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Daniel Val
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Gen-X Games
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2人
30分
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ドスデマヨ
『2 de Mayo―5 月2 日―』は、1808 年5 月2 日に起こった出来事を再現する歴史シミュレーションである。この日、マドリード市民とわずかなスペイン兵がナポレオン率いるフランス占領軍に反抗した。
プレイ感
かなり前にhiroceanのブログを読んでて欲しくなった海外の同人ゲーム。スペイン側とフランス側に分かれて戦うウォーゲームテーストな2人ゲームで、ようやくやってみる事にした。miaと2人プレイ。
ラウンドの開始時に自分のデッキからカードを1枚引く。それから紙に自分の軍隊を動かすプロットを記述する。同時に公開して、(一応スペイン側から)記述されたプロット通りに駒を動かす。同じマスに両軍の駒があれば、戦争解決を行って1ラウンド終了。これを10ラウンド繰り返して、最終的にフランス軍の損害が3個以下で、4カ所あるスペインの入り口を抑え、かつスペイン軍を全部撃破すればフランスの勝ちで、これらを阻止すればスペインの勝ちである。
赤のスペインは各地に散らばっているのを上手く集結させる必要がある。フランス軍はスペインの周り4カ所から大がかりな軍隊を投入できる。
ルールはウォーゲームをやった事のある人なら「ああ、プロット方式か」と思うだろう。非常にシンプルで際だった特徴はないが、スペイン軍は同じマスにいる駒グループは全て一緒に移動をしなければならないという制約があり、フランス軍は2グループしか動かす事が出来ないという制約がある。またカードは国によって違い、使うべきタイミングは書かれているが、フランス軍のカードは自軍に不利になるカードがちょこちょこ混じっている。
miaがフランスでわしがスペインでやってみた。
最初のカードは決まっているが、miaが10のエリアを守るカードを出すのを忘れてゲームスタート。わしは一番最初に衝突が起きている10のエリアに駒を集結させる。
集結は大体成功したが、1個だけなかなか合流できない。この状態は非常に危険なのだ。
このゲームの戦闘は非常にシンプルで、数が少ない方が駒を1個除去するだけだ。ただし2倍の戦力差なら2個、3倍の戦力差なら3個取り除く。
こういった戦闘システムなので、密集させないとどうしようもないのだ。戦力を分散させては各個撃破の憂き目にあう。
ドスデマヨは各地で蜂起したスペインの民衆がテーマとなっているので、最初は各地に1個ずつ散らばっている。これらをフランス軍をだましつつ上手く集結させる事に命運が掛かっている。
1ラウンド、2ラウンド目はスペイン軍のプロットに時間が掛かるが、一旦集結させてしまえば、プロットも少なくてさくさく進んでいく。
わしは全ての駒を1グループに集める事に成功した。そしてフランスの弱いところにぶつけて、1個ずつ駒を除去していく。ただし移動には細心の注意が必要だった。
何故なら1グループに集めたところでスペイン軍は僅か8個で、フランス軍は29個もの駒があるのだ。その兵力差は歴然で、まともにぶつかってはあっという間に粉砕されてしまう。
いや粉砕されずとも1個削られただけで、そのダメージは計り知れないのだ。
右上に攻めて駒を削る作戦に出るが……。ポイントは中央部の色が濃い3エリア。ここを押さえられるとスペインが上下に分断される。
カードをどれだけタイミング良く使うかである。カードの効果はたいした事ないようでいて、非常に強いものばかりだ。ただし少しばかり条件がきつかったりする。
最も使いやすいカードは、相手のプロットを1つ無効にするというものだ。スペインもフランスも同様のカードがあるが、どのプロットを無効にするかはスペイン側が決めるので、カードに関して言えばスペインが圧倒的優位になっている。
mia「どうにも狙った場所と違うところに上手く逃げられる。腹立つなあ」
上手くmiaの思惑を外して移動を繰り返すスペイン。
そうこうしているうちに6ラウンド目には3個目の駒を除去する事に成功した。もう1つ取り除かなければ勝利条件を潰すことが出来ない。
ここであっと言う事に気が付いた。
先に書いたようにわしの軍隊は1グループにまとまって移動している。そのせいで、4カ所あるスペインの入り口をカバー出来なくなっているのだ。フランスがその気になれば、無人の野のごとく簡単に4カ所をキープ出来てしまう。
※この部分は3つある勝利条件のどれかを満たせばフランスが勝ちという条件で書いてたが、実は3つとも満たさなければならなかったのでスペインは余裕だったのだ。
慌てて下の方に軍隊を動かすが、間に合うかどうかギリギリだ。しかも1個除去しなければならないのだ。その前にmiaの巨大フランス軍に捕まってしまってはどうしようもない。
慌てて左下の軍隊をやっつけに南下するが、たぶん間に合わない。
ここでルイス中尉というカードを引いた。「フランス軍ユニットを3個除去していればスペインが勝利する。ただしモストレス市長または銃殺処刑と一緒で使う」と書いてある。
え、何コレ?
