ムカつく」

そーじろ「やった、やった」

※時々でてくると思うが、そーじろは、コタに嫌がらせ成功するとよく飛び跳ねて喜ぶのだ。コタが普段からそーじろをよく虐めている反動であったりする。


こいつは攻撃力24と狂乱の魔術師と1しか違わないという物凄い強さだ。もちろんリターンもでかいが、調理はワンチャンだ。

狂乱の魔術師の次に強いレッドドラゴンがカブルー隊に立ちはだかる。
しかし調理に成功したら、勝利点はかなりでかい。

コタ、なんとか撃破するものの、調理失敗。
スパイスあっても無理だった。

そしてそれより痛いのは、飯があまりなくて、こちらもタップ状態のキャラが目立ち始めた。

気になるのは、コタの手持ちのカードで、アイテムが多いこと。
ここは、あとで間違いに気づいた。アイテムは裏向きであっても5枚制限に入るのだ。


コタのカブルー隊は5枚以上を手に入れて、しょうもないカードをほかすアイテムの多さだ。
調理力0のこの隊に調味料が加わったのがでかかった。

そして狂乱の魔術師に最初に対峙したのは、ライオス隊である。

どうせ最後やという事で、全員がパワーをかけて攻撃。

撃破!

この時点でゲーム終了。

勝利点計算で、わしとmiaはボスキャラでそれぞれサイコロを振って加算。料理とやたらと非公開アイテムで点数をあげたコタが勝ったかに思えたが、ルール確認の上、わしと同点優勝となった。そーじろは3位。

所要時間60分


シスルはさいころで12点となった。


当初、間違いで宝箱まで得点足して、コタがぶっちぎりだったが、戦利品は5枚までというルールは最初妙な感じを受けたが、ゲーム的にはこれをみても重要なルールだ。

ソマーリオ

日本のキャラものといえば、駄作と相場が決まってる。
しかし、これはそうではなかった。漫画の再現性も素晴らしく、まさにダンジョン飯感が出てる。

システムとしてはサイコロ使って攻撃力を決めるという古い手法だが、これは当時のシステムをそのまま使っているのでしょうがない。ただ、今やってもプレイ感は悪くない。

キャラクターの能力差もきちんと再現されており、ダンジョン飯ファンなら間違いなくお気に入りのゲームとなるだろう。
きちんと飯に比重が置かれているところも再現力が高い。
格差をなくすためのアイテムとモンスターが5枚までルールも、最初は、なんで? と思ったがきちんと機能している。
もしこれがなければ、踏破せずにひたすらモンスター殺戮隊として活躍した方が点数が伸びて、ゲームが破綻するからだ。

チップ類は味があって良い。
そしてなんといっても絵は、漫画家本人の描き下ろしらしいのだ。
凄い!

調理済みの面を向けるとわかるが、なんとも美味そうで、ダンジョン飯の良さがほんまによう出てると思う。漫画では白黒だがゲームではカラーなので、一見の価値がある。

というわけで、古いシステムで、キャラ頼みのゲームという印象を持ってたが、それが良い方向にチューニングされてて、原作ファンにはたまらないゲームとなった。原作を知らない人がこれをやるとは思えないが、そうであってもそれなりに楽しめるくらいの作りにはなっている。

若干ルールに煩雑さが見られるが、アークライトから発売されてきたカナイセイジ作品では一番好きかも。

gioco del mondo