おそらくこのままいっても辿り着けない。もう1枚のカードを引くしかない!
結局、10ラウンド目にモストレス市長を引いて、勝利宣言をした。
所要時間30分
最終ラウンドにモストレス市長を引いて勝利。3個やっつけるのがかなりしんどいバランス。ちなみに今回はスペインは1個もやられていない。
なんかふわっとしたプレイ感だったので、すぐに再戦した。
2回目は、集結をさせるのを失敗して1個だけ遊軍となってしまった。スペインを分割するアトーチャ通りとマジョール通りがネックである。このせいでなかなか合流できなかった。そうこうしているうちに除去されてしまった。
しかし今回は脱走兵のカードを使って駒を増やす事ができた。前と同じようにフランス軍の弱いところをすこしずつ削り3個を取り除く事に成功する。
そこでモレス大尉を引いた。もう1枚のキーカードを引くだけだ。
mia「銃殺処刑のカードを引いた。これ公開するんだよね?」
どうやら銃殺処刑のカードはフランス側にあったようだ。再び勝利宣言してスペインの勝利。
ソマーリオ
10ラウンドを通じて、駒が減るのはせいぜい3,4個程度なのに対して、用意されてる駒数は非常に多い。それらを小さなボード上で移動させるもんだから、ちょっとした山になってしまう。その割に、戦果としては大したことがないのに違和感を感じた。
1ラウンド目2ラウンド目のスペインの移動プロットが非常に面倒くさい。8カ所もあるのだ。そのくせにフランス軍は到底集結場所に軍を差し向ける事が出来ず、このバラバラの状態があまり意味があるようには思えない。
最初は不思議な感覚を覚えながらも、中盤からは相手を出し抜くための鬼ごっこであると解った。このゲームのシステムは心理戦なのだ。心理戦をメインにするならこの駒数は少々多すぎる。
カードについてもルイス中尉を初めて引いた時、ぎょっとなった。勝利条件の根本を覆すカードに思えたからである。2回しかやってないが、ルイス中尉の効果を使えばスペインの勝利、でなければフランスの勝利になるようなバランスではないだろうか?
というのはスペインは3個は倒せても4個を倒すのは難しい。4個目を倒すと4カ所ある入場場所を抑えるのが難しいのだ。そういうバランスは非常に良くできてる。ちなみにスペイン軍を全て取り除くという勝利条件はまず無理だ。
この部分も同じくCrさんの指摘でフランス軍はすべての勝利条件を満たさなければ勝てないので、フランス軍が勝つなんて事が出来るんやろかと思う。スペイン、するするっと抜けるのがかなり簡単やと思うんやけど、上下に分割できる場所を押さえればなんとか戦えるんかな??
実際の歴史上のイベントをカード化し、絵柄を含めたコンポーネントは非常に雰囲気があり、秀逸である。よりゲームとしてチューニングをするか、シミュレーション寄りとするか、これはプレイヤーの好みであろう。このゲームは後者を目指しているように思う。プレイ時間が短いのはとても良い